161円に迫り1986年12月以来凡そ38年振り高値水準に到達
〇昨日のドル円、夕刻に6/24午前高値159.92を超え、160円台に到達
〇夜に神田財務官のけん制発言報じられるも、ドル円は続伸
〇米長期債利回り上昇やユーロドル一段安によるドル高優勢の流れで、6/27早朝160.86をつける
〇FRB高官のタカ派姿勢や今週の米財務省大量国債入札を受け、ドルは全面高に
〇クロス円はほぼ全面高、ドル高以上の円安という印象
〇1990年4月高値160.38を超えた段階で、上値抵抗目安は暫く無し
〇160.35を上回るうちは上昇余地ありとし、160.86超えからは161円台中盤への上昇を想定
〇160.35割れからは160.00前後への下落を想定
【概況】
ドル円は6月26日夕刻に6月24日午前高値159.92円を超えて160円台に到達したが、160円到達で市場介入がみられず、米長期債利回りの上昇やユーロドルの一段安によるドル高優勢の流れで4月29日高値160.16円を超えて続伸し27日早朝に160.86円を付けた。
26日夜に市場介入の現場責任者である財務省の神田財務官は「深刻な懸念を有しており、高い警戒感を持って市場の動向を注視している」、「足元の動きというのは急激」で「行き過ぎた動きに対しては必要な対応を取っていく」と述べて市場介入をちらつかせてけん制したものの財務官発言が報じられてもドル円は続伸した。
6月26日夜に米商務省が発表した5月新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比11.3%減の61.9万戸となり前年同月比は16.5%減だったが市場の反応は鈍かった。
米長期債利回りは25日のFRB高官によるタカ派姿勢や今週の米財務省大量国債入札を背景に総じて上昇、ユーロドルは26日夜に1.0665ドルへ下落して6月4日高値1.0915ドル以降の安値を更新、ポンドドルも6月12日以降の安値を更新してメジャー通貨でドルは全面高となった。ユーロ円は4月29日高値を超えて2012年7月底以降の最高値を更新、ポンド円は2020年3月底以降の最高値を更新、豪ドル円は2008年10月以降の最高値を更新するなどクロス円はほぼ全面高であり、ドル高以上の円安という印象だ。
【過去の高値による上値抵抗目安は暫く無し】
ドル円は1986年12月以来凡そ38年振り高値水準に達したが、1986年は1985年2月高値263.84円から1988年1月安値120.18円まで大規模で長期的な円高期の途中であり、1990年4月高値160.38円を超えた段階でチャート上の上値抵抗線目安となる過去の高値は1985年2月高値まで見当たらなくなっている。
160円到達及び4月29日の今年一度目の市場介入時水準を超えたにもかかわらず三度目の介入がなかったということは、6月20日の米財務省為替報告において日本が1年振りに監視対象国へ再指定されたことで政府・日銀は市場介入しづらくなったためという見方もされている。心理的な節目としては165円前後まで次の介入目安=円安防衛ラインが切り上がった可能性も指摘されるところだ。
日本経済の低迷、日銀が利上げに踏み切り国債介入額を減らして国内長期債利回りが上昇しても日米長期金利差が拡大した状況は変わらないこと、日銀も円安阻止を目的とした大幅利上げはできないであろうことから、市場介入への姿勢を問うような投機的な円売りが続きやすくなったと思われる。
ただし、6月24日夜に一時急落したような警戒感からの売り注文連鎖による波乱は起きやすく、5月16日安値や6月4日安値にかけての下落時のような数日で3円超規模の下落がいつ入っても不思議ない局面と注意したい。
【米長期債利回りは総じて反騰】
6月26日の米長期債利回りは総じて上昇した。今週は大量の四半期国債入札があり上昇しやすい環境にあることと、25日にFRBのボウマン理事やクック理事が相次いで利下げへの慎重姿勢を示したことで債券売り・利回り上昇を招いた。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%上昇の4.33%となった、6月14日に付けた4.19%から暫く下げ渋り型の持ち合いで推移していたが持ち合いレンジを上放れして上昇再開感を強めた。30年債利回りも前日比0.08%上昇の4.46%となり10年債と同様に下げ渋り持ち合いから上放れしたが、2年債利回りは前日比0.01%上昇の4.75%となり持ち合い範囲にとどまっている。今後の方向性は6月28日の米PCE統計を見てからと思われる。
一方でNYダウはアマゾンやアップルの上昇に支えられて前日比15.64ドル高と小幅ながら反発、ナスダック総合指数は87.51ポイント高と上昇したが、いずれも5月末からの上昇一服感で様子見の印象だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は6月24日夜に一時159円を割り込む波乱となったために25日午前時点では24日午前高値を目先のピークとしたが、6月25日午前安値159.18円から159円台後半へ戻したために26日午前時点では25日午前安値を目先の底とした上昇期入りとして27日午前から7月1日午前にかけての間への上昇を想定した。
6月27日早朝へ一段高した後も160円台中盤を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、市場介入及び介入警戒感による反落にも注意し、160円割れからはいったん下落期に入るとみて28日午前から7月2日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月27日早朝への大幅高で遅行スパンが好転して先行スパンからも大幅に上方乖離している。26本基準線を上回るうちは上昇余地ありとするが、26本基準線割れからは弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落した後も続落する場合はやや大きめの調整安期に入る可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は6月26日夜に80ポイントを超えてから27日午前序盤に70ポイントを割り込んでいる。波乱注意として50ポイントを上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とする。50ポイント割れから続落の場合はいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
【当面の予定】
6/27(木)
EU首脳会議(6/28まで)、米大統領選挙候補者第1回テレビ討論会
10:00 (NZ) 6月 ANZ企業信頼感 (5月 11.2)
18:00 (欧) 6月 消費者信頼感・確定値 (5月 -14.0、予想 -14.0)
18:00 (欧) 6月 経済信頼感 (5月 96.0、予想 96.2)
21:30 (米) 5月 卸売在庫 前月比 (4月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 1.3%、予想 1.3%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費・確定値 前期比年率 (改定値 2.0%、予想 2.0%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCEデフレーター・確定値 前期比年率 (改定値 3.6%、予想 3.6%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 0.7%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.8万件、予想 23.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 182.8万人、予想 182.4万人)
23:00 (米) 5月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (4月 -7.7%、予想 0.5%)
23:00 (米) 5月 NAR住宅販売保留指数 前年同月比 (4月 -0.8%、予想 -4.6%)
26:00 (米) 財務省7年債入札
6/28(金)
休場 ニュージーランド
08:30 (日) 6月 東京区部コアCPI(消費者物価指数・生鮮食料品除く) 前年同月比 (5月 1.9%、予想 2.0%)
08:30 (日) 5月 失業率 (4月 2.6%、予想 2.6%)
08:50 (日) 5月 鉱工業生産・速報値 前月比 (4月 -0.9%、予想 2.0%)
08:50 (日) 5月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (4月 -1.8%、予想 -0.1%)
14:00 (日) 5月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (4月 13.9%、予想 -6.2%)
15:00 (英) 1-3月期 GDP・改定値 前期比 (速報 0.6%、予想 0.6%)
15:00 (英) 1-3月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 0.2%)
15:00 (英) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -212億ポンド、予想 -175億ポンド)
16:55 (独) 6月 失業率 (5月 5.9%、予想 6.0%)
19:00 (日) 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
19:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
19:00 (欧) ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
21:30 (米) 5月 個人所得 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 PCE(個人消費支出) 前月比 (4月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 PCEデフレーター 前年同月比 (4月 2.7%、予想 2.6%)
21:30 (米) 5月 コアPCEデフレーター・食品・エネルギー除く 前月比 (4月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 5月 コアPCEデフレーター・食品・エネルギー除く 前年同月比 (4月 2.8%、予想 2.6%)
22:45 (米) 6月 シカゴ購買部協会景況指数 (5月 35.4、予想 40.0)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 65.6、予想 66.0)
25:00 (米) ボウマンFRB理事、質疑応答
6/30(日)
22:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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