ドル円 当面は横方向のもみあい継続(週報5月第3週)

ドル円は動きが落ち着いてきましたが、週前半はイエレン財務長官の介入牽制発言もありじり高、週末は週初の水準に戻しての引けとなりました。

ドル円 当面は横方向のもみあい継続(週報5月第3週)

当面は横方向のもみあい継続

〇先週のドル円、前半はイエレン財務長官の介入牽制発言もあり、じり高推移
〇その後、下げ始めたところに米国CPIによる売りが強まり、一時153.60レベルの安値つける
〇テクニカルに下押しのポイント近くで下げ止まり、米金利上昇も重なって週初の水準に戻して引ける
〇介入の可能性は無く、絶対的な金利差がある以上、ドル買いが出やすくならざるを得ない状況
〇6月の金融政策ウィークまでは基本はドルが底堅く、その時々の材料で多少上下に動くという線か
〇日米長期債利回りの金利差縮小の割には円売りが続いていて、現在の水準はやや円安気味
〇今週は154.00レベルをサポートに、156.50レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

ドル円は動きが落ち着いてきましたが、週前半はイエレン財務長官の介入牽制発言もありじり高、しかし156円台後半では売りたい向きも残っていて、下げ始めたところに米国CPIをきっかけとした売りが強まり、一時153.60レベルの安値をつけました。同水準はテクニカルに下押しのポイントとなっていたこと、また米金利が上昇に転じたことも重なって週末は週初の水準に戻しての引けとなりました。

ドル円は発言や経済指標で動いてはいるものの、先週のCPI後のドル売りの動きはやや過剰な動きであったように思います。また上述した通りですが、5月安値とその後の高値の61.8%押しが153.72となっていましたが、ほぼ同水準で下げ止まったことから、動きが止まると改めてドル買いに動くというこれまでの流れが繰り返されたように思えます。

また安値からここまでの動きのように、平均して日々1円に満たない程度の円安では介入が出ることは無いでしょうから、そうなると絶対的な金利差がある以上、ドル円はドル買いが出やすくならざるを得ません。6月の金融政策ウィーク(6日ECB理事会、12日FOMC、14日日銀会合)までは、基本はドルが底堅く、その時々の材料で多少は上下に動くという線で見ていればよさそうです。

また週末に発表された円売りポジションはさらに減って約12.6万枚となりました。この数字を見る限り、ポジション減少の割には円売りが根強い印象です。また日米長期債利回りについても直近の金利差縮小の割にはやはりドル買い・円売りが続いていて、これらの数字からは現在の円相場の水準はやや円安気味と言えます。

当面は横方向のもみあい継続

ドル円週足チャートのメインチャートのラインが日米10年債利回り差、中段はこの金利差とドル円との相関、下段はシカゴ投機筋の円売りポジションを示しています。おそらくはイエレン財務長官の介入牽制発言で改めて円売りに動いたことで、円売りポジションや日米金利差との乖離が出ているのが現状と考えられます。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

4月29日の介入前高値と5月3日雇用統計後安値がどちらもしばらくは重要な高値・安値となりますが、現時点ではその後の高値・安値とで三角もちあい状のパターンを形成し、そろそろどちらかに抜ける流れになってきました。水準的にはレジスタンスに近いいっぽうで、上述した乖離を考えるともう一度サポートまで押す可能性もあります。またどちらに抜けたとしても方向感が出るほどでもなく、新たなチャートパターンを考えることになりそうです。

今週はサポートが154円水準、レジスタンスが155.75水準にあり、レジスタンス側のみやや外側の余裕を考えておけばよいと考えています。今週は154.00レベルをサポートに、156.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

当面は横方向のもみあい継続 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月20日(月)
21:45 アトランタ連銀総裁講演 ☆
22:00 バーFRB副議長、ウォラーFRB理事講演
23:30 ジェファーソンFRB副議長講演 ☆
27:00 クリーブランド連銀総裁講演 ☆

5月21日(火)
09:30 豪州5月消費者信頼感
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
15:00 ドイツ4月PPI ☆
17:00 ラガルドECB総裁 ☆、イエレン財務長官講演 ☆
18:00 ユーロ圏3月貿易収支、建設支出
22:00 リッチモンド連銀総裁講演 ☆
22:00 ウォラーFRB理事講演 ☆
22:05 NY連銀総裁講演
26:00 英中銀総裁講演 ☆

5月22日(水)
08:00 アトランタ連銀総裁、(ボストン連銀総裁)、クリーブランド連銀総裁講演
08:50 本邦4月貿易収支(通関)
11:00 NZ中銀政策金利発表
15:00 英国4月CPI ☆
23:00 米国4月中古住宅販売
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC議事要旨公表 ☆

5月23日(木)
16:15 フランス5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
22:45 米国5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感速報値 ☆
23:00 米国4月新築住宅販売
**:** G7(〜25日)☆

5月24日(金)
08:30 本邦4月CPI ☆
08:01 英国5月消費者信頼感
15:00 英国4月小売売上高
15:00 ドイツ1〜3月期GDP改定値
15:45 フランス5月企業景況感
16:00 シュナーベルECB理事講演 ☆
21:30 米国4月耐久財受注
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月13日(月)
週明けのドル円はNY昼前までは155円台後半の高値圏でもみあいを続けていました。しかしイエレン財務長官がこれまでの発言を繰り返し介入に対して否定的なコメントをしたことをきっかけに156円乗せ。その後も156.25レベルまで水準を切り上げて高値引けとなりました。

5月14日(火)
ドル円は前日のイエレン財務長官の介入牽制発言が響いて東京前場に156円台半ばへと上昇、その後NY市場までは同水準でのもみあいを続けました。米国PPIは予想通りだったものの米金利上昇によるドル買い、その後前月の数字が下方修正されたことに反応し米金利低下のドル売りと、一時的に上下はあったものの156円台半ばのもみあいをその後も継続して引けました。

5月15日(水)
ドル円は欧州市場まで高値圏でのもみあいを続けていたものの、欧州市場に入り米金利が下げ始める動きとともにドル売りの動きが強まりました。NY市場に入り発表された米国CPIは前月比で予想よりも弱かったことから米金利が一段と低下、株高とドル安の動きが強まり、154.369レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。

5月16日(木)
前日NY市場の指標発表以降の下げを継続し、東京前場では一時153.60レベルの安値をつけました。しかし、テクニカルなターゲットを達成したことに加え米金利も東京市場で底打ちし、欧州市場以降は上昇に転じたことから買い戻しも速く、NY朝方には155円台半ばへと戻し、同水準でもみあいのまま引けました。

5月17日(金)
ドル円は東京前場に前日高値を上抜けたことから買いが強まったものの156円にはドル売りオーダーが並んでいることもあって、その後NY市場までは高値圏でのもみあいが続きました。NY市場朝方に発表された経済指標が弱かったことから155.25レベルまで押したものの引けにかけては155円台半ばへと戻しました。

ディスクレーマー

アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る