ドル高基調そのものは継続、ただ上値は重そう
〇本日のドル円、日銀国債買入額据え置きを受け、ドルが買い進められ日中高値155.90-95を示現
〇昨日一時153.60まで下落するも本日東京時間には156円近くまで値を戻す局面も、ドル高基調は継続
〇とは言えドルの上値は重くなっており、154-155円台をコアレンジとした揉み合いをしばらく辿るか
〇欧米時間の予想レンジは155.20-156.40、ドル高・円安方向は156円レベルが最初の抵抗か
〇ドル安・円高方向は、155.30-40をめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが小高い。上値も重く限られたが、一時は156円に迫る局面も。
ドル/円は155.40円前後で寄り付いたのち、しばらくは冴えない。そのなかで日中安値の155.30-35円を示現している。しかし、日銀国債買入額据え置きを受けた動きから、徐々にドルが買い進められ日中高値155.90-95円を示現。夕方に掛けてはやや小緩むと、16時現在では155.60-65円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「欧米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、ECB理事会メンバーである複数の欧州中銀総裁から発言が聞かれるも、その多くは「早期利下げ」を後押しする内容だった。たとえば、仏中銀総裁は「6月の次回会合で利下げを実施する可能性は著しく高い」と指摘。また、ポルトガル中銀総裁は「6月」という時期には言及しなかったが、利下げ開始は確実だとする見通しを示していた。一方、米国は発表された経済指標がまちまちながら、やや悪化した内容が多く、為替市場においても当初は失望を誘う。しかし、アトランタ連銀総裁による「米金融当局は辛抱強く警戒を怠らない姿勢が必要」との発言のように、早期利下げには慎重な要人コメントがあり、ドル売りは思ったほど盛り上がらなかった。
対して後者は、昨日実施された中露首脳会談ののち発表された共同声明で、日本の処理水放出に対して「深刻な懸念」が表明されたばかりか、中国は「核汚染水」との表現を使用していた。これについて、日本サイドから当然クレームが寄せられたうえ、林官房長官は外交ルートを通じて抗議したと発表している。そうしたなか、本日東京時間に中国の経済指標がまとめて発表され、その内容は好悪混在だったが、注目度の高かった小売売上高が悪化したことが為替市場でも嫌気されていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日一時153.60円まで下落。直近高値156.80円から3円強の下落で、調整どころかドル高基調からの転換も懸念されたが、そののちドルは急反発。前記したように、本日東京時間には156円近くまで値を戻す局面も観測されていた。ともかく、やはりドル高という基調そのものは続いているようで、円買い介入警戒感がくすぶるなか157円方向に向けた値動きが予想されている。
先週来の為替市場は発表される米経済指標や要人発言に一喜一憂。米金融政策への見方も二転三転する展開をたどっている。4月の消費者物価など期待を裏切る内容を示す指標もあるものの、発せられる米要人発言は逆に総じて強気だ。前述したように、昨日もアトランタ連銀総裁は「米金融当局は辛抱強く警戒を怠らない姿勢が必要」と発言していた。ただ、逆に言えば要人発言に弱気な内容が今後増えてくるようだと、相場の流れがドル安へと転換するリスクもあるだろう。なお、そうしたなか昨日初の4万ドル台を示現したNYダウを中心とした米株の動きも注意しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は紆余曲折あったものの、ドル高基調そのものは依然として不変か。懸念されていた移動平均21日線の割り込みも、わずか一日で解消し、再び日足は上抜けて推移している。
とは言え、ドルの上値が重くなっていることは確かで、短期的には14日高値156.80円がなかなか強い抵抗となる可能性もある。その場合には154-155円台をコアレンジとした揉み合いを、しばらくたどることになるだろう。
本日は米経済指標として、4月の景気先行指数が発表される予定となっている。通常あまり価格変動に影響を与える指標ではないが、昨日も含めここ最近は米指標が相場変動要因となることもあるだけに一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは155.20-156.40円。ドル高・円安方向は本日東京で超えられなかった156円レベルが最初の抵抗か。超えれば14日高値156.80円が再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、昨日再び上回ってきた移動平均の21日線が位置する155.30-40円をめぐる攻防に注目。ザラ場ももちろんのこと、NYクローズベースで引き続き上回れるか否かも注視されているようだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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