6月4日の急落幅をほぼ解消するも156円台で売られる
〇昨日のドル円、6/3,4発表の米指標悪化を受けた大幅下落一服で、夕刻に156.30へ続伸
〇その後ADP不冴えでいったん155.71まで下げるも、ISMサービス業景況指数好調で156.46に上昇
〇しかし、米長期債利回りの5営業日連続低下を受け、本日午前序盤は156円を割り込む
〇ナスダック総合指数は史上最高値更新
〇本日は中村日銀審議委員会見、ECB定例理事会(利下げ予想)、米4月貿易収支等の発表予定
〇カナダ中銀に続きECBも利下げの場合、来週FOMCでの9月利下げ開始期待度が高まる
〇米長期債利回り低下継続の場合、ドル円の下落再開に要警戒
〇156.46超えからは157前後への上昇を想定
〇155.30割れからは下落期入りとして6/4深夜安値154.54を試す下落を想定
【概況】
ドル円は6月3日の米ISM5月製造業景況指数の悪化と4日の米4月JOLTS求人件数の大幅減少等による米長期債利回り低下及び日銀が来週の金融政策決定会合で国債買い入れ減額に踏み込むとの報道により、156円を割り込んで4日深夜に154.54円まで下落して、5月30日未明に付けた5月3日以降の最高値157.70円からの下げ幅は3.16円に拡大した。
大幅下落一服で5日早朝にかけて下げ渋っていたが、5日午前に155円台を回復してから買い戻しが勢い付いて夕刻に156.30円へ続伸し、米ADP民間雇用者数が予想を下回る増加数だったことでいったん155.71円まで下げたものの5月ISMサービス業景況指数が予想を上回ったことで深夜に156.46円まで高値を切り上げた。しかし米長期債利回りが5営業日連続で低下して米国の9月利下げ開始への期待度が高まったことで156円台を維持できず、6日午前序盤には156円を割り込んでいる。
6月6日は日銀の中村審議委員会見、ECB定例理事会(利下げ予想)、米4月貿易収支と週間新規失業保険申請件数、1〜3月期米労働生産性・単位労働コスト改定値などの発表が予定されている。
カナダ中銀が6月5日夜に利下げを決定しており、今夜のECBも利下げに踏み込めば来週の米FOMCが従来よりもハト派的となり9月利下げ開始への期待度が高まる可能性があり、米長期債利回り低下が続くようだとドル円の戻りが抑えられて下落再開に転じることも警戒される。
【米経済指標はまちまち】
米民間雇用サービス会社ADPの5月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比15万2000人増となり4月の18万8000人増(19万2000人増から下方修正)及び市場予想の17万5000人増を下回った。2か月連続で増加数が低下しており労働需給の緩和感がみられ、今週末の米雇用統計も低調な数字となる可能性を市場に意識させた。
S&Pグローバルによる5月米サービス業PMI確報値は54.8となり速報値と変わらなったが4月確報値の51.3から上昇して1年振り高水準となった。製造業を合わせた総合PMIは54.5となり速報の54.4から小幅上方修正されて4月の51.3から大幅上昇し、2年1か月振りの高水準となった。
米サプライ管理協会(ISM)による5月の米サービス業者景況指数は53.8となり、4月の49.4から大幅に改善して市場予想の50.8を上回り、昨年8月以来9カ月ぶり高水準となった。
これら景況感の改善は米国の利下げを催促するものではないが、ISMの内訳では価格指数が4月の59.2から58.1へ低下したことも注目された。
【米10年債利回りは5営業日連続低下、ナスダック総合指数は史上最高値更新】
6月5日の米長期債利回りは5月30日から5営業日連続低下した。ADP民間雇用者数が予想を下回ったことで低下し、ISMサービス業景況指数が改善したことで一時上昇したものの早々に低下に転じた。
長期金利指標の米10年債利回りは前日比0.05%低下の4.28%となり、5月16日の4.31%を割り込んで4月25日に付けた昨年末以降のピークである4.74%以降の最低としたが、二段下げ型は昨年末からの上昇期には見られず、戻り高値切り下がりからの一段安により右肩下がりの展開に入り始めた印象だ。
30年債利回りは前日比0.05%低下の4.43%となり10年債利回りと同じく5営業日連続低下で5月16日の4.47%を割り込んで二段下げに入った。2年債利回りは0.04%低下の4.73%となり5月16日の4.71%に迫っている。
一方で米長期債利回り低下と早期利下げ期待によりNYダウは前日比96.04ドル高と4日の140.26ドル高から連騰し、ハイテク株の上昇によりナスダック総合指数は前日比330.85ポイント高となり6月3日から3連騰とし、取引時間中の史上最高値を17187.92へ、終値の最高値を17187.91へ更新した。
米国株高はリスク選好感を高めてドル円には支援となるが、米長期債利回り低下が続くと日米金利差面でドル円は売られやすくなる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は6月3日午後高値157.47円を起点として下落期に入ったとして6月4日夜から6日夜にかけての間への下落を想定したが、6月4日夜安値154.54円へ大幅続落してから5日午前序盤に155円到達まで戻したために5日午前時点では155.30円超えからは戻しに入るとして5日の日中から10日午前にかけての間への上昇を想定した。
6月5日深夜に156.46円まで高値を伸ばしてから反落しているため、すでに戻り一巡から下落期入りしている可能性もあると注意し、155.30円割れからは下落期入りとみて7日夜から11日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月5日深夜への反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後の反落で先行スパンへ潜り込み始めている。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月4日夜から5日未明にかけて指数のボトムが切り上がる強気逆行気配を見せてから反騰入りしたが、6月5日夕刻から深夜にかけての一段高では指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため戻り一巡からの反落警戒とする。60ポイント超えからは70ポイントを超えを目指す上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント以下への低下へ進むとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、155.30円を下値支持線、6月5日深夜高値156.46円を上値抵抗線とする。
(2)155.70円を上回るうちは一段高余地ありとし、156.46円超えからは157円前後への上昇を想定する。157円前後は反落警戒とするが、7日早朝へ156円台を維持しての推移なら7日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)155.70円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、155.30円割れからは下落期入りとして6月4日深夜安値154.54円を試す下落を想定する。154円台後半は買われやすいとみるが、7日早朝を155.30円以下での推移なら7日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。米経済指標等をきっかけに急落商状となる場合は154円前後試し下値目途を引き下げる。
【当面の予定】
6/6(木)
休場 韓国
10:30 (豪) 4月 貿易収支 (3月 50.24億豪ドル、予想 54.00億豪ドル)
10:30 (日) 中村日銀審議委員、講演、会見(14:30〜)
15:00 (独) 4月 製造業新規受注 前月比 (3月 -0.4%、予想 0.5%)
15:00 (独) 4月 製造業新規受注 前年同月比 (3月 -1.9%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.8%、予想 -0.3%)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 0.7%、予想 0.1%)
21:15 (欧) ECB(欧州中銀)政策金利 (現行 4.50%、予想 4.25%)
21:30 (米) 4月 貿易収支 (3月 -694億ドル、予想 -761億ドル )
21:30 (米) 1-3月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.9万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 179.1万人、予想 179.0万人)
21:45 (欧) ラガルドECB総裁、会見
6/7(金)
未 定 (中) 5月 貿易収支(米ドル建て) (4月 723.5億ドル、予想 715.0億ドル)
07:45 (NZ) 1-3月期 製造業売上高 前期比 (10-12月 -0.7%)
08:30 (日) 4月 全世帯消費支出 前年同月比 (3月 -1.2%、予想 0.6%)
14:00 (日) 4月 景気先行指数CI・速報値 (3月 112.2、予想 111.7)
14:00 (日) 4月 景気一致指数CI・速報値 (3月 113.6、予想 114.5)
15:00 (独) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -0.4%、予想 0.2%)
15:00 (独) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -3.3%、予想 -3.1%)
15:00 (独) 4月 貿易収支 (3月 223億ユーロ、予想 234億ユーロ)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP・確定値 前期比 (改定値 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP・確定値 前年同期比 (改定値 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 非農業部門就業者数 前月比 (4月 17.5万人、予想 19.0万人)
21:30 (米) 5月 失業率 (4月 3.9%、予想 3.9%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前月比 (4月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前年同月比 (4月 3.9%、予想 3.9%)
23:00 (米) 4月 卸売売上高 前月比 (3月 -1.3%)
25:00 (米) クックFRB理事、挨拶
28:00 (米) 4月 消費者信用残高 前月比 (3月 62.7億ドル、予想 104.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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