ドル円 基本ドル底堅い、米指標が今週も波乱要因か(週報6月第3週)

先週のドル/円相場は、終わってみればドルが小高い。なかなか激しい乱高下をたどった1週間だったが、週末NYクローズは前週を上回っている。

ドル円 基本ドル底堅い、米指標が今週も波乱要因か(週報6月第3週)

基本ドル底堅い、米指標が今週も波乱要因か

〇先週のドル円、156.70レベルで寄り付いたのち、日米中銀会合待ちでしばらく揉み合い
〇米CPIが予想を下回り、157円台から155円台へと1円を超える下落
〇その後、米FOMCの年内一回の利下げ予想を受け、一転ドル買いに
〇6/14日銀の政策会合の結果、ハト派と受け止められ一時158円台を示現
〇夕方に植田総裁が7月以降の追加利上げの可能性に言及し、156円台まで一気に急落
〇ドル高傾向はしばらく継続か、157円以上の水準での日本当局による実弾介入にも一応要注意
〇今週は、米5月小売売上高、6月フィラデルフィア連銀景況指数等の発表に注意
〇ドル高・円安方向、先週高値158.25をめぐる攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向、短期的には21日移動平均線も近い156円台後半が最初のサポートか
〇今週のドル円予想レンジ:155.50-159.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、終わってみればドルが小高い。なかなか激しい乱高下をたどった1週間だったが、週末NYクローズは前週を上回っている。

前週末は、欧州議会選の結果が徐々に明らかになるなか、マクロン仏大統領が突然の下院解散・総選挙を表明し話題に。一方、北朝鮮が再び「汚物風船」を韓国に飛ばし、それに韓国が報復するなど、さらなる関係悪化が指摘されていたようだ。
そうした状況下、週明けのドル/円は156.70円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。週内に日米中銀会合がそれぞれ開催されることで、しばらくはそれ待ちの様相に。現地時間12日、発表された米経済指標や米金融政策をめぐり激しい上下動をたどるも、結果行って来い。そののち週末は日銀会合をめぐり、同様の乱高下となったが、最終的に週末NYは157円台。週明けよりもドル高水準で取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「日銀金融政策」について。
前者は、現地12日に発表された米消費者物価指数が予想を下回ったことが嫌気され、ドルが急落。対円では157円台から155円台へと1円を超える下落となった。しかし、そののち注目の米FOMCの結果が発表され、現行金利の据え置きは予想通りながら、先行きについて2024年の利下げ回数をわずか「1回」と予想したことがポジティブサプライズになった。ドル/円相場は一転して買いが殺到すると、結局1円強とVの字型の急回復をみている。ただ、その翌13日に発表された米生産者物価指数も同様に予想より悪化。前日の写真相場ともいえるドル売り優勢となったが、前日はVの字型の戻りを達成したこともあり、一段のドル売りにも警戒感が強かった。週間を通して、弱い米指標に翻弄されることが多く、週末に発表されたミシガン大消費者信頼感指数も大幅悪化となるなど、週明けへ警戒感を持ち越した格好と言えるだろう。

それに対して後者は、週末14日の昼過ぎ、日銀が金融政策決定会合の結果として、金利の据え置きと同時に「国債の買い入れ減額の方針」を発表した。また「次回7月の会合で今後1-2年程度の具体的な減額計画を決める」としたものの、市場はむしろ「ハト派」といった捉え方をしたようで、実際10年債金利も低下し、為替市場では円売りに繋がっていた面を否めない。ドル/円は一時1ヵ月半ぶりの158円台も。しかし、同日夕方の会見で植田総裁が「金融・為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視」と円安けん制と捉えられる発言を行ったうえ、7月以降の追加利上げの可能性に言及したことで、一転ドル/円は急反落となり、156円台まで一気に値を下げた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は先週、そして先々週と2週続けて乱高下をたどるも、終わってみればドル高を維持。前述したように先週末には1ヵ月半ぶりの高値圏、158円台を一時示現している。しかし、ドル/円の157円以上の水準は、「円買い介入シーリング」と認識している向きが多い。そして実際に、日本当局者の円安けん制発言が多くなる傾向もうかがえる。つまり、それからすると、ドル高基調そのものはまだしばらく継続する見込みだが、一本調子に160円トライといった展開は果たしてどうか。ドルの上値は重い状況が続く可能性もある。

先週明らかになった、注目の日米金融政策は上記の通り。日米金利差の早計な縮小は予想しにくく、金利差に着目した場合にはドル高・円安傾向はまたしばらく続くと予想せざるを得ない。そうした意味ではドルの底堅い値動きが見込まれるが、若干気になるのは先でも少し触れたここ最近発表される米経済指標の悪化傾向だ。今週発表される米指標が同様に悪化すれば、たとえ一時的にせよ、市場はドル売りで反応する展開を否定できないだろう。なお、そうしたなかレベル的な要因などを踏まえると、日本当局による円買い実弾介入の有無にも一応要注意だ。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先週1ヵ月半ぶりの高値158.25円を示現したが、以前からレポートしているように同レベルは高値160.22円を起点とした下げ幅の76.4%戻しに合致するフィボナッチポイント。したがってドル強気派からすると、少し嫌なレベルでドルは上げ止まったと言えそうで、早い段階での上抜けが期待されているようだ。ちなみに上抜ければ、すぐに到達するとは思われないが160円台が再び視界内に。
対してドル安方向は、足もとすでに156.70円レベルまで値を上げてきた移動平均の21日線をめぐる攻防に注目だ。下回ると先週安値155.72円が意識されかねない。

そうしたなか今週は、5月の小売売上高や6月のフィラデルフィア連銀景況指数といった米経済指標が発表される。先週は米指標が相場のかく乱要因なっていただけに、今週も一応要注意だ。また、豪州や英国の政策金利発表なども場合によっては波乱要因となるかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、155.50-159.00円。ドル高・円安については、先週高値158.25円をめぐる攻防にまずは注目。また一連の動きのなかでの、当局円買い介入姿勢を注視している向きも少なくない。
対してドル安・円高方向は、短期的には移動平均の21日線もそれほど遠くない156円台後半が最初のサポートか。実弾介入でもなければ、基本的ドルは底堅く推移しそうだが、仮に155円を割り込んでくるようだと下値は一転波乱含みだ。

基本ドル底堅い、米指標が今週も波乱要因か

ドル円日足


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