21日線下回る、ドルは上値重い展開か
〇本日のドル円、154.70レベルを割り込むと一気に153円台へ
〇153.60レベルで目先ボトムを付けた後はV字回復、16時現在は154.35-40で推移
〇昨日発表の米CPI、小売売上高悪化により、米利下げ観測が再燃
〇テクニカルには、昨日のドル急落で21日移動平均線を下抜け
〇早いタイミングでの21日線回復を望みたいが、ドル下落スピードも速い
〇本日は米失業保険申請件数、4月鉱工業生産等、また要人の講演に要注目
〇ドル高・円安方向、東京時間でしっかりと下回ってきた155円レベルが最初の抵抗か
〇ドル安・円高方向、本日東京安値の153.60レベルをめぐる攻防に注目
〇欧米時間の予想レンジ:153.60-154.90
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが弱含み。円買い介入などの要因もないなか、意外に簡単に日中高値から1円以上も値を下げた。
ドル/円は寄り付いた154.85-90円を日中高値にドルは冴えない。前日も下げ止まった154.70円レベルを割り込むと、そのまま一気に153円台へ。右肩下がりの値動きをたどっている。しかし、153.60円レベルで目先ボトムを付けたのちは、Vの字型の回復。ドルの上値が重く、さすがに全戻しとはならなかったが、16時現在では154.35-40円で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、それとは別に豪ドルも冴えない。発表された豪雇用統計を受けて、豪ドル売りが加速している。対円では103円台半ばで推移していたものが、一時102円台を示現した。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中露関係」について。
前者は、市場でもっとも注視されていた4月の米消費者物価指数は予想通りながら、同時に発表された同小売売上高は悪化。また、5月のNY連銀製造業景況指数も予想を下回り、ドルの売り要因となった。市場では早期の米利下げ観測が再燃した感もあり、ドル/円は155円を割り込み154円台へ。そうしたなか、ミネアポリス連銀総裁からは「金利を当面は現行水準に維持しなくてはならない可能性がある」としたタカ派発言が聞かれたものの、ドル売りの流れを止めることはできなかった。
対して後者は、前日に、米政府が中国製の電気自動車(EV)に現状の4倍に当たる100%の制裁関税を課すと発表。それに対して、中国は即座に反発の意向を示すような環境下、プーチン露大統領が16日に北京を訪問し、そののち中露首脳会談が実施されている。中国メディアによると、習氏は「中露関係の安定した発展は両国と両国人民の根本的な利益に合致するだけでなく、地域や世界の平和、安定、繁栄にとって利益がある」と述べ、米国との対立を念頭に置きつつさらなる関係強化に意欲を示したという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、なかなか悩ましい相場付き。昨日の東京市場を見るなか157円トライもありうると考えていたのだが、結果は正反対のドル安進行。むしろ155円割れを記録し、本日東京時間にはさらにドルが続落する局面も観測されていた。円買い介入などの要因もないなか、意外にあっさりと153円台を示現しており、そのあいだの下げ幅は3円を超える。まだ断定はできないものの、基調転換などについても頭の片隅にとどめておいて損はなさそうだ。
先週の為替市場は発表される米経済指標などに一喜一憂。先行きの米金融政策についても、市場予想が二転三転する展開だったが、今週もその流れは基本的に変わっていないようだ。そうした意味では、本日もこのあと発表される米経済指標には十分な注意を払いたい。一方、引き続きガザ情勢を中心とした地政学リスクに対する警戒感が強いほか、プーチン氏の中国訪問をリスク要因として注視している向きも少なくない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日のドル急落で、155円台まで上昇している移動平均の21日線を下抜け。攻防の分岐点とされるだけに、157円方向に向けた値動きの継続を再確認するためにも、ドルブル派としては早いタイミングでの21日線回復を望みたい。
しかし、前記したように昨日からのドル下落スピードも速く、あっという間に目先高値から3円以上も下落している。東京安値の153.60円レベルを下回ると、下値はさらに波乱含みか。
本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数や4月の鉱工業生産、同設備稼働率などが発表される予定となっている。先で指摘したように、昨日の米小売売上高などが予想外の数字で相場の波乱要因となっただけに、本日も指標についても関心が高まっている感を否めない。また、米地区連銀総裁による講演なども多く、そちらも一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは153.60-154.90円。ドル高・円安方向は本日東京などで一時揉み合うも、結局しっかりと下回ってきた155円レベルが最初の抵抗か。超えれば155.25-35円に位置する21日線が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の153.60円レベルをめぐる攻防に注目。安値151.86円を起点とした短期のフィボナッチでは上げ幅の61.8%すでに下回っており、76.4%戻しは153.00-05円となる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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