38年ぶり高値の160円台へ、ドル高は続く
〇本日のドル円、160.80レベルを日中高値に緩やかに下降、「寄り付き高・大引け安」の様相
〇鈴木財務相や林官房長官からの円安けん制発言、効果は限定的
〇テクニカルには、明確な上値メドは見当たらない状況
〇本日は米1QGDP確報、週間新規失業保険申請件数等の発表に注意
〇ドル高・円安方向、昨日高値160.87をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向、昨日しっかり超えた160円が最初のサポートか
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが小安い。前日160円をしっかりと超えるなか、円安けん制発言などもあり目先は調整売りに押されている。
ドル/円は寄り付いた160.80円レベルを日中高値にドルがやや冴えない。1990年高値も超え、実に38年ぶり高値ということで、市場では介入警戒感も強かった。ドルは緩やかな下降をたどるなど、さながら「寄り付き高・大引け安」の様相。ドルが大きく崩れることはなかったが、それでも160.30円レベルへと値を崩し、16時現在では160.45円前後で推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「当局介入姿勢」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、先週末から過去3営業日のドル/円高値が159.87円、159.93円、159.75円で160円を前に上げ渋っていたドル/円だったが、昨日ついに160円超え。そして、そのままの勢いで高値160.87円まで一気に値を上げている。レベル感、そして進行スピードの速さという2つの観点から、神田財務官は昨夜のうちに「過度な変動あれば適切な対応取る」と口先介入。また本日も、鈴木財務相や林官房長官から同様の円安けん制発言が聞かれていた。しかし、肝心の効果は限られており、市場では言葉だけでなく実弾介入に動くことが出来るか否かが注視されているようだ。
対して後者は、共同通信が、EUとウクライナが早ければ27日にも安全保障協力の協定を結ぶ見込みと報じている。将来的にウクライナが攻撃された場合は24時間以内に支援について協議する枠組みを新たに設けることが協定草案で分かったという。続報などに注目だ。一方、それが影響したのかロシアのプーチン大統領は、参加した会合で自国に対する脅威を真剣に受け止め、適切な対応を計画し、軍隊と海軍を強化しなければならないとの見方を示していたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は160円を前に上げ渋っていたものの、「4度目の正直」でついに上抜け。しかも、単に超えただけでなく、その後の値動きを見ていると足もとはしっかりと160円台に定着している。そんなドル/円、ここから先しばらくは上値メドがなく、テクニカルポイントには軽い青天井。しかし、市場では今年3月神田財務官が発したコメントをもとに、「162円レベルが次のボーダーラインになる」といった見方も聞かれていた。
市場は7月以降の日米金融政策に注目しつつ、短期的には発表される米経済指標や日米要人の発言などに一喜一憂する展開か。一方、それとは別に当局の介入スタンスや、月末週ということでの需給要因などもリスク要因としてもちろん要注意。なお、先で指摘した「162円ボーダーライン」説は、神田財務官による「わずか2週間で4%といった、大きな変動が見られるのは違和感」−−との発言がおおもとだという。現在の数値に適用すると162円レベルになるが、果たしてどうなるか。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は38年ぶりとなる高値圏に達しており、すでに明確な上値メドは見当たらない状況だ。昨日高値160.87円を超えれば、台替わりということで161円が一応意識されようが、あっさり抜けていく展開も否定できない。
しかし、実弾介入が実施されればもちろんのこと、単なるレートチェックの噂などが台頭しただけでも1円程度はすぐに下落するだろう。まずは昨日安値159.61円をめぐる攻防に注目だ。
本日は米経済指標として、1-3月期GDP統計の確報値や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。基調は間違いなくドル高方向に高いだけに、予想外に数字が悪化した場合にはより注意が必要だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは159.70-161.00円。ドル高・円安方向は、昨日高値160.87円をめぐる攻防に注目。上抜けると青天井だが、それでも161円が一応意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、昨日160円をしっかり超えたのち、一度も下回っていない160円が最初のサポートか。それを下回ると昨日安値159.61円がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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