半期に一度の議会証言を経て再び上昇。パウエルFRB議長は市場のハト派期待に応えず
〇ドル円、日経平均株価の堅調、米長期金利上昇等に米国時間に高値161.51まで上昇、堅調推移
〇ユーロドル、仏政局不安、伊中銀総裁のハト派発言、米長期金利上昇等に一時1.0805まで下落
〇ドル円、転換線を回復、買いシグナルも点灯、テクニカルの地合い好転
〇ファンダメンタルズも、円キャリートレードの長期化期待、介入警戒感の後退等がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:160.50ー162.00
海外時間のレビュー
9日(火)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値160.74まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)米6月NFIB中小企業楽観指数(結果91.5、予想90.2)の市場予想を上回る結果、(3)パウエルFRB議長による「インフレが持続的に2%に向かうという確信をさらに高めるまでは利下げは適切ではない」「利下げはまだ差し迫っていない」「将来的な政策変更について何のシグナルも出していない」との発言(ハト派寄りの見解を見込んでいたドルショート勢による買い戻しを誘発)、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間正午にかけて、高値161.51まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/10午前6時15分現在)では、161.30前後で推移しております。
9日(火)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0833まで上昇するも、一巡後に伸び悩むと、(1)フランスを巡る政局不透明感の残存(いずれの勢力も過半数に届かないハングパーラメント→格付け会社ムーディーズはフランス国民議会総選挙の結果は同国の信用格付けにとってマイナスであると警告)や、(2)イタリア中銀パネッタ総裁による「ECBは現行のインフレ低下を損なうことなく、段階的な利下げを継続することができる」とのハト派的な発言、(3)パウエルFRB議長によるバランスの取れた議会証言(市場のハト派期待を和らげるようなバランスの取れた発言)、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間正午にかけて、安値1.0805まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/10午前6時15分現在)では、1.0815前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円はパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言を経て、再び161円台へ上放れする力強い動きとなりました。日足ローソク足が一目均衡表転換線を上抜けしたことや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること、4時間足が21単位線や一目均衡表雲上限を上抜けしたこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの好転(短期レンジ相場終焉→上昇トレンド再開)が期待されます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待(日米金利差は当面縮まらないとの見方が市場コンセンサス。米国側はパウエルFRB議長が議会証言で市場のハト派期待を牽制→米FRBによる早期利下げ観測後退。
一方、日本側は直近で発表された本邦1ー3月期実質GDP確報値が大幅に下方修正された他、本邦5月毎月勤労統計調査も前月を下回る冴えない結果→日銀による早期利上げ観測後退)や、(2)政府・日銀による為替介入警戒感の後退(162円台に乗せても為替介入に踏み切る可能性は乏しい→市場では1986年11月に記録した高値164.50を超えてくるまでは為替介入警戒感は高まらないとの見方が主流)、(3)米大統領選におけるトランプ氏優勢報道(財政悪化→インフレ上昇の思惑から、トランプ氏優勢報道は米金利上昇→米ドル買い要因)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。但し、本日に限ってみれば、明日以降に重要イベント(7/11の米6月消費者物価指数や、7/12の米6月生産者物価指数、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値)を控え、様子見ムードが高まりやすく、1日を通して方向感を見出しづらい静かな値動きとなりそうです。
本日の予想レンジ:160.50ー162.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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