157円台前半へ上昇後は伸び悩み、米CPIとFOMC待ちへ
〇ドル円、米10年債入札堅調で長期利回り低下、上値抑えられるも156.80への下落買われ押し目買い優勢
〇6/12夜、5月米CPI、翌3時にFOMC声明発表と重要イベント続く
〇米CPI事前予想、全体前月比が4月0.3%から0.1%へ鈍化、前年比は4月3.4%と変わらず
〇FOMC注目はドットプロット、利下げ年内1回主流ならドル高円安が勢い付き、2回ならドル安円高か
〇米株式市場の楽観的な強気姿勢継続、ナスダックとS&Pは連日の史上最高値更新
〇156.80上回るうちは上昇余地あり、157.39超えからは157.47、157.70を順次試す上昇想定
〇156.80割れから156.50試し、その後157.39超えは上昇再開、続落なら156.25から156.00へ下落想定
【概況】
ドル円は6月7日夜の米5月雇用統計が予想よりも強くインフレ指標の平均時給伸び率も予想を上回ったことをきっかけとした米長期債利回りの急伸により6月7日夕安値155.11円から7日深夜高値157.07円へ上昇し、10日午後に157.19円へ続伸した後の157円割れも買われて11日夕刻に157.39円へ高値を伸ばした。
11日は欧米の主要指標発表はなかったものの円安基調の継続感を優先して高値を伸ばしたが、米10年債入札が堅調で米長期利回りが低下したことで上値を抑えられた。しかし11日夜の156.80円への下落を買われて12日未明に157.39円まで再び上昇するなど押し目買い優勢の展開を続けている。
【米5月CPIからFOMCへ】
6月12日夜に5月の米CPI(消費者物価指数)、13日3時にFOMC声明発表と重要イベントが続く。
5月米CPI上昇率についての事前予想は全体の前月比が4月の0.3%から0.1%へ鈍化するものの前年比は4月の3.4%と変わらずと見込まれ、コアCPI上昇率は前月比が4月の0.3%と変わらないものの前年比は4月の3.6%から3.5%へ若干鈍化すると見込まれている。
予想を大きく下回る顕著な鈍化が見られればドル安円高反応となり、予想通りならFOMCを控えて小動き、予想を上回る場合はFOMCでのタカ派姿勢を意識してドル高円安反応となりやすい。
FOMCは政策金利の据え置きで予想が一致しており、注目されるのは参加者による金利予想等のドットプロットとなる。最近のFRB高官や地区連銀総裁らによる利下げ先延ばし姿勢及び向こう3カ月程度は状況を見定める必要ありとする慎重姿勢、年内利下げ不要論などのタカ派的発言や、パウエルFRB議長の従来想定よりもインフレ鈍化が進んでいないとの認識を踏まえれば、参加者の年内利下げ回数予想は3月の3回から1回ないし2回へ減少するとみられている。その際に年内1回が主流となり年内利下げ見送り予想の比率も高ければドル高円安が勢い付き、2回ならば思った程にはタカ派的ではないとしてドル安円高へ向かうことも考えられる。
【米長期債利回り低下、ナスダックとS&P500は連日の史上最高値更新】
6月11日の米長期債利回りは米財務省の10年債入札が堅調だったことによる債券買い・利回り低下反応で総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%低下の4.41%となった。5月30日から6月5日まで5営業日連続低下で4.28%をつけて4月25日に付けた昨年末以降のピークである4.74%以降の最低を更新したが7日は米雇用統計をきっかけに前日比0.15%上昇の急伸となり10日も0.03%上昇と続伸したが、入札好調とFOMCを控えての調整で11日は低下した。米財務省の10年債入札(390億ドル)は応札倍率が2.67倍で平均を大きく上回り最高落札利回りは4.438%で入札前の水準を下回った。
13日に220億ドルの入札を控えている30年債利回りは前日比0.06%低下の4.54%、政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.04%低下の4.84%だった。
一方で米国株式市場の楽観的な強気姿勢は継続している。6月11日のNYダウは前日比120.62ドル安と下げたものの、IT株中心のナスダック総合指数は前日比151.02ポイント高の1万7343.55で終了して2日連続で終値ベースの史上最高値を更新して取引時間中の最高値も更新し、S&P500指数も前日比14.53ポイント高と上昇して終値ベースの史上最高値を2日連続で更新して取引時間中の最高値も更新した。
NYダウは史上最高値を付けた5月20日から5月30日へ下げた後に戻してきたものの上値が重い。5月20日から上海総合株価指数が下落基調にあること、カナダや独英仏の株価指数も5月後半から下落していることと同調しており、ナスダックとS&Pが上昇しているうちは世界連鎖株安への不安感が緩いもののFOMCをきっかけに下落に転じる場合は世界連鎖株安へ進む可能性も抱えていると注意したい。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は6月7日夜の米雇用統計をきっかけとして急伸したため、6月7日夕安値を6月4日夜安値に対する押し目底とした上昇期入りとして6月10日午後から13日夜にかけての間への上昇を想定してきた。
6月11日夕と12日未明に157.39円の同値を付けて上げ渋っており、FOMC等も控えているために11日夜反落時安値156.80円を割り込む場合はいったん下落期に入るとみて12日夕刻から14日夕刻にかけての間への下落を想定する。ただしいったん弱気転換した後の急伸で7日以降の高値を更新する場合は新たな上昇期入りとして14日の日中からと18日午後にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では6月7日夜から高値を徐々に切り上げているものの157円を挟んだ揉み合い商状のため遅行スパンは方向感に欠いているが先行スパンを上抜いた状況を維持しているので、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込んで続落に入る場合は弱気転換注意として遅行スパン悪化中の安値試し優先として先行スパンの下限割れを試すとみる。
ただし、いったん下落した後にこの間の高値を更新する場合は新たな上昇期入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月7日深夜高値から11日夕への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が続いて11日夜には一時40ポイントまで低下した。60ポイント超えからは上昇再開とするが次に40ポイントを割り込む場合は下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月11日夜安値156.80円を下値支持線、6月11日夕高値157.39円を上値抵抗線とする。
(2)156.80円を上回るうちは上昇余地ありとし、157.39円超えからは6月3日午後高値157.47円、5月30日未明高値157.70円を順次試す上昇を想定し、FOMCをきっかけに急伸する場合は158円台前半への上昇を想定する。
(3)156.80円割れからは156.50円試しとし、その後に157.39円を超える場合は上昇再開とするが、156.50円割れから続落する場合は156円台序盤(156.25円から156.00円)への下落を想定する。FOMCから急落する場合は155円台後半へ下値目途を引き下げる。
【当面の予定】
6/12(水)
休場 フィリピン、ロシア、イスラエル
10:30 (中) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
10:30 (中) 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 -2.5%、予想 -1.5%)
15:00 (独) 5月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
15:00 (独) 5月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.4%、予想 2.4%)
15:00 (英) 4月 月次GDP 前月比 (3月 0.4%、予想 0.0%)
15:00 (英) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 0.2%、予想 -0.1%)
15:00 (英) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 0.5%、予想 0.3%)
15:00 (英) 4月 貿易収支・物品 (3月 -139.67億ポンド、-142.00億ポンド)
15:00 (英) 4月 貿易収支 (3月 -10.98億ポンド、-14.00億ポンド)
21:30 (米) 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 0.3%、予想 0.1%)
21:30 (米) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 3.4%、予想 3.4%)
21:30 (米) 5月 コアCPI(食品・エネルギー除く) 前月比 (4月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 コアCPI(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (4月 3.6%、予想 3.5%)
22:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米FOMC(連邦公開市場委員会)政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
27:00 (米) 5月 月次財政収支 (4月 2095億ドル)
27:30 (米) パウエル米FRB議長、記者会見
6/13(木)
日銀金融政策決定会合初日
08:50 (日) 4-6月期 大企業全産業業況判断指数(BSI) (1-3月 0.0)
08:50 (日) 4-6月期 大企業製造業業況判断指数(BSI) (1-3月 -6.7)
10:30 (豪) 5月 新規雇用者数 (4月 3.85万人、予想 3.00万人)
10:30 (豪) 5月 失業率 (4月 4.1%、予想 4.0%)
18:00 (欧) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 0.6%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -1.0%、予想 -2.0%)
21:30 (米) 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 0.5%、予想 0.1%)
21:30 (米) 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 2.2%、予想 2.5%)
21:30 (米) 5月 コアPPI(食品・エネルギー除く) 前月比 (4月 0.5%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 コアPPI(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (4月 2.4%、予想 2.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.9万件、予想 22.3万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 179.2万人)
25:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、イエレン財務長官、討論会
26:00 (米) 財務省30年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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