来週の為替相場見通し:『日米金融政策イベントに注目。ドル買い・円売りトレンドの再開を想定』(6/8朝)

ドル円(USDJPY)は6/4に一時154.54まで急落するも、週末にかけて持ち直す動きとなりました。

来週の為替相場見通し:『日米金融政策イベントに注目。ドル買い・円売りトレンドの再開を想定』(6/8朝)

『日米金融政策イベントに注目。ドル買い・円売りトレンドの再開を想定』

〇今週のドル円、週初米指標不冴え、日銀の国債購入減額報道等に154.54まで下落
〇売り一巡後は日銀植田総裁のハト派発言、米雇用統計の予想を上回る内容に156.60前後に持ち直す
〇ユーロドル、週初米金利低下から1.0917まで上昇するも、強い米雇用統計で週末1.0800まで急落
〇ドル円、日足が全てのテクニカルポイントの上で推移し、強い買いシグナルも点灯地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも円キャリートレードの長期化期待、日本政府の財政悪化懸念等がドル円を支持
〇来週は日米の金融政策イベントに注目集まるも、日米ともに政策変更は見送られるか
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):155.00ー159.00、(EURUSD):1.0650−1.0900

今週のレビュー(6/3−6/7)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初157.22で寄り付いた後、早々に週間高値157.49まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)米5月ISM製造業景況指数(結果48.7、予想49.5)の市場予想を下回る結果や、(2)米5月ISM支払価格(結果57.0、予想59.0)の市場予想を下回る結果、(3)米4月建設支出(結果▲0.1%、予想+0.2%)の市場予想を下回る結果、(4)一部米系メディアによる「日銀、早ければ今月会合で国債購入減額を具体的に検討も」との観測報道(日銀による早期引き締め観測)、(5)米4月JOLTS雇用動態調査(結果805.9万件、予想835.5万件)の市場予想を下回る結果、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力、(7)株式市場の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(8)ロング勢の大規模ロスカット(円キャリートレードの巻き戻し)が重石となり、翌6/4にかけて、週間安値154.54まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(9)急ピッチな下落に対する反動買い(押し目買い)や、(10)米5月総合PMI(結果54.5、予想54.2)の市場予想を上回る結果、(11)米5月ISM非製造業景況指数(結果53.8、予想51.0)の市場予想を上回る結果、(12)中村日銀審議委員による「現時点でのデータに基づくと当面は現状の政策維持が妥当」とのハト派的な発言、(13)植田日銀総裁による「現実のインフレ予想、まだ2%達するには少し距離がある」とのハト派的な発言、(14)円金利低下に伴う円売り圧力、(15)欧米株の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(16)米5月非農業部門雇用者数(結果+27.2万人、予想+18.0万人)の市場予想を上回る結果、(17)米5月平均時給(結果+4.1%、予想+3.9%)の市場予想を上回る結果、(18)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間6/8午前2時45分現在)では、156.60前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0851で寄り付いた後、(1)米5月ISM製造業景況指数の市場予想を下回る結果や、(2)米5月ISM支払価格の市場予想を下回る結果、(3)米4月建設支出の市場予想を下回る結果、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、翌6/4にかけて、週間高値1.0917まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(6)ユーロ圏5月総合PMI(結果52.2、予想52.3)の市場予想を下回る結果、(7)ユーロ圏4月生産者物価指数(結果▲5.7%、予想▲5.3%)の市場予想を下回る結果、(8)米5月ISM非製造業景況指数の力強い結果、(9)米5月雇用統計の力強い結果、(10)米長期金利の急上昇が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0800まで急落しました。

引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/8午前2時45分現在)では、1.0802前後で推移しております。尚、今週開催されたECB理事会は、予想通り25bpの利下げ(※ECBは2019年9月以来、約4年9ヵ月ぶりに中銀預金金利を4.00%から3.75%へ引き下げ)を決定するも、追加利下げを示唆する文言を声明文内に盛り込まなかったことから、市場参加者の間では「タカ派的な利下げ」として受け止められました。

来週の見通し(6/10−6/14)

<ドル円相場>
ドル円(USDJPY)は6/4に一時154.54まで急落するも、週末にかけて持ち直す動きとなりました。日足ローソク足が全てのテクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待(今週は日銀当局者によるハト派的な発言を受けて円金利が低下した一方、米金利は良好な米雇用統計をトリガーに急上昇→日米金利差は当面縮まらないとの見方が再燃→ドル円ロングに安心感)や、(2)日本政府の財政悪化懸念(日銀が仮に金融引き締めに動いたとしても、円金利上昇が素直に円買いに繋がる公算は小さく、むしろ、日本政府の利払い負担増加への連想から財政悪化の円売りに繋がる可能性大)、(3)日本政府・日銀による為替介入のやりづらさ(イエレン米財務長官は日本の為替介入に対して複数回に亘り牽制→余程強烈で投機的な円売りが加わらない限り、米国への配慮から為替介入に踏み切りづらい)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は日米の金融政策イベント(米FOMCと日銀金融政策決定会合)に注目が集まります。米FOMCについては、政策変更は見込まれていない為、市場参加者の関心はドットチャートやパウエルFRB議長記者会見を通じて、「利下げ時期」や「利下げ回数」に関するヒントを得られるか否かに移っています。当方は利下げ時期に関するヒントは見られず、また、ドットチャートの中央値も年1回の利下げに上方修正されるシナリオを見ているため、総じてタカ派的と受け止められ、直後はドル買いで反応する可能性が高いと予想しています。

一方、日銀金融政策決定会合については、肩透かしとなる可能性が高いと見ています。先般発表された日本の1ー3月期国内総生産(GDP)速報値が年率換算で2.0%減に陥ったことや、実質賃金が25カ月連続で前年比マイナスを記録していること等を踏まえると、政策金利の引き上げも、国債買い入れ減額アナウンスも見送られる可能性が高く、直後は円に対する失望感から、円売りが加速するシナリオが想定されます(米系メディアによる観測報道の影響で国債買い入れ減額アナウンスへの期待感が過度に高まっているため失望感が出易い状況=無風通過の場合ドル円急伸に繋がる恐れ)。

以上を踏まえ(来週予定されている日米の金融政策イベントはいずれもドル円上昇に繋がる可能性が高いことから)、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は日米金融政策イベント以外にも、米5月消費者物価指数や、米6月ミシガン大消費者信頼感指数などの重要イベントが予定されております。

来週の予想レンジ(USDJPY):155.00ー159.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は6/4に記録した高値1.0916をトップに反落に転じると、週末にかけて、安値1.0800まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、21日線、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けしたことや、トリプルトップ(5/16高値1.0896、5/28高値1.0890、6/4高値1.0916)が意識されていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、ダウンサイドリスクに要警戒と判断できます(1.0791近辺に位置する一目均衡表雲上限を下抜けできれば、ロング勢のロスカットを巻き込みながらユーロ売りがもう一段加速する恐れあり)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、欧米金融政策の方向性の違い(ECBが25bpの利下げに踏み切った一方、米FRBは年内利下げ観測自体が消失する恐れあり)が明確となる中、ユーロドルには構造的に下押し圧力が加わり易い時間帯が続くと考えられます。特に来週は欧州高官発言(オーストリア連銀ホルツマン総裁、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、フィンランド中銀レーン総裁、レーンECB専務理事、デギンドスECB副総裁、スロバキア中銀バスレ総裁、ラガルドECB総裁など)が複数予定されているため、仮に追加利下げを滲ませる発言が出てくる場合には、ECBによる追加利下げ観測再燃→ユーロ売りの経路で、ユーロドルに強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では、ユーロドル相場の見通しをブル(強気)からベア(弱気)へと変更いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0650−1.0900

注:ポイント要約は編集部

『日米金融政策イベントに注目。ドル買い・円売りトレンドの再開を想定』

ユーロドル日足

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