ドル円、FOMCを大きな波乱なく通過し157円台を回復
13日午前の東京市場でドル円は堅調推移。朝方156.72レベルで取引の始まったドル円は、早朝156.59まで小幅反落したものの切り返し、156円台後半でもみ合いに。その後再度買いが強まり、昼前に157.02の高値をつけた後、東京時間正午現在は156.99レベルでの取引です。
日経平均株価は、昨晩FOMC後の米市場でナスダック総合指数、S&P500が終値ベースでの最高値を更新したことで買いが先行。半導体対銘柄を中心に買われ、上げ幅は一時300円を超えました。ただ、昨晩NYダウはマイナスで引けており、FOMCもややタカ派寄りで終わったことから利食い売りが優勢となり、昼前にはマイナス転、45円安で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場では、まず、注目された5月の米消費者物価指数(CPI)が前回・予想とも+3.4%が+3.3%に鈍化。コア部分も+3.5%への鈍化予想が+3.4%と大幅なインフレ鈍化を示すものとなり、発表前157.36付近まで上昇していたドル円は155.73まで急落。
未明のFOMC結果公表では、政策に変更はなかったものの、声明文にはインフレ鎮静化に向け「緩やかな進展があった」と前回の「進展がなかった」から修正されています。
同時に発表された経済予測では24年と25年のインフレ率がPCE、PCEコアともに+0.2%、+0.1%それぞれ上方修正されました。また、政策金利予想では、前回3月時点では24年末まで3回の利下げ予想であったものが1回に変更され、24年末は4.6%から5.1%に上方修正されました。しかし、25年と26年の利下げ幅がそれぞれ1%に拡大されたことで26年末時点での予想金利3.1%は不変でした。一方失業率に関しては逆に24年については変更なかったものの、25年と26年について0.1%ずつ上方修正されています。
尚、パウエル議長は会見で、現況について「需要の緩やかな低下と労働需給の緩和、インフレ減速が同時進行している良い状態」と表現、また、前回に続き、FOMCメンバーに利上げをメインシナリオとしているものはいないとも発言しています。今回は日経の記者が「日本や一部エマージングマーケットがドル高による被害を被っている(?)が、米国経済にとってドル高は総合的にプラスか」と質問しましたが、パウエル議長は「為替レートについて考えることは財務省の仕事でFRBの役割ではない」と答える一方で、「強い米国経済を反映して昨年ドル高が進行したことは事実だが、それが米経済を利するとか毀損するとか、我々は考えない」とあくまで為替は市場次第との姿勢を示しました。
FOMC結果公表後のドル円は、政策金利予想の上方修正を受け156.90レベルまで戻しましたが、東京時間の157円台には届かず156.73で東京時間につないでいます。
テクニカルにはドル円は、昨晩のCPI発表後の急落で、一時21日移動平均線、転換線、一目均衡表の「雲」上限を割り込みましたが、基準線(155.65レベル)を前に下げ止まり、FOMC後の終値ベースでは、上記のテクニカルポイントを回復して終了しています。5/3安値と5/16安値を結んだトレンドラインは下放れ、本日156.54レベルを上昇中の21日線がサポートとなっています。
市場は、今晩の米5月生産者物価指数(PPI)、明日の日銀政策決定会合の結果公表と植田総裁の会見待ち。本日の日経新聞1面には今回の会合で保有国債の減額を検討するとの憶測記事が出ています。今晩のPPIが弱く出て、明日国債買い入れ減額が公表された場合には、市場の織り込み度合いにもよりますが、円安に一定の歯止めがかかる可能性が高く、引き続き要警戒です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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