ドル円161円台半ば、ドル買い意欲衰えず一時161.59まで上昇
10日午前の東京市場でドル円は一段高。朝方、161.33レベルで取引の始まったドル円は、序盤もみ合った後上昇に転じ11時頃高値161.59をつけました。その後はやや戻し、東京時間正午現在は161.50付近での取引です。
日経平均株価は、昨日大幅に上げた反動で、序盤は利食い売りが先行しましたが、金融株が買われた他、円安進行で輸出関連銘柄も買い戻され、プラス圏に浮上。55円高で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場で注目された、FRBパウエル議長の上院議会証言では、「米経済はもはや加熱した状態でない」と明言、更に労働市場に関しても「完全にバランスした状態に戻った」と表現しました。また、「リスクは今やインフレだけではない」と労働市場の急速な冷え込みや、経済先行きの悪化も政策転換になり得るとの示唆もあるなど、予想以上にハト派的な内容で、従来の議長スタンスに比べてタカ派的な要素は1ミリも感じられませんでした。加えて、共和党議員からの大統領選前の利下げをけん制したともとらえられる質問にも、中銀の独立性を強く主張して一歩も引かない姿勢を示し、その観点での9月利下げ見送りの可能性を完全に否定するものでした。
しかしながら市場は、これ以上何を期待していたのか、証言をハト派的姿勢不十分ととらえ、証言中、米長期金利が上昇。ドル円は一時161.52まで上値を伸ばしました。議長証言中の「更なる良好なインフレデータが見られれば、インフレ鎮静化への確信を深めるだろう」との発言や「現時点で利下げ時期のサインを送るつもりはない」との発言を材料視したようですが、特に後者は複数回回答されたなかで、雰囲気的にはいずれも、むしろ利下げ時期が近いことを感じさせるやり取りでした。
その後、米金利、ドル円ともやや戻して、161.32レベルで東京時間につないでいます。
テクニカルにはドル円は、昨晩からの上昇で転換線を回復。161円台後半にしっかり乗せてくると、7/3高値の161.95を再び試す動きとなりそうです。
昨日はイエレン財務長官も下院の議会証言で、雇用統計が「労働市場の状況がかなり冷え込んでいるという明確なシグナルを送っており、FRBの方向性は金利引き下げになるだろう」とかなりハト派な発言をしている中で市場が真逆の反応をしているのは違和感のある話です。
強い金利上昇圧力とドル買い意欲を背後に感じざるをえませんが、FRB議長議会証言の2日目は、ほとんど材料視されないことが普通ながら、本日に関しては、再度パウエル議長の議会証言(本日は下院の金融サービス委員会)と市場の反応を注視する必要がありそうです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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