再び157円が視界内、発表される米指標注目
〇本日のドル円、156.80前後で寄り付いたのち、揉み合いながらも高値をうかがう
〇一時156.90レベルを示現したものの、本日も157円にはとどかず小反落
〇日銀による国債買い入れオペは「据え置き」
〇米通貨当局者は総じて強気だが指標はやや冴えない、本日発表の製造業PMI等に注目
〇ドル高・円安方向、本日東京高値156.90レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、156.30-35に弱いサポート、下回ると5/21安値155.85がターゲットに
〇欧米時間のドル円予想レンジ:156.10-157.10
<< 東京市場の動き >>
東京市場は「行って来い」。ザラ場では昨日示現したドル戻り高値を更新するも、勢いは続かなかった。
ドル/円は156.80円前後で寄り付いたのち、揉み合いながらも高値をうかがう。材料となったのは、日銀による国債買い入れオペで、今回は「据え置き」だった。一時156.90円レベルを示現したものの、本日も157円にはとどかずに小反落。夕方に掛けては、やや下げ幅を拡大させると156.55-60円まで値を下げ、16時現在ではそのまま日中安値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、昨日も発表された米指標、4月中古住宅販売件数が予想を下回る内容となったものの、そののち明らかとなったFOMC議事要旨はタカ派な内容。たとえば、利下げどころか「必要なら追加引き締め、様々な参加者が前向き」、「金融情勢は緩和過ぎていた」などといった文言も確認されている。これらを好感した動きから、ドル/円は一時157円に接近する展開も。
対して後者は、シャップス英国防相が根拠を示さなかったものの、「中国がロシアを軍事支援」と発言。また、ルメール仏経財相からは、G7が電気自動車(EV)用バッテリーなど主要産業における中国の過剰生産能力に対抗するため、団結する必要があるとのコメントが聞かれていた。経済、軍事などの分野で対中包囲網ともいえる動きが観測されている。そうしたなか、中国軍は台湾周辺海域で軍事演習を開始し、台湾を威嚇。先日発足したばかりの台湾新総統へ強烈なプレッシャーをかけていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、14日高値156.80円を昨日超えたものの、157円は超えられず。つまり、形成している短期レンジの上限を超えたか否かは微妙な状況だ。少なくとも、本稿執筆時は156.60円前後で推移しており、「しっかり超えた」とは言えそうにない。ドル高リスクが取り沙汰されるなか、このあと157円を超えると同時に、157円台に定着できるか否かが注視されている。
日米を中心とした金融政策への関心が引き続き高い。そうしたなか、事前に注視されていた日銀による国債買い入れオペは今回「据え置き」。期待している向きも少なくない日銀による金融政策の早期調整観測だが、やはり軽々と実施される可能性は低いと言えるだろう。一方、米国は以前から指摘しているように、通貨当局者は総じて強気だが、発表される指標はやや冴えないものが目に付き始めている。本日は発表される米経済指標が数多く予定されているだけに、悪い内容が連続するようだと市場の波乱要因となりかねない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は「短期レンジの上限超えに失敗したかもしれない」と考えていたが、昨日そして本日東京の動きをみると、まだまだリスクは上向きだ。円買い介入シーリングなどといった見方も聞かれている157円を超えていく可能性も否定できない。
ちなみに、以前にレポートしたように高値160.22円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しはおよそ157円レベル。しっかり超えると、次のターゲットは同76.4%戻しにあたる158.25円レベルか。
本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数や5月の製造業PMI速報などが発表される予定となっている。先々週や先週はやや内容の冴えない指標が少なくなかったが、本日の結果に注目したい。また、イタリアで始まるG20財務相・中銀総裁会議などにも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは156.10-157.10円。ドル高・円安方向は本日東京高値にあたる156.90円レベルが最初の抵抗。超えればいよいよ157円トライとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、156.30-35円に弱いサポートあり。下回ると156円割れから21日安値155.85円がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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