ドル円見通し 連日の高値更新だが162円台へ進めずやや足踏み(24/7/3)

ドル円は、7月2日午後に161.74円まで高値を伸ばした後はやや下げている。

ドル円見通し 連日の高値更新だが162円台へ進めずやや足踏み(24/7/3)

連日の高値更新だが162円台へ進めずやや足踏み

〇昨日のドル円、高値161.74つけるも7/4米市場休場と週末の雇用統計控え162円台乗せへの勢い欠ける
〇パウエル議長のハト派発言で161.27まで下げるが、JOLTS求人件数の予想比大幅増で下げ渋る
〇パウエル議長、ECBフォーラムで利下げ開始「時期は言及しない」と明言避け、慎重姿勢の印象与える
〇本日、ADP雇用報告、貿易収支、新規失業保険申請件数、ISM非製造業景況指数、FOMC議事要旨
〇米長期債利回り、7/2は前日比0.04%低下の4.43%で連騰一服
〇米株式市場、9月利下げ開始期待で上昇基調維持。ナスダック、S&Pは終値ベースの史上最高値更新
〇161.27上回る内は、161.74超えから162.00から162.25への上昇を想定
〇161.27割れからは下向きとし161円試し、161円割れからは160.65から160.35への下落想定

【概況】

ドル円は7月2日午後高値で161.74円を付けて2日未明高値161.72円をわずかに更新したが7月4日の米国市場休場と週末の米雇用統計を控えて162円台へ乗せる勢いに欠け、ECBフォーラムにおけるパウエルFRB議長発言がややハト派姿勢だったとして年内利下げ期待度が高まり米長期債利回りの低下を見て2日夜安値161.27円まで下げた。その後は米JOLTS求人件数が予想を大幅に上回る増加となったことでドル安に歯止めがかかったためにドル円も下げ渋りとなり、3日朝時点では161.40円近辺で小動きとなっている。
7月3日はADPの6月全米雇用報告、5月米貿易収支、米週間新規失業保険申請件数、ISM6月米非製造業景況指数、4日3時にはFOMC議事要旨(6月11-12日開催分)の発表等が予定されている。7月4日が米独立記念日で休場となるが7月5日の米6月雇用統計が今後の方向性を決める上で最重要と思われる。

パウエルFRB議長はECB主催会合で米国のインフレ率について「来年遅くかその翌年にFRBの目標である2%に達成する可能性がある」、「米国はディスインフレの道に戻ったものの、FRBは利下げに着手する前にインフレが鈍化しているとの確信を持ちたい」等と述べたため市場の年内利下げ期待度が高まったが、9月FOMCでの利下げ開始については「時期は言及しない」と明言を避け、まだ暫く慎重な姿勢との印象も与えた。
6月FOMCでのドットプロットでは年内利下げ無しが4名、1回利下げが7名、2回利下げが8名で予想中央値は1回とされたが、米金利先物市場等では9月利下げ開始と年末までにもう1回の利下げがあり得るとの見方が優勢だ。

米労働省が7月2日に発表した5月のJOLTS(雇用動態調査)求人件数は前月から22万1000件増の814万件となり市場予想の791万件を大幅に上回り前月までの2か月連続の大幅減少から増加に転じた。FRBにとってはインフレの顕著な鈍化傾向を慎重に確認したいものの労働市場の悪化が顕著になる場合には利下げ先送りによる景気へのリスクを踏まえて利下げ判断を速める可能性もあるが、米経済指標がしっかりしつつ労働市場関連指標も強いなら利下げを急ぐ必要性も後退する。

【米長期債利回りは連騰一服で低下、ナスダックは連日の史上最高値更新】

7月2日の米長期債利回りはECBフォーラムでのパウエル議長発言がハト派姿勢だったとして9月利下げ開始期待が増したとの見方から総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは6月28日に前日比0.11%上昇、7月1日に同0.07%上昇と連騰して一時4.50%をつけたが、7月2日は連騰一服で前日比0.04%低下の4.43%に終わった。30年債利回りも同様に連騰一服となり0.02%低下の4.61%、2年債利回りも0.01%低下の4.75%に終わった。
米大統領選挙を巡るトランプ氏優勢の流れが先行きの財政支出拡大を連想させていることが米長期債利回り上昇要因となる一方で利下げ期待が上昇を抑える展開となっており、今週末の米雇用統計から今後の方向性も見えてくるのではないかと思われる。

一方で米国株式市場は9月利下げ開始への楽観的期待を優先して上昇基調を維持している。7月2日のNYダウは前日比162.33ドル高と上昇して7月1日の50.66ドル高から連騰し、ナスダック総合指数は前日比149.46ポイント高で終値ベースの史上最高値を2日連続で更新、高値で18031.29を付けて6月28日の取引時間中史上最高値18035.00にあと一歩まで迫った。S&P500指数も前日比33.92ポンと高と上昇して終値の史上最高値を更新した。
日経平均が7月2日に4万円台を回復したが、米国株高がアジア株高につながれば日経平均の上昇とともにドル円も押し上げられやすくなる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は6月28日高値161.26円から28日夜安値160.24円へいったん下げてから一段高したために6月28日夜安値を起点とした上昇期に入ったとして7月3日午前から5日午前にかけての間への上昇を想定したが、7月2日午後に161.74円まで高値を伸ばした後はやや下げている。
7月2日夜安値161.27円を上回るうちは一段高余地ありとみるが、161.27円割れからはいったん下げに入る可能性があるとみて7月3日夜から5日深夜にかけての間への下落を想定する。ただし、いったん弱気転換した後に7月2日以降の高値を更新するところからは次の上昇期入りとして5日午後から9日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表で7月2日午後高値以降の上げ渋りで遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンを上抜いた状況は維持されているので、先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転からの上昇余地ありとするが、7月2日夜安値割れからは下向きとして、先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。ただし、いったん先行スパンからの転落を試してもその後に先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は7月1日未明高値から2日午後高値への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられてから40ポイント台へ低下した。60ポイント超えからは上昇再開とみるが60ポイント以下に留まるうちは下向きとして40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月2日夜安値161.27円を下値支持線、7月2日午後高値161.74円を上値抵抗線とする。
(2)161.27円を上回る内は161.74円超えから162円台序盤(162.00円から162.25円)への上昇を想定する。162円手前では介入警戒感で足踏みする可能性もあるが、米経済指標が強く米長期債利回りが再上昇する場合は162.50円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)161.27円割れからは下向きとして161円試しとし、161円割れからは160.0円台中盤(160.65円から160.35円)への下落を想定する。161円割れを買われて161.50円を超える場合と、160.50円以下へ下げてから161円を超えるところからは押し目形成から次の上昇期に入ると考えて162円台への挑戦へ進む流れと考える。

【当面の予定】

7/3(水)
10:45 (中) 6月 財新 サービス業PMI (5月 54.0、予想 53.4)
16:55 (独) 6月 HOCB サービス業PMI・改定値 (速報 53.5、予想 53.5)
17:00 (欧) 6月 HOCB サービス業PMI・改定値 (速報 52.6、予想 52.6)
17:30 (英) 6月 S&Pグローバル サービス業PMI・改定値 (速報 51.2、予想 51.2)
18:00 (欧) 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 -1.0%、予想 -0.1%)
18:00 (欧) 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 -5.7%、予想 -4.1%)
20:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、パネル討論会
21:15 (米) 6月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (5月 15.2万人、予想 16.0万人)

21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -746億ドル、予想 -762億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.3万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 183.9万人、予想 184.0万人)
22:45 (米) 6月 S&Pグローバル サービス業PMI・改定値 (速報 55.1、予想 55.1)
23:00 (米) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 0.7%、予想 0.2%)
23:00 (米) 6月 ISM非製造業景況指数 (5月 53.8、予想 52.5)
23:15 (欧) ラガルドECB総裁、ECBフォーラム閉会挨拶
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月12-13日分)

7/4(木)
英国総選挙、休場 米国
10:30 (豪) 5月 貿易収支 (4月 65.48億豪ドル、予想 63.00億豪ドル)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -0.2%、予想 0.6%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前年同月比 (4月 -1.6%、予想 -5.8%)
20:30 (欧) ECB(欧州中銀)理事会議事要旨



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