レンジ放れなるか、パウエル議会証言に注目
〇本日のドル円、160.75-80で寄り付き、新規材料も乏しく161円挟みの上下動で積極的な動意に欠ける
〇日経平均株価が連日の過去最高値を更新する場面も観測されたが、為替市場への影響は限られる
〇ドル円相場は先週162円にとどかず反落に転じたが、その後160-161円台での推移
〇中段保ち合いに入ったとの指摘もあり、しばらくは160-162円レンジでの取引が続く可能性も
〇半期に一度のパウエルFRB議長の議会証言に要注意、ハト派的な内容になるといった見方がやや優勢
〇本日欧米時間のドル円予想レンジは160.10-161.40、ドル高・円安方向は、161.10レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、160.27の攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場はレンジ取引。161円を挟んだ上下動で方向性に欠ける動きだった。
ドル/円は160.75-80円で寄り付いたものの、新規材料も乏しく積極的な動意に欠ける。下値は堅く、寄り付きレベルがほぼ日中安値となったものの、上値も161.15円レベルまでと限られた。日経平均株価が堅調に推移し、連日で過去最高値を更新の場面も観測されたが、為替市場への影響は限られていたようだ。16時現在では寄り付きとほぼ同じ160.75-80円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米大統領選」と「英国情勢」について。
前者は、バイデン氏へ米大統領選撤退を求める声が止まらない。CNNは、米議会下院軍事委員会の民主党トップを務めるスミス下院議員が、大統領選から撤退するよう呼びかけたと報じていた。その反面で、バイデン氏は「わたしはこのレースに残り、最後まで戦い抜き、トランプを打ち負かすことを固く誓う」などとした書簡を所属する民主党議員に送ったとされるが果たして効果のほどは如何に。なお、米紙NYタイムズは、ホワイトハウスの訪問者記録に基づき、バイデン氏の「パーキンソン病罹患」疑惑を伝えていたが、こちらは報道官から明確に否定されている。
対して後者は、新内閣が発足したばかりの英国による積極的な外交が目に付く。たとえば、スターマー新英首相はバイデン米大統領や岸田首相とも週末に電話会談をいち早く実施しているが、10-11日に予定している岸田首相の米国訪問の際、「日英首脳が直接会談を行う見込み」とも一部で報じられていた。またヒーリー英国防相は、早くもウクライナを訪問。「政権が変わっても、英国はウクライナ支援で団結している」と支援継続を確約したという。なお、そうしたなかリーブス新英財務相は、経済成長実現に意欲を示し、「無駄な時間はない」などと性急な改善を約束していたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル円相場は先週162円にはとどかず反落に転じたものの、160円割れは辛うじて回避。その後、本日東京時間に至るまで160-161円台での推移となっている。市場では中段保ち合いに入った、との指摘も聞かれており、今後サマーバカンス入りなどで商いが薄くなることを考え合わせると、しばらくは大まかに160-162円といったレンジ取引が続く可能性も取り沙汰されていた。
引き続き日米金融政策が注視されるなか、発表される米経済指標とともに、9日そして10日に予定されている半期に一度のパウエルFRB議長の議会証言に要注意だ。本日は上院銀行委での証言となる。市場では「タカ派よりはハト派的な内容になる公算が大きい」といった見方がやや優勢で、敢えて言うならドル売り要因となる可能性もある。いずれにしても、内容如何では薄商いのなか波乱含みの展開も。
テクニカルに見た場合、ドル/円は下値が堅いが上値も重い、ということで短期的には160-162円といったレンジを形成しているようだ。実際、やや短めのチャートを見ると、すでに2週間近くも160-162円で推移していることがみてとれる。よって、取り敢えずは足もとのレンジを上下どちらに放れていくのかまずは注視。上方向もさることながら、下放れして移動平均の21日線も同時に割り込むようだと、ドルは大幅続落の危険性がある。
本日は米経済指標として、レッドブック週間小売売上高が発表されるものの、実際にはこちらの影響は限られそうだ。それより注目は、パウエルFRB議長による上院銀行委員会での議会証言になる。また、ロシアによるウクライナ病院攻撃など受けて実施される国連安保理緊急会合なども一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは160.10-161.40円。ドル高・円安方向は、東京高値の161.10円レベルが最初の抵抗。上抜けると161円半ば、そして161.96円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値160.27円の攻防にまずは注目。下回っても基本底堅いが、それでも160円割れはありそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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