来週の為替相場見通し:『ドル円は159円台半ばへ急伸。約34年ぶり高値が射程圏内に』(6/22朝)

ドル円は週末にかけて159円台半ばへ急伸するなど、力強い動きが続いています。

来週の為替相場見通し:『ドル円は159円台半ばへ急伸。約34年ぶり高値が射程圏内に』(6/22朝)

『ドル円は159円台半ばへ急伸。約34年ぶり高値が射程圏内に』

〇今週のドル円、週末にかけて、週間高値159.63まで急伸、159円台後半で越週
〇FRB関係者のタカ派発言、米外国為替報告書による日本の「監視リスト」追加決定等が背景
〇ユーロドル、仏政局不安後退等に週前半1.0762まで上昇後、週末にかけ1.0671まで下落
〇スイス中銀のサプライズ利下げ、米欧の金融政策の方向性の違い、ユーロ圏PMIの不冴え等が重石
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、ファンダメンタルズもドル円の続伸を連想させる材料揃う
〇来週は6/28の米PCEデフレータ、6/24の日銀金融政策決定会合における「主な意見」に注目集まる
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):157.50ー161.00、(EURUSD):1.0550−1.0800

今週のレビュー(6/17−6/21)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初157.38で寄り付いた後、早々に週間安値157.15まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)米6月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果▲6.0、予想▲10.0)の市場予想を上回る結果や、(2)フィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「今年は1回の利下げが適切だと思う」とのタカ派的な発言、(3)リッチモンド連銀バーキン総裁による「今年の第1四半期はインフレに対する確信が得られなかった」とのタカ派的な発言、(4)ボストン連銀コリンズ総裁による「インフレが2%に向けて低下しているかどうかを判断するのは時期尚早」とのタカ派的な発言、(5)セントルイス連銀ムサレム総裁による「利下げを支持するデータが出るまで数四半期かかる」「インフレ進展が停滞もしくは反転した場合、利上げを支持する」とのタカ派的な発言、

(6)ダラス連銀ローガン総裁による「2%に向かうと確信するにはあと数カ月見る必要」とのタカ派的な発言、(7)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「インフレ目標達成まで1ー2年かかる可能性がある」とのタカ派的な発言、(8)日米金利差に着目した円キャリートレードの継続期待、(9)直近高値突破(6/14高値158.27突破)に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、(10)米財務省・外国為替報告書による日本の「監視リスト」追加決定(政府・日銀による為替介入が一段とやり辛くなるとの見方の広がり)、(11)本邦5月全国消費者物価コア指数(結果+2.5%、予想+2.6%)の市場予想を下回る結果、(12)本邦5月全国消費者物価コアコア指数(結果+2.1%、予想+2.2%)の市場予想を下回る結果、

(13)米6月製造業PMI(結果51.7、予想51.0)の市場予想を上回る結果、(14)米6月非製造業PMI(結果55.1、予想54.0)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、週末にかけて、週間高値159.63(4/29以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/22午前4時00分現在)では、159.55前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0702で寄り付いた後、(1)フランスを巡る政局不透明感の緩和(極右政党の国民連合を率いるルペン氏が「次期国政選挙で勝利した場合にマクロン現大統領と協力する」と発言→フランス政治を巡る過度な警戒感の後退)や、(2)上記1を背景とした欧州株の持ち直し(投資家のリスク回避ムード後退→欧州株反発→ユーロ反発)、(3)米5月小売売上高の冴えない動き(対主要通貨でのドル売り圧力)が支えとなり、翌6/18にかけて、週間高値1.0762まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)スイス中銀によるサプライズ利下げの決定(SNBは市場予想に反して25bpの利下げを決定→スイスフラン下落→ユーロ連れ安)や、

(5)BOE議事要旨のハト派的な内容(前回同様2人が25bpの利下げを主張→英ポンド下落→ユーロ連れ安)、(6)米当局者による相次ぐタカ派発言(米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測→米金利上昇に伴うドル買い圧力)、(7)ユーロ圏6月消費者信頼感指数(結果▲14.0、予想▲13.8)の市場予想を下回る結果、(8)ユーロ圏6月製造業PMI(結果45.6、予想47.9)の市場予想を下回る結果、(9)ユーロ圏6月非製造業PMI(結果52.6、予想53.4)の市場予想を下回る結果が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0671まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/22午前4時00分現在)では、1.0695前後で推移しております。

来週の見通し(6/24−6/28)

<ドル円相場>
ドル円は週末にかけて159円台半ばへ急伸するなど、力強い動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けしていることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、日足のみならず下位足から上位足に至る全てのテナーで買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(4/29高値160.24と5/3安値151.87を起点としたフィボナッチ78.6%戻しも達成済み)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(先週開催された米FOMCは予想以上にタカ派的な内容→今週は米当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ結果)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(先週開催された日銀金融政策決定会合は予想以上にハト派的な内容→今週発表された本邦のコアCPI、コアコアCPIは共に市場予想を下回る結果)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差は当面縮まらないとの見方から円キャリートレードが本格再開)、(4)政府・日銀による介入警戒感の後退(イエレン米財務長官による複数回にわたる牽制発言に加えて、今週は米財務省が日本を外国為替報告書の「監視リスト」に追加→政府・日銀は米国への配慮から例え4/29に記録した高値160.24付近まで円安が進行したとしても為替介入に踏み切りづらい→円安が一段と進むとの思惑)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記1を見極める目的で6/28に予定されている米5月PCEデフレータに注目が集まります。直近で発表された米CPI、米PPIがいずれも市場予想を下回ったことから、来週発表されるPCEデフレータについても鈍化が既に織り込まれている状況です(市場予想を下回ったとしてもドル売りでの反応は限定的)。従って、サプライズは市場予想を上回る場合(インフレ昂進→米金利上昇→米ドル買い)となりそうです。また、来週は上記2を見極める目的で6/24に予定されている日銀金融政策決定会合における「主な意見」にも注目が集まります。

市場の関心は7月会合での国債買い入れ減額と追加利上げの同時決定があるか否かに移っていますが、当方は「国債買い入れ減額」と「追加利上げ」の同時決定は難しいと見ているため、仮に来週発表される「主な意見」で追加利上げを示唆するコメントが見られたとしても、円買いでの反応は一時的なものに留まりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(目先は4/29に記録した約34年ぶり高値160.24を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):157.50ー161.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は6/4に記録した約2ヵ月半ぶり高値1.0917をトップに反落に転じると、今週末にかけて一時1.0671まで下落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲下限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の先行き不透明感(今週発表されたドイツ6月ZEW、ユーロ圏6月消費者信頼感、ユーロ圏6月PMIはいずれも市場予想を下回る冴えない結果)や、(2)米FRBによる金融引き締め長期化観測、(3)ECBによる根強い追加利下げ観測(ECBは先々週の理事会で25bpの利下げを決定→その後も複数のECB当局者より年内追加利下げを示唆する発言あり)、

(4)上記2、3を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力)、(5)フランスを巡る政局不安(フランスの世論調査でマリーヌ・ルペン氏が率いる極右の国民連合=RNが得票率トップになるとの結果→6/30に実施されるフランス下院選挙に向けて欧州株やユーロがもう一段下げ足を速める恐れあり)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(目先は4/16に記録した直近安値1.0601を試すシナリオを想定)。尚、来週はフランス下院選挙に絡む各種報道に加えて、6/24のドイツ6月IFO景況感指数や、6/28のECB消費者期待調査などにも注目が集まります。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0550−1.0800

注:ポイント要約は編集部

『ドル円は159円台半ばへ急伸。約34年ぶり高値が射程圏内に』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る