米雇用統計直後の安値を割り込む、160円台維持だが7月3日から右肩下がりの展開
〇ドル円、7/8午前160.22へ安値を切り下げ、7/5の米雇用統計直後の安値160.33を割り込む
〇7/8夕刻161.11まで切り返すも勢い付かずに深夜160.47へ下落、その後160.70近辺での横ばい推移
〇7/3以降は、戻り高値を切り下げてから一段安を繰り返す右肩下がりの展開
〇日銀の債券市場参加者会合、国債買い入れ減額の具体策について市場関係者の意見を聞くと思われる
〇米長期債利回りは大幅低下一服で小動き、ダウは下げたがナスダックとS&P500は連日史上最高値更新
〇160.22割れからは、160.00、159.70を順次試す下落を想定する
〇7/8夜高値161.11超えからは、7/6深夜高値161.32試しとする
【概況】
ドル円は7月3日夜に161.94円を付けて2023年1月16日安値127.22円以降及び2011年10月31日安値75.57円以降の最高値を更新したが、162円手前での高値警戒感と7月3日夜の米経済指標が総じて弱かったことにより下落に転じ、7月5日夜の米雇用統計で非農業部門就業者の増加ペースが鈍化して失業率が悪化し、インフレ指標の一つである平均時給伸び率も鈍化したことで発表直後に160.33円まで安値を切り下げた。目先の売り一巡で5日深夜に161.32円まで戻したものの週明けの8日午前には160.22円へ安値を切り下げ、夕刻への買い戻しで161.11円まで切り返したものの勢い付かずに8日深夜に160.47円へ下落し、その後は160.70円近辺での横ばい推移に留まっている。
7月3日にかけては徐々に底上げをしてから一段高を繰り返す右肩上がりの展開だったが、その後は戻り高値を切り下げてから一段安を繰り返す右肩下がりの展開に入っており、6月4日安値154.54円を起点とした上昇一巡でいったん調整安期に入っている印象だ。
目先は160円台を維持して押し目形成から上昇再開ヘ進めるか、160円割れから158円台後半等を試しに向かうか試されるところだが、今夜はバーFRB副議長講演、パウエルFRB議長の上院銀行委員会での半期議会証言、財務省3年債入札、ボウマンFRB理事講演等があり、特にパウエル議長の議会証言で9月利下げ判断への前向き姿勢が顕著に示されるかどうか注目される。
7月8日にニューヨーク連銀が発表した市場調査では1年先のインフレ期待が5月の3.2%から3.0%へ低下したが、3年先は2.8%から2.9%へ上昇、5年先は3.0%から2.8%に低下した。パウエル議長の議会証言後は7月11日の米6月CPIが焦点となる。
【日銀の債券市場参加者会合】
7月9日から10日にかけて日銀は債券市場参加者会合を持つ。3月会合でマイナス金利解除と利上げ及びYCC(長短金利操作)の撤廃を決め、6月会合では国債買い入れ減額方針を示したが、その国債買い入れ減額の具体策について市場関係者の意見を聞いて7月末の次回会合で具体的方針を示すと思われる。
大幅な減額なら国内長期金利上昇を招いて円高に寄与する可能性があるが、緩やかな減額ならさほどの長期金利上昇圧力にはならずに歴史的な円安傾向が続くとの見方が優勢になってゆくのではないかと思われる。
国債買い入れ額についての市場のコンセンサスは現行の月額6兆円から1年目を4〜5兆円、2年目に3〜4兆円へと減額してゆくという見方となっているが、大幅な減額や追加利上げの可能性が強まれば円高を助長することもあり得るため、会合の議論内容や日銀の7月末会合へ向けた姿勢のリーク等があればドル円が大きく動くきっかけとなる可能性もあるので注目したい。
【米長期債利回りは大幅低下一服で小動き、ナスダックとS&P500は連日の史上最高値更新】
7月8日の米長期債利回りは9日のパウエルFRB議長議会証言や11日の米6月CPI発表前で手掛かりに欠け小動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは7月5日に前日比0.08%低下して一時4.27%をつけて7月1日の4.49%以降の最低としたが、8日は4.26%まで続落したところから下げ渋って先週末比変わらずの4.28%で終了した。ひとまず下げ渋りだが7月1日をピークとした低下規模は4月25日からの低下開始時等にも近い動きで戻り一巡から低下再開に入っている印象もある。
30年債利回りは7月5日に0.05%低下したが8日も0.01%低下の4.47%となり一時4.46%をつけて7月1日の4.66%以降の最低とした。2年債利回りは7月5日に0.10%低下して一時4.60%と4月30日に付けた年初来ピークである5.05%以降の最低を更新する一段安となったが、8日も先週末比0.02%上昇の4.63%と下げ渋った。
一方でNYダウは先週末比31.08ドル安とやや下げたものの、ナスダック総合指数は先週末比50.98ポイント高と上昇して終値ベースの史上最高値を5日連続で更新、S&P500指数も最高値を更新しており、株式市場は年内利下げ開始期待による楽観的な先高感を継続している印象だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は7月3日夜高値161.94円を起点として右肩下がりの展開が続いているため、7月5日深夜の反発時高値161.32円を超えないうちは一段安余地ありとして10日の日中から12日夜にかけての間への下落を想定するが、7月5日深夜高値を超える場合はいったん戻しに入るとみて9日午後から11日朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では右肩下がりの展開ながら160.0円台後半を中心とした揉み合いのため遅行スパンは実線と交錯して方向感に欠けるものの先行スパンを上抜けない状況が続いているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは戻りを試す流れとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月4日夜から8日午前への一段安に際して指数のボトムが切り上がっているものの50ポイントを中心とした揉み合いのため、60ポイント前後で売られやすく40ポイント前後では買われやすい展開とみる。ただし、次に40ポイント割れから続落に入る場合は下げ足が速まるとみて20ポイント台への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月8日午前安値160.22円を下値支持線、7月5日深夜高値161.32円を上値抵抗線とする。
(2)161円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、160.22円割れからは160.00円、159.70円を順次試す下落を想定する。159.70円以下は反騰注意とするが、161円以下での推移が続く場合及び直前安値から1円を超える反騰がみられないうちは10日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8日夜高値161.11円超えからは5日深夜高値161.32円試しとし、高値更新へ進めないうちはその後に160.70円を割り込むところから下落再開とする。ただし、161.32円を超える場合は反騰がさらに勢い付くとみて161.50円台から161.70円前後を試す上昇を想定し、その後も161円台を維持しての推移なら10日も高値試しへ向かうとみる。
【当面の予定】
7/9(火)
日銀が債券市場参加者会合(7月10日まで)
10:30 (豪) 6月 NAB企業景況感指数 (5月 6)
22:15 (米) バーFRB副議長、講演
23:00 (米) パウエルFRB議長、上院銀行委員会で半期議会証言
26:00 (米) 財務省3年債入札
26:30 (米) ボウマンFRB理事、講演
7/10(水)
08:50 (日) 6月 国内企業物価指数 前月比 (5月 0.7%、予想 0.4%)
08:50 (日) 6月 国内企業物価指数 前年同月比 (5月 2.4%、予想 2.9%)
10:30 (中) 6月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (5月 -1.4%、予想 -0.8%)
10:30 (中) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 0.3%、予想 0.4%)
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.50%、予想 5.50%)
23:00 (米) 5月 卸売売上高 前月比 (4月 0.1%)
23:00 (米) パウエルFRB議長、下院金融サービス委員会で半期議会証言
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:30 (米) クールズビー・シカゴ連銀総裁、ボウマンFRB理事、イベント挨拶
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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