ドル上抜け失敗か、レンジ取引続く可能性
〇本日のドル円、156.10-15を日中安値に底堅く推移、上値も重くレンジ取引に終始
〇昨日につづき本日も156円半ばでドルは上げ渋り
〇テクニカルには、短期レンジ上限超えに失敗し、しばらく157円レベルを上限としたレンジ取引継続か
〇21日移動平均線をしっかり下回れば、再びドルの下押し機運が強まる可能性も
〇本日は米FOMC議事録要旨発表、欧米要人の講演に要注目
〇ドル高・円安方向、本日東京で超えられなかった昨日高値156.55が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、156円前後が短期的なサポートか
〇欧米時間の予想レンジ:155.90-156.90
<< 東京市場の動き >>
東京市場は往来相場が続く。156円前半での一進一退で、依然として方向性は乏しい。
ドル/円は寄り付いた156.10-15円を日中安値に、ドルは底堅く推移したが上値も重い。高値は156円半ばまでで、結果40ポイント足らずのレンジ取引に終始。16時現在では156.35-40円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、そうしたなかNZドルが一時急騰。対円では95円台前半から96円台まで、短時間で1円近い急上昇をみせた。同国中銀が「インフレ抑制のため金融の引き締め姿勢を維持する」とした声明を発表したことが材料視されていたという。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、昨日の欧米時間は目立った米経済指標の発表はなかったが、米通貨当局者の発言が多く、それが市場動意の一因に。しかし、その多くはアトランタ連銀総裁「第4四半期前の利下げはない」、ウォラーFRB理事「利下げには数ヵ月間の良好なインフレ指標が必要」、バーFRB副議長「考えていたよりも長いあいだ金利の据え置きが必要」−−などといった強気な発言ばかり。ドルが底堅さを醸す大きな一助になっていたことは間違いないだろう。
対して後者は、台湾で20日行われた頼清徳・新総統の就任式に関連し、幾つか興味深いニュースが伝えられている。ひとつは、中国外相が頼新総統を名指しで非難したほか、日本から就任式に参加した超党派の議員団について抗議のコメントを発していたこと。ちなみに後者について、日本だけでなく米英議員団についても、同様の動きが観測されている。一方、それとは別に中国の呉駐日大使が、日本が「台湾独立」に加担すれば「民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言したとして、大いに物議を醸す。なお、産経新聞によると、先の中国大使発言について、日本の鳩山由紀夫元首相は「基本的に同意する」と述べていたことがわかったと伝えられていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日短期レンジの上限である14日高値156.80円を視界内に捉えたものの、結局とどかず。また、続く本日東京でも156円半ばでドルは上げ渋りとなっている。市場では日本時間の5月2日早朝、当局が実弾介入に動いた157円前半をある種の「シーリング」と捉える向きが多く、その手前である156円半ばぐらいから急にドル買いが鈍くなる傾向がうかがえるようだ。
日米を中心とした金融政策への関心が引き続き高いが、米国については先でも取り上げたように通貨当局者は総じて強気。一方で米指標は少しずつ悪化した内容が観測されつつあることは気掛かりだが、それでも要人発言に変化は見られず、結果ドル高も続いている。ただ逆に言えば、発言で弱気のコメントが聞かれるようだと、流れが一気に反転するリスクもありそうだ。一方、それとは別にガザを中心とした中東地域を中心に、ロシアからの核恫喝も聞かれているウクライナ侵攻など地政学リスクの高まりについても、しっかりと注意しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は断定するには早いが、短期レンジの上限超えに失敗した感があり、いましばらくは157円レベルを上限としたレンジ取引継続か。
ただし、若干気になるのは、いま現在もドルのサポートとして機能している移動平均の21日線の動き。ついに155円半ばまで水準を切り上げており、実勢相場の動きからすると今後さらに右肩上がりをたどりそう。今日、明日といったことではないものの、どこかで「しっかり」下回ることがあれば、再びドルの下押し機運が強まっても不思議はない。
本日は米経済指標として、4月の中古住宅販売件数などが発表されるほか、5月1日に結果が公表された米FOMCの議事録要旨発表も予定されている。また、昨日ほどではないものの、本日も欧米要人の講演予定などが少なくないだけに、それら発言には注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは155.90-156.90円。ドル高・円安方向は本日東京で超えられなかった昨日高値の156.55円が最初の抵抗。超えれば14日高値156.80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、156円前後が短期的なサポートか。下回ると昨日安値155.85円あるいは155円半ばが意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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