約38年ぶり高値圏で一進一退。心理的節目162.00突破は時間の問題
〇ドル円、円キャリー継続、日経平均株価堅調等にアジア時間に161.77まで上昇後、161円台前半に反落
〇急上昇への反動売り、神田財務官の牽制発言、パウエルFRB議長のハト派発言、米長期金低下等が背景
〇ユーロドル、欧州株不冴え、ECB関係者のハト派発言等に一時1.0709まで下落、1.07台半ばでの推移
〇ドル円、テクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズ的にもドルロング保有安心材料多い
〇心理的節目162.00の突破は時間の問題か、86年11月高値164.50をターゲットに、今後も上昇続く
〇本日の予想レンジ:161.00ー162.50
海外時間のレビュー
2日(火)のドル円相場は高値更新後に伸び悩む展開。(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの継続や、(2)日経平均株価の堅調推移(日経平均の4万円台回復→リスク選好の円売り)が支援材料となり、アジア時間午後にかけて、約38年ぶり高値161.77まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(4)神田財務官による「最近の為替の動きは投機的な動きの兆候を示している」との円安牽制発言、(5)パウエルFRB議長による「予想外の労働市場の軟化は行動のきっかけになり得る」「物価はディスインフレ傾向再開を示すようになった」とのハト派的な発言、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値161.27まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)米5月JOLTS雇用動態調査(結果814.0万件、予想791.0)の市場予想を上回る結果や、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間7/3午前6時45分現在)では、161.45前後で推移しております。
2日(火)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。(1)欧州株の冴えない動き(リスク回避のユーロ売り)や、(2)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「大きなマイナスサプライズがない限り二回目の利下げ余地がある」とのハト派的な発言、(3)ポルトガル中銀センテノ総裁による「インフレ率が2025年に2%になることに対して自信がある」とのハト派的な発言、(4)スロベニア中銀バスレ総裁による「予想通り進むなら追加利下げの可能性」とのハト派的な発言が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0709まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)パウエルFRB議長による「予想外の労働市場の軟化は行動のきっかけになり得る」「物価はディスインフレ傾向再開を示すようになった」とのハト派的な発言、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0747まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/3午前6時45分現在)では、1.0745前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は高値圏での一進一退が続いていますが、強い買いシグナルと示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立しているため、テクニカル的に見て、地合いは極めて強い(心理的節目162.00の突破は時間の問題)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの継続と、政府・日銀による介入警戒感の後退という組み合わせが、ドル円ロング保有に安心感をもたらしているため、ドル買い・円売りの流れは当面の間続くと考えられます。メインシナリオに対するリスクシナリオとしては、政府・日銀による実弾為替や、大手メディア(日経新聞や時事通信など)を介した日銀の追加利上げを示唆する報道などが考えられますが、現時点ではその可能性も低いと考えられるため、ドル円は1986年11月に記録した高値164.50をターゲットに、今後も上昇トレンドが続きそうです。尚、本日は、米6月ADP雇用統計や、米新規失業保険申請件数、米6月ISM非製造業総合指数、米FOMC議事要旨などが予定されております。
本日の予想レンジ:161.00ー162.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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