心理的節目160.00を突破し、約38年ぶり高値圏へと急上昇
〇ドル円、米金利上昇、直近高値160.24突破に伴う仕掛け的ドル買い等に米国時間に160.88まで上昇
〇ユーロドル、ECB関係者のハト派発言、米金利上昇等に1.06台後半に下落
〇ドル円「心理的節目160.00」「4/29高値160.24」「1990年4月高値160.33」の上方ブレイクに成功
〇テクニカル的に見て、地合いは極めて強い
〇ファンダメンタルズも、介入警戒感の後退、円キャリートレードの長期化期待等がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:159.75ー161.50
海外時間のレビュー
26日(水)のドル円相場は大幅上昇。アジア時間朝方にかけて、安値159.62まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの活発化や、(2)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(3)節目160.00にセットされていたリバースノックアウトオプションのトリガーヒット(オプション勢による防戦売りの買い戻し操作)、(4)4/29に記録した直近高値160.24突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値160.88(1986年12月以来、約38年ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/27午前6時00分現在)では、160.78前後で推移しております。尚、昨日は神田財務官による「高い警戒感を持って市場の動向を注視している」「最近の急速な円安進行に関しては深刻な懸念を有する」との普段より強めのトーンの円安牽制発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
26日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0718まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ドイツ7月GFK消費者信頼感指数(結果▲21.8、予想▲19.5)の市場予想を下回る結果や、(2)フィンランド中銀レーン総裁による「ECBの利下げが年内あと2回との市場の期待は妥当」とのハト派的な発言や、(3)イタリア中銀パネッタ総裁による「ECBは見通しが維持されれば徐々に金利を引き下げる可能性がある」とのハト派的な発言、(4)ラトビア中銀カザークス総裁による「一歩ずつ利下げを進めていく」とのハト派的な発言、(5)6/30に予定されているフランス総選挙を控えた警戒感、(6)欧州株の冴えない動き、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0666まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/27午前6時00分現在)では、1.0678前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円はついに「心理的節目160.00」「4/29高値160.24」「1990年4月高値160.33」の上方ブレイクに成功し、約38年ぶり高値となる160.88(1986年12月以来の高値圏)まで急伸しました。上位足から下位足に至る全てのテナーで強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立しており、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(節目160.00や160.50にセットされていたリバースノックアウトオプションがトリガーヒットしたことも、市場のガンマロング消失を通じて、ドル円相場を押し上げる一因に)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)政府・日銀による介入警戒感の後退(イエレン米財務長官はこれまで日本の為替介入を念頭に「為替介入は稀であるべき」と繰り返し牽制している他、米財務省も先週末金曜日に日本を外国為替報告書の「監視リスト」へ追加→米国への配慮から政府・日銀がこのタイミングで為替介入に踏み切る可能性は低いとの見方が市場コンセンサス)や、(2)米FRBによる金融引き締め長期化観測(先般発表された米FOMCのドットチャートは予想外にタカ派的な内容。その後の米当局者発言も総じてタカ派寄り)、(3)日銀による金融緩和の長期化観測(先般実施された日銀金融政策決定会合は予想外にハト派的内容。格付け会社ムーディーズは「日銀は利上げに時間をかける見通し」との見解を発表)、(4)上記2、3を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。
ドル円が160円台に乗せたことで、政府・日銀による口先介入は増えると見られるものの、市場は上記1で示した通り、実弾為替介入実施のハードルは極めて高いと見ていることから、ドル高・円安の流れは止められないと考えられます(仮にドル円が介入への思惑で下がったとしても、絶好の押し目買い機会として、ドル買い・円売りが殺到する可能性あり)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は、米1ー3月期GDP統計確報値や、米5月耐久財受注速報値、米新規失業保険申請件数、米5月中古住宅販売成約指数、米カンザスシティ連銀6月製造業活動指数、米財務省7年債入札などが予定されております。
本日の予想レンジ:159.75ー161.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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