6月14日高値に迫った後も157円台後半を維持、ダブルトップ破りに挑戦
〇昨日のドル円、夕刻に158.22をつけ日銀会合後高値に迫った後も157.50以上を維持して確り
〇米5月小売高不冴えで米長期債利回低下、ドル円の上値が抑えられた印象
〇FRB高官らの利下げ慎重姿勢続くがサプライズ感無く、市場の反応鈍い
〇米10年債利回りは再び低下、ダウは連騰、ナスダック最高値更新続く
〇157.49以上での推移中は158.25超えから158.50前後への上昇を想定
〇157.49割れからはダブルトップ形成からの下落期入りとみて157円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は6月14日に日銀会合後の急伸で158.25円を付けて6月4日安値154.54円以降及び5月3日安値151.85円以降の高値を更新し、14日午後の植田日銀総裁会見を挟んだ急落で14日夜安値156.88円まで下げて日銀会合後の上昇幅をいったん解消したが、その後は円安基調継続感が勝り17日夜に157.95円へ上昇し、18日午前の157.50円割れを買われて18日夕刻に158.22円を付けて6月14日高値に迫った。高値更新には至らなかったもののその後も157.50円以上を維持して確りしている。
6月18日は米小売売上高が冴えなかったことが米FRBの利下げ判断に寄与するとして米長期債利回りが低下したことでドル円の上値が抑えられた印象だ。FRB高官や地区連銀総裁らの発言も多かったが、従来通りに年内利下げの可能性に含みを持たせつつ慎重な姿勢を示すものが多かったものの市場もある程度織り込み済として反応は鈍かった。
6月19日は米国市場休場となる。
【米小売売上高は冴えず】
6月18日に米商務省が発表した5月小売売上高は前月比0.1%増で4月の0.2%減(速報の0.0%から下方修正)から持ち直したものの市場予想の0.2%増を下回った。自動車・同部品を除くと0.1%減で市場予想の0.2%増を下回り、ガソリンを除き0.3%増、自動車・同部品・ガソリンを除くと0.1%増だった。
米FRBが発表した5月鉱工業生産指数は前月比0.9%上昇して4月の0.0%から改善し市場予想の0.2%を大幅に上回った。設備稼働率は78.7%で4月の78.2%から上昇して市場予想の78.6%を上回ったが長期平均を0.9%下回った。
【FRB高官らの利下げ慎重姿勢は続くがサプライズ感は無し】
米議会の超党派機関である議会予算局(CBO)は6月18日に予算見通しを発表し、2024年度(2023年10月〜2024年9月)の財政赤字が2月時点の予想から27%増となる1兆9150億ドルに拡大するとの試算を示したが、この報告書の中では、今年10-12月期のPCE(個人消費支出)デフレーターが前年同期比2.7%(2月時点は2.1%)、年内利下げ回数は「ゼロ」とされた。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は18日に「利下げ開始時期はデータ次第」とし、FRBのクグラー理事は経済動向が予想通りなら年内いつかの時点で利下げ開始が適切になるとしたものの判断はまだ先との姿勢を示した。ボストン連銀のコリンズ総裁は最近のインフレ鈍化に勇気づけられるとしたもののインフレ鈍化プロセスは「従来の想定よりも時間がかかる可能性がある」と慎重だった。
セントルイス連銀のムサレム総裁は利下げ判断には「数カ月、それどころか数四半期かかる可能性がある」とかなり慎重な姿勢で、リッチモンド連銀のバーキン総裁もインフレ動向について「今後数カ月で多くを学ぶことになる」と述べた。
米ダラス連銀のローガン総裁は最近のデータは歓迎すべきニュースとしたが、インフレ率2%回帰見通しに本当に自信を持つには「あと数カ月分のデータを見る必要がある」と述べた。
【米10年債利回りは再び低下、ダウは連騰、ナスダック最高値更新続く】
6月18日の米長期債利回りは5月小売売上高が低調だったことと20年債入札が堅調だったことで総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%低下の4.22%となった。6月11日から4営業日連続低下で14日に一時4.19%をつけて4月25日に付けた昨年末以降のピークである4.74%以降の最低を更新したが、17日は前日比0.06%上昇となり一時4.30%まで戻したものの18日は反落となり一時4.21%をつけて6月14日の4.19%への余裕が乏しくなった。
30年債利回りは前日比0.05%低下の4.36%、2年債利回りは0.05%低下の4.72%となった。
一方で6月18日のNYダウは前日比56.76ドル高と上昇して17日の188.94ドル高から連騰し、ナスダック総合指数は前日比5.21ポイント高と小幅ながら6月10日から7連騰として7日連続で終値の史上最高値を更新、S&P500指数も13.80ポイント高で17日から連騰して取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。株式市場は年内利下げ開始が延びているものの時間の問題として楽観的な上昇を継続しておりドル円にとっては下支え要因となっている。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は6月14日午後高値158.25円に対して18日夕高値158.22円で迫った後も157円台後半を維持している。両高値をダブルトップとしていったん下落期に入る可能性もあるが、ダブルトップ破りから上昇が勢い付く可能性もあると思われる。6月18日午前安値157.49円を割り込まないうちはダブルトップ破りからの一段高を想定して19日午後から21日午後にかけての間への上昇を想定するが、18日午前安値割れからはダブルトップ後の下落期入りと仮定して19日夕から21日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月14日高値を超えなかったために遅行スパンは実線と交錯しやすい位置にあるが先行スパンを上回った状況を維持しているので、先行スパンからの転落回避中は遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落する場合はいったん仕切り直しの下落期とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月18日夕に70ポイントを超えてから失速した後を50ポイント前後の揉み合いとしているので60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント前後への上昇想定するが、40ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント以下への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月18日午前安値157.49円を下値支持線、6月14日午後高値158.25円を上値抵抗線とする。
(2)157.49円以上での推移中は158.25円超えから158.50円前後への上昇を想定する。158.50円以上は反落警戒とするが、157円台後半を維持する内は20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)157.49円割れからはダブルトップ形成からの下落期入りとみて157円前後への下落を想定する。157円以下は買われやすいとみるが、157.49円以下での推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
6/19(水)
休場 米国、トルコ
15:00 (英) 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
15:00 (英) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 2.3%、予想 2.0%)
15:00 (英) 5月 コアCPI 前年同月比 (4月 3.9%、予想 3.5%)
15:00 (英) 5月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (4月 3.3%、予想 3.1%)
17:00 (欧) 4月 経常収支・季調済 (3月 358億ユーロ)
23:00 (米) 6月 NAHB住宅市場指数 (5月 45、予想 45)
6/20(木)
07:45 (NZ) 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 -0.1%、予想 0.1%)
07:45 (NZ) 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 -0.3%、予想 0.2%)
15:00 (独) 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 0.2%)
16:30 (ス) スイス中銀 政策金利 (現行 1.50%、予想 1.50%)
17:00 (ノ) ノルウェー中銀 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.50%)
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 5.25%、予想 5.25%)
21:30 (米) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -1948億ドル、予想 -2068億ドル)
21:30 (米) 5月 住宅着工件数・年率換算 (4月 136.0万件、予想 137.5万件)
21:30 (米) 5月 住宅着工件数 前月比 (4月 5.7%、予想 1.1%)
21:30 (米) 5月 住宅着工許可件数・年率換算 (4月 145.0万件)
21:30 (米) 5月 住宅着工許可件数 前月比 (4月 -3.0%、予想 0.7%)
21:30 (米) 6月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (5月 4.5、予想 4.8)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.2万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 182.0万人)
23:00 (欧) 6月 消費者信頼感・速報値 (5月 -14.3、予想 -13.8)
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計
29:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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