ドル円見通し FOMC議事要旨タカ派で5月14日高値を超えて5月3日以降の高値更新(24/5/23)

ドル円は23日早朝には156.84円を付けて5月14日夜高値156.75円を上抜いて5月3日夜安値151.85円以降の高値を更新した。

ドル円見通し FOMC議事要旨タカ派で5月14日高値を超えて5月3日以降の高値更新(24/5/23)

FOMC議事要旨タカ派で5月14日高値を超えて5月3日以降の高値更新

〇昨日のドル円、FOMC議事要旨を挟みジリ高推移からドル高反応に
〇本日早朝に156.84を付け5/14夜高値を上抜き、5/3夜安値以降の高値更新
〇5/3夜安値を起点とした上昇が二段上げ型に発展、介入姿勢を試し徐々に高値を切り上げている印象
〇FOMC議事要旨は予想よりもタカ派的、年内利下げ無しとの見方も
〇本邦新発10年債利回りが1.00%をつけるも、円安傾向に歯止めをかける要因にはならず
〇米長期債利回りはまちまちだが2年債利回りが一段高、ダウとナスダックは下落
〇156.35を上回るうちは157円試しを想定
〇156.35割れからは21日深夜安値155.84試しとする

【概況】

ドル円は5月23日未明のFOMC議事要旨発表を控えてジリ高で推移し22日夜には156.60円を付けて21日午後高値156.54円をわずかに超えていたが、FOMC議事要旨で政策金利据え置き長期化への懸念が強まり一部に追加利上げの可能性を示唆したことがタカ派的と受け止められてドル高反応を招いたため、23日早朝には156.84円を付けて5月14日夜高値156.75円を上抜いて5月3日夜安値151.85円以降の高値を更新した。

米NAR(不動産業者協会)による4月中古住宅販売件数(年換算)は前月比1.9%減(3月は3.7%減)の414万戸となり市場予想の421万戸を大幅に下回ったが市場の反応は限定的だった。
本邦長期金利指標である新発10年債(374回債)利回りが1.00%をつけて2013年5月以来11年振り高水準に達したが円安傾向に歯止めをかける要因には今のところ至っていない。
ドル円は5月14日高値を超えたことで5月3日夜安値を起点とした上昇が二段上げ型に発展している。三度目の市場介入が見送られている中で継続的な介入姿勢を試すように徐々に高値を切り上げている印象であり、二度目の市場介入があった5月2日早朝高値157.58円よりも下の水準で三度目の介入があるのか見送られるのか試して行くことになるのではないかと思われる。

【FOMC議事要旨は予想よりもタカ派的、年内利下げ無しとの見方も】

5月23日未明にFRB(米連邦準備制度理事会)が公開したFOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合、4月30−5月1日開催)議事要旨では、FOMC参加者がインフレ鈍化の進行が予想より長引く可能性があるとし、インフレ再燃のリスクが浮上すれば追加利上げをすべきと主張する者も見られたために市場はFOMC当日の声明及び議長会見時よりもタカ派的だったと受け止めて為替市場はドル高反応を見せた。
議事要旨では「ここ数カ月インフレの低下へ一段の進展がない」とし、参加者全員が据え置きを適切として今後は経済指標次第との認識を示した。多くの参加者は現行の政策金利がどのくらい米景気を冷やしてインフレ抑制に効果があるのか不透明だとし、インフレ率が目標の2%へ向けて持続的に低下しなければより長期にわたって金利を維持するとした。ただし、労働市場が予想外に悪化した場合には利下げに踏み切ることも検討されており、利下げを先延ばしし過ぎることによる景気への影響に注意していることを示した。また米国景気については「堅調なペースで拡大し続けている」としたが、下振れリスクとしては中国景気鈍化や米国の商業用不動産市場悪化等が挙げられた。

米国金利先物市場では依然として9月利下げ開始への期待度が高いが、金融大手ゴールドマン・サックスのソロモンCEOが22日に「利下げはゼロと予想している」と発言したことが報じられたように、年内の利下げが難しくなっているとの認識も徐々に高まってきた印象だ。

【米長期債利回りはまちまちだが2年債利回りが一段高、ダウとナスダックは下落】

5月22日の米長期債利回りはまちまちの動きだったが、長期金利指標の10年債と政策金利動向に敏感な2年債の利回りは上昇した。
10年債利回りは前日比0.02%上昇の4.43%となった。4月25日の4.74%を昨年末以降のピークとして下落に転じて5月15日の米4月CPI鈍化で大幅低下したが、5月16日に4.31%まで下げたところから20日まで3連騰で戻して15日の低下幅を解消した後の21日は小反落していたが、22日は一時4.46%をつけて5月16日以降の高値を更新してからいったん下げたもののFOMC議事要旨公開から再上昇した。
30年債利回りは前日比0.01%低下の4.54%と下げたが、2年債利回りは前日比0.04%上昇の4.87%となり一時4.88%をつけて5月16日の4.71%以降の最高とした。
22日の動きは夕刻の英4月CPIが市場予想より上振れしたこで英長期債利回りが上昇したことの影響が大きく、FOMC議事要旨そのものに対する反応は鈍かった印象もある。

一方で22日のNYダウは前日比201.95ドル安と下落した。5月17日に終値で4万ドルに到達し、5月20日に40077.40ドルまで史上最高値を更新した後は高値警戒感から上値が重くなっている印象だ。ナスダック総合指数は16855.27ポイントを付けて取引時間中の史上最高値を更新した後の失速で前日比31.08ポイント安と下落に終わった。いずれも株高基調は継続しており、FOMC議事要旨での利下げ開始先延ばし感を織り込みながらもいずれは利下げに踏み切るとの楽観が優勢している。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は5月16日午前安値を起点としたリバウンドが5月21日午後高値156.54円でピークとなり21日深夜安値155.84円へ失速したが、23日早朝に156.84円を付けて21日午後高値を超えたため、21日深夜安値を起点として新たな上昇期に入っている。目先の高値形成期は24日午後から28日午後にかけての間と想定されるが、156.35円割れを弱気転換注意とし、21日深夜安値を割り込むところからは下落期入りとして24日夜から28日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月23日早朝への上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンを上回った状況も5月17日午前から継続しているため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンに潜り込むところからは下落開始を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月23日早朝に70ポイントを超えてから小反落しているものの22日午後からの一段高に際しても指数のピークが切り上がって弱気逆行は見られないためまだ上昇余地ありとするが、相場が一段高する際に弱気逆行がみられる場合は反落期入りを警戒し、50ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、156.35円を下値支持線、157円を上値抵抗線とする。
(2)156.35円を上回るうちは157円試しを想定する。157円前後は売られやすいと注意するが、157円超えから上昇が勢い付く場合は5月2日早朝の市場介入時高値157.58円前後への上昇を想定する。
(3)156.35円割れからは21日深夜安値155.84円試しとし、底割れ回避ならその後に156.50円を超えるところから上昇再開とするが、底割れからは155円前後への下落を想定する。

【当面の予定】

5/23(木)
休場 インドネシア、インド
G7財務相・中央銀行総裁会議(5月25日まで)
16:30 (独) 5月 製造業PMI速報値 (4月 42.5、予想 43.1)
16:30 (独) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 53.2、予想 53.5)
17:00 (欧) 5月 製造業PMI速報値 (4月 45.7、予想 46.2)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 53.3、予想 53.5)
17:30 (英) 5月 製造業PMI速報値 (4月 49.1、予想 49.5)
17:30 (英) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 55.0、予想 54.7)

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 179.4万人、予想 179.4万人)
22:45 (米) 5月 製造業PMI速報値 (4月 50.0、予想 50.0)
22:45 (米) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 51.3、予想 51.3)
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感速報値 (4月 -14.7、予想 -14.2)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数・年率換算 (3月 69.3万件、予想 67.9万件)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数 前月比 (3月 8.8%、予想 -2.1%)
28:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、質疑応答

5/24(金)
休場 インドネシア
07:45 (NZ) 4月 貿易収支 (3月 5.88億NZドル)
08:01 (英) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -19、予想 -18)
08:30 (日) 4月 全国CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (3月 2.7%、予想 2.4%)
08:30 (日) 4月 全国CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (3月 2.6%、予想 2.2%)
08:30 (日) 4月 全国CPI・生鮮食料品・エネルギー除く  前年同月比 (3月 2.9%、予想 2.4%)

15:00 (英) 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.0%、予想 -0.6%)
15:00 (英) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 0.8%、予想 -0.3%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値・季調済 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値・季調前 前年同期比 (速報 -0.9%、予想 -0.9%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注 前月比 (3月 2.6%、予想 -0.6%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (3月 0.2%、予想 0.2%)
22:35 (米) ウォラーFRB理事、講演
23:00 (米) 5月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 67.4、予想 67.6)



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