7月3日高値からの下落一巡で反騰、FRB議長発言で一時161.50円を超える
〇昨日のドル円、パウエル議長議会証言受け24時台に161.51へ続伸
〇直前の下げ幅に対して75%を戻し7/3からの調整消化し上昇再開から一段高伺う動きに入っている印象
〇161円台後半へ迫るところでは市場介入警戒感による売りも出やすく、上値重くなるか
〇米長期債利回り、一時的に上昇したものの勢いに欠け小幅上昇ないし前日と変わらずの動き
〇ナスダックとS&P500、史上最高値更新
〇161円台維持するうちは、161.51超えから7/3夜高値161.94試す上昇を想定
〇160.70割れからはいったん下げに入るとみて7/8午前安値160.22前後への下落を想定
【概況】
ドル円は7月3日夜高値161.94円から下落に転じ、7月5日夜の米雇用統計をきっかけに160.33円まで安値を切り下げてから5日深夜に161.32円まで戻したものの、週明けの8日午前には160.22円まで続落して7月3日夜高値からの下げ幅は1.72円に拡大したが、160円台を維持して底固さを見せて買い戻し優勢となり9日午前に161.12円を付けて8日夕高値161.11円を超え、9日夜のパウエルFRB議長議会証言が予想よりもややタカ派的で利下げ判断に慎重姿勢を示したことで24時台高値161.51円へ続伸し、その後も161円台前半で確りしている。
7月8日安値からの戻り幅は1.29円となり直前の下げ幅に対して75%を戻しているため、7月3日からの調整を消化して上昇再開から一段高を伺う動きに入っている印象もある。
7月10日は事業会社の決済集中によりいわゆる「五・十日」のためにドル需要でドル円も上昇しやすいとの見方もあるが、161円台後半へ迫るところでは市場介入への警戒感による売りも出やすく、今夜の米下院におけるパウエル議長証言や11日夜の米CPI発表を控えていることから上値も重くなるのではないかと思われる。
日銀は7月9日にメガバンク等の債券市場参加者と会合を持ち7月金融政策決定会合における国債買い入れ額の減額方針に対する反応をヒアリングしているが、メガバンク等は積極的な減額を希望しているとも報じられている。本日もバイサイドグループとの会合を持つ予定だ。
米FRBのパウエル議長は7月9日の上院銀行委員会で半期に一度の議会証言を行ったが、「インフレは2%の目標に向かって持続的に低下するとの確信をさらに得るまで利下げが適切とは思わない」と述べて市場の期待する早期利下げについての慎重姿勢を示したが、「高インフレのみが直面するリスクではない」として労働市場や景気全般の動向も踏まえて利下げを先延ばしすることに対するリスクも意識している印象を与えた。
発言内容自体は従来通りであり、ややハト派へ傾斜するのではないかとの期待感があったためさほどハト派的ではなかったとして発言が伝わると米長期債利回りが一時上昇したものの早々に低下しており相場動向を方向付けるきっかけにはならなかったようだ。ただし、円の独歩安の継続感と8日午前からの買い戻しを背景にドル円は上昇反応を優先した印象だ。
イエレン米財務長官も米下院委員会で証言したが、「物価上昇圧力は減少しておりインフレ率は低下していく」と楽観的見通しを示している。
【米長期債利回りは小動き、ナスダックとS&P500の史上最高値更新続く】
7月9日の米長期債利回りはパウエルFRB議長発言をきっかけに一時的に上昇したものの勢いに欠けたため小幅上昇ないし前日と変わらずの動きに留まった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の4.30%となり、一時は4.33%へ上昇したものの失速しており、7月1日の4.49%をピークとした低下がやや落ち着いているものの上昇再開へのきっかけをつかめずにいる。30年債も同様の動きで9日は前日比0.02%上昇の4.49%となったが一時4.52%へ上昇してから上げ幅を削った。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは横ばいの4.63%で終了し、一時4.65%まで上昇してから上げ幅を解消しており、7月5日に4.60%をつけて4月30日に付けた年初来ピークである5.05%以降の最低を更新した後は下げ渋りの様相で11日の米CPI発表待ちとなっている。
一方でNYダウは前日比52.82ドル安と下落して8日の31.08ドル安からの続落で上値が重くなっているが、ナスダック総合指数は6営業日連続で終値ベースの史上最高値を更新して取引時間中の最高値も18511.89まで伸ばした。S&P500指数も前日比4.13ポイント高と小幅上昇だったものの6連騰として終値及び取引時間中の史上最高値を更新している。ダウはやや慎重だがハイテク株高を先導役としてナスダック等は楽観的な強気が続いているため、金融市場全般に対してリスクオン優勢感をもたらしている。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は7月3日夜高値161.94円を起点として7月8日午前安値160.22円まで下落したが、その後の反騰で7割強を戻している。7月8日午前安値を起点とした上昇期として高値形成期は10日未明高値を含めて11日未明にかけての間と想定するが、米CPI等を強気で通過する場合は週末から週明けへ高値形成期が延びる可能性もあると考える。ただし160.70円割れからは下落期入りとして11日午前から15日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7月9日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているため遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。先行スパンから転落の場合はいったん下落期に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は7月10日未明に70ポイントに迫った後も60ポイント台を維持しているので70ポイント台への上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れから続落する場合は40ポイント以下への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、160.70円を下値支持線、7月10日未明高値161.51円を上値抵抗線とする。
(2)161円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは161.51円超えから7月3日夜高値161.94円を試す上昇を想定する。161.85円以上は反落警戒とするが、161円台を維持しての推移なら11日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)160.70円割れからはいったん下げに入るとみて7月8日午前安値160.22円前後への下落を想定する。下げ足が速まる場合は160.00円試しとするが、160.00円前後は買われやすいと注意する。
【当面の予定】
7/10(水)
10:30 (中) 6月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (5月 -1.4%、予想 -0.8%)
10:30 (中) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 0.3%、予想 0.4%)
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.50%、予想 5.50%)
23:00 (米) 5月 卸売売上高 前月比 (4月 0.1%)
23:00 (米) パウエルFRB議長、下院金融サービス委員会で半期議会証言
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:30 (米) クールズビー・シカゴ連銀総裁、ボウマンFRB理事、イベント挨拶
7/11(木)
08:50 (日) 5月 機械受注 前月比 (4月 -2.9%、予想 0.9%)
08:50 (日) 5月 機械受注 前年同月比 (4月 0.7%、予想 7.1%)
15:00 (独) 6月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
15:00 (独) 6月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.2%、予想 2.2%)
15:00 (英) 5月 月次GDP 前月比 (4月 0.0%、予想 0.2%)
15:00 (英) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.9%、予想 0.2%)
15:00 (英) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -0.4%、予想 0.6%)
15:00 (英) 5月 貿易収支・物品 (4月 -196.07億ポンド、予想 -160.50億ポンド)
15:00 (英) 5月 貿易収支 (4月 -67.50億ポンド、予想 -20.00億ポンド)
21:30 (米) 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 0.0%、予想 0.1%)
21:30 (米) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 3.3%、予想 3.1%)
21:30 (米) 6月 コアCPI(食品・エネルギー除く) 前月比 (5月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 コアCPI(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (5月 3.4%、予想 3.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.8万件、予想 23.9万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 185.8万人、予想 185.5万人)
24:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、質疑応答
26:00 (米) 財務省30年債入札
27:00 (米) 6月 月次財政収支 (5月 -3471億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.10.30
ドル円 基本は明日以降の材料にらみ、レンジ取引か(10/30夕)
東京市場はレンジ取引。153円台前半、40ポイントほどの小動きだった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.10.30
ドル円、153円台前半で方向感に欠ける動き (10/30午前)
30日午前の東京市場でドル円は153円台前半でのもみ合いに終始。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.10.30
ドル円見通し 衆院選後の円安一服、153円台中心で揉み合う(24/10/30)
ドル円は28日の高安レンジ内で一段高状態を維持して推移している。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.07.10
ドル円、半期に一度の議会証言を経て再び上昇。パウエルFRB議長は市場のハト派期待に応えず(7/10朝)
9日(火)のドル円相場は堅調な値動き。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。