来週の為替相場見通し:『円キャリートレードの継続を想定。来週は米国の重要イベント目白押し』(6/1朝)

ドル円(USDJPY)は週央にかけて約1カ月ぶり高値157.79まで上昇しました

来週の為替相場見通し:『円キャリートレードの継続を想定。来週は米国の重要イベント目白押し』(6/1朝)

『円キャリートレードの継続を想定。来週は米国の重要イベント目白押し』

〇今週のドル円、米指標の好調と米長期金利上昇に週央にかけ157.79まで上昇
〇その後は1QコアPCE改定値の悪化等米指標の不冴えと米金利低下に156.38まで急落
〇週末にかけては持ち直し、157円台前半で推移
〇ユーロドル、米金利上昇等に週後半にかけ1.0788まで急落後、1.08台半ばに持ち直す
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、強い買いシグナルも点灯し地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも円キャリートレードの長期化期待、為替介入警戒感の後退等がドル円をサポート
〇来週は米5月雇用統計発表等重要指標睨みの神経質な展開か、雇用統計後のアップサイドリスク要警戒
〇来週の予想レンジ(USDJPY):156.00ー159.00、(EURUSD):1.0750−1.1000

今週のレビュー(5/27−5/31)

今週のドル円相場(USDJPY)は、週初157.04で寄り付いた後、(1)植田日銀総裁および内田日銀副総裁発言が無風に終わったことに対する安堵感(植田総裁・内田副総裁共に金融政策に関する踏み込んだ発言は見られず→早期利上げ観測後退→円売り再開)や、(2)米5月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数(結果102.0、予想96.0)の市場予想を上回る結果、(3)米債入札(2年債・5年債・7年債)の低調な結果、(4)米5月リッチモンド連銀製造業指数(結果±0、予想▲6)の市場予想を上回る結果、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力(日米金利差に着目したドル買い・円売り)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値157.79(5/1以来の高値圏)まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)心理的節目158.00を背にした戻り売り圧力(政府・日銀が5/1に為替介入に踏み切った水準感でもあるため、警戒感から利食い売りが発生しやすい)や、(7)米1ー3月期コアPCE改定値(結果+3.6%、予想+3.7%)の市場予想を下回る結果、(8)米新規失業保険申請件数(結果21.9万件、予想21.7万件)の予想比悪化、(9)米4月中古住宅販売成約指数(結果▲7.7%、予想▲1.0%)の市場予想を下回る結果、(10)米金利低下に伴うドル売り圧力(ドル円ロング勢の損失覚悟のドル売り・円買いを誘発)が重石となり、週後半にかけて、週間安値156.38まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、週末にかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間6/1午前2時15分現在)では、157.20前後で推移しております。尚、今週末5/31に発表された本邦の5月東京都区部消費者物価コア指数(結果1.9%、予想1.9%)、や、米4月PCEデフレーター(結果+2.7%、予想+2.7%)、米4月PCEコアデフレータ(結果+2.8%、予想+2.8%)はいずれも市場予想通りの結果となりました。

<ユーロドル相場>

今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0854で寄り付いた後、(1)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力や、(2)欧州株の堅調推移、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)ドイツ4月卸売物価指数(結果+0.4%、前回+0.2%)の伸び率加速が支援材料となり、翌5/28にかけて、週間高値1.0889まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米経済指標の良好な結果や、(5)米債入札(2年債・5年債・7年債)の低調な結果、(6)上記3、4を背景とした米長期金利の急上昇、(7)オーストリア中銀ホルツマン総裁による「来週の会合での利下げを支持」「今年は2回乃至は最大3回の利下げを予想」とのハト派的な発言、(8)オランダ中銀クノット総裁による「3月の予測に基づくと最適な政策は今年3〜4回の利下げ」とのハト派的な発言が重石となり、週後半にかけて、週間安値1.0788(5/14以来の安値圏)まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(9)一目均衡表雲上限を背にした押し目買い圧力や、(10)米経済指標の冴えない結果、(11)米金利低下に伴うドル売り圧力、(12)ユーロ圏5月消費者物価指数(結果+2.6%、予想+2.5%)の市場予想を上回る結果、(13)ユーロ圏5月消費者物価コア指数(結果+2.9%、予想+2.7%)の市場予想を上回る結果が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間6/1午前2時15分現在)では、1.0850前後まで持ち直す動きとなっております。

来週の見通し(6/3−6/7)

<ドル円相場>
ドル円(USDJPY)は週央にかけて約1カ月ぶり高値157.79まで上昇しました(その後一時的に156.38まで急落する場面が見られましたが週末にかけて再び157円台を回復するなど下値の堅さを再確認)。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「フィボナッチ38.2%戻し・50.0%戻し・61.8%戻し」が成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待(日米金利差は当面縮まらないとの思惑→ドル円が少し下がれば押し目買いが出てくる市場構造)や、(2)日本政府・日銀による為替介入警戒感の後退(イエレン米財務長官は「介入はまれであるべき」と繰り返し発言するなど、日本政府・日銀による追加的な為替介入を牽制→円安抑制手段の欠如)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

尚、来週はブラックアウト期間突入後で米当局者による発言が手控えられるため、6/3に予定されている米5月ISM製造業景況指数や、6/4の米4月JOLT雇用動態調査、6/5の米5月ISM非製造業景況指数、6/7の米5月雇用統計を睨みながらの神経質な展開が想定されます。特に雇用関連指標が市場予想を上回る場合には、米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測→米金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円にもう一段強い上昇圧力が加わるシナリオも想定されるため、来週はドル円のアップサイドリスクに特に警戒が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):156.00ー159.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は高値圏での堅調推移が続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の復調期待(直近で発表された欧州経済指標は総じて良好な内容)や、(2)ECBによる7月以降の利下げ観測後退(ECB高官は6月利下げを肯定しつつも7月以降の連続利下げの可能性はデータ次第と否定→先週発表されたユーロ圏1−3月期協約賃金の伸び率加速もこうした流れを後押し)など、ユーロドル相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週は6/6に予定されているECB理事会に注目が集まります。25bpの利下げ実施は織り込み済みであるため、市場参加者の関心は声明文の中身や、ラガルドECB総裁の記者会見に移っています。但し、7月以降の金融政策に関する踏み込んだ発言は出てこない(データ次第とのスタンスを続ける可能性が高い)と見られることから、ECB理事会終了後は、あく抜け感から追加利下げ観測後退→ユーロ買いの波及経路で、ユーロドルが5/16に記録した高値1.0896を上抜け、心理的節目1.0900や1.1000を試す展開が想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0750−1.1000

注:ポイント要約は編集部

『円キャリートレードの継続を想定。来週は米国の重要イベント目白押し』

ドル円日足

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