ドル円、米FOMC議事要旨のタカ派的な内容を受けて、約3週間ぶり高値圏へ上昇
〇ドル円、FRB関係者のタカ派発言、前回FOMC議事要旨のタカ派的内容に高値156.85まで上昇
〇FOMC議事要旨、以前より長期間の高金利維持が必要との認識、一部では更なる金利引き上げ意欲も
〇ユーロドル、英利下げ観測、米金利の上昇に一時1.0817まで下落
〇ドル円、下位足でも買いシグナルが点灯、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも円キャリートレード長期化期待、介入警戒感の後退がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:156.00ー157.50
海外時間のレビュー
22日(水)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値156.12まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの再開や、(2)シカゴ連銀グールズビー総裁による「インフレ統計を長期観察し忍耐強くある必要」とのタカ派的な発言、(3)ボストン連銀コリンズ総裁による「金利調整に必要な進展には時間がかかるだろう」「忍耐が重要となる局面にある」とのタカ派的な発言、(4)米FOMC議事要旨(4/30ー5/1開催分)での「数人の当局者は必要ならさらなる引き締めに意欲」「一部の当局者は長期金利がこれまで考えられていたよりも高くなる可能性があると認識」「当局者らはインフレが下がらなければ金利を長期間維持することを議論」「インフレ巡る確信の高まりは予想よりも長期化すると認識」とのタカ派的な見解発表、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値156.85まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/22午前6時20分現在)では、156.71前後で推移しております。
22日(水)のユーロドル相場は上値の重い展開。アジア時間朝方にかけて、高値1.0864まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)対英ポンドでのユーロ売り圧力(英4月消費者物価指数が市場予想を上回る結果→英BOEによる利下げ観測後退→英ポンド急伸→ユーロポンド急落→ユーロドル連れ安)や、(2)米当局者によるタカ派的発言、(3)米FOMC議事要旨のタカ派的な見解発表、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0817まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/23午前6時20分現在)では、1.0822前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時156.85まで上昇するなど、約3週間ぶり高値(5/1以来の高値)を更新しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、5/14に記録した直近高値156.77の上抜けに成功したこと、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」「フィボナッチ半値戻し」が成立していること、日足のみならず4時間足等の下位足でも買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(注目された米FOMC議事要旨は「数人の当局者は必要ならさらなる引き締めに意欲」「一部の当局者は長期金利がこれまで考えられていたよりも高くなる可能性があると認識」と予想以上にタカ派的な内容)や、(2)上記1を背景とした円キャリートレードの長期化期待(日米金利差は当面縮まらないとの見方からドル円ロングに安心感)、(3)日本政府・日銀による為替介入警戒感の後退(イエレン米財務長官が日本の為替介入を牽制しているため、余程強い投機フローが見られない限り、ドル売り介入に踏み切ることは困難)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米4月シカゴ連銀全米活動指数や、米新規失業保険申請件数、米5月製造業・非製造業PMI速報値、米4月新築住宅販売件数、米5月カンザスシティ連銀製造業活動指数が良好な結果を示す場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路でドル円に更なる上昇圧力が加わる展開が想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。目先は4/29高値160.24と、5/3安値151.87のフィボナッチ61.8%戻しが位置する157.04を超えられるか否かに注目が集まります。
本日の予想レンジ:156.00ー157.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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