わずかに高値切り上げるも155円に届かず、日銀会合等控えて慎重な動き
〇ドル円、4/23夕刻154.85、夜154.87と僅かずつ高値切り上げ、12/28安値140.24以降の高値更新
〇155円手前での市場介入警戒感もあり、上昇が勢い付くことなく慎重な動き続く
〇市場の関心は4/25米1-3月期GDP速報、4/26日銀金融政策決定会合、米3月PCE統計へ
〇独欧英PMI、製造業が低調だったもののサービス業は顕著に改善しユーロドルとポンドドル上昇
〇米PMI速報値、製造業・サービス業ともに予想外に悪化。リッチモンド連銀製造業景況指数は予想上回る
〇米長期債利回りはまちまちの動き。ダウ、ナスダックは連騰
〇154.50割れからは154.25から154.00への下落想定。154円前後へ下げるところは押し目買いされ易い
〇155円突破から続伸の場合は市場介入警戒しつつ155円台中盤への続伸想定。155.50以上は反落警戒
【概況】
ドル円は4月19日午前のイスラエルによるイラン空爆報道をきっかけに153.58円へ急落したところから早々に戻し、23日未明に154.84円を付けて4月17日高値154.78円を超え、夕刻に154.85円、夜には154.87円とわずかづつ高値を切り上げて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新し、昨年1月16日安値127.22円以降の高値及び2011年10月31日安値75.57円以降の最高値を更新したが、155円手前での市場介入警戒感もあり上昇が勢い付くことはなく慎重な動きを続けている。
4月23日夕刻の独英欧サービス業PMIが予想を上回り夜発表の米PMIが予想外に悪化したことでユーロドルやポンドドルが上昇してドルストレートではドル安反応となり、ドル円も米PMI発表直後に154.57円へ下落し、24日未明にも154.55円まで下げる場面がみられたが、いずれも早々に元の水準へ切り返している。
4月24日はドイツ4月IFO景況感指数、3月の米耐久財受注、米5年債入札などが予定されるが、市場の関心は25日の米1-3月期GDP速報、26日の日銀金融政策決定会合、米3月PCE統計へ向いている。市場介入への警戒感とドル円の先高感が交錯しつつ、先週以降は154円割れを繰り返し買われて一段高へ進みたい姿での推移を続けている印象だ。
【米PMIは予想外に悪化】
4月23日夕刻にかけて発表された独欧英のPMIは製造業が依然として低調だったもののサービス業は顕著に改善したため、発表後にユーロドルとポンドドルは上昇した。
ドイツの4月PMIは3月の製造業が41.9から42.2へ改善したものの市場予想の42.8を下回ったが、サービス業は3月の50.1から53.3へ大幅に改善して市場予想の50.5を上回った。
ユーロ圏の4月PMIは製造業が3月の46.1から45.6へ悪化して市場予想の46.6を下回ったが、サービス業は3月の51.5から52.9へ改善して市場予想の51.8を上回った。
英国の4月PMIは製造業が3月の50.3から48.7へ悪化して市場予想の50.4を下回ったがサービス業は3月の53.1から54.9へ改善して市場予想の53.0を上回った。
一方でS&Pグローバルによる4月の米PMI速報値は製造業が3月の51.9から49.9へ悪化して市場予想の52.0を下回って4か月振り低水準となり、サービス業も3月の51.7から50.9へ悪化して市場予想の52.0を下回って5か月振り低水準となった。
ただ、米国の利下げ開始が先送りされる一方でECBの6月利下げ期待度が上昇しており、ECBのデギンドス副総裁がサプライズなければ6月に金融引き締め姿勢を緩和する見通しを示したことで深夜以降のユーロドルの上昇にブレーキがかかった印象もある。
米商務省による3月の新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比8.8%増の69万3000戸となり市場予想の67万戸を上回った。前年同月比も8.3%増だった。
リッチモンド連銀の4月製造業景況指数はマイナス7となり3月のマイナス11から改善して市場予想のマイナス8を若干上回った。
【米長期債利回りはまちまちの小動き、ダウは4連騰、ナスダックも連騰】
4月23日の米長期債利回りはまちまちの動き、全般に週後半の米GDP速報やPCE統計を控えて小動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%低下の4.60%で、4月16日に4.696%をつけて昨年12月以降の最高値とした後は高値更新へ進めずにいるものの高止まりしている。
30年債利回りは前日比0.01%上昇の4.73%で、4月16日に4.81%をつけてから19日に一時4.62%まで下げたものの早々に切り返して高止まりしている。
2年債利回りは前日比0.04%低下の4.94%となり、4月16日に付けた1月以降の最高である5.01%の後は高値更新へ進めずにいるものの4.90%以下から繰り返し戻している。
一方でNYダウは前日比263.71ドル高と上昇して4月18日から4連騰とした。イスラエルとイランの全面戦争回避でリスク選好感が回復していることと38000ドル割れに対する値頃感で買い戻されており、23日は企業決算好調等で続伸した。ナスダック総合指数も4月12日から19日まで6営業日続落してきたが、22日に前日比169.30ポイント高とし、23日も245.33ポイント高と連騰した。15000ポイント割れ回避で買い戻されている。
今週後半の米GDPやPCEと日銀会合等を通過してドル高株安ならドル円が155円突破へのきっかけをつかむ可能性もあると思われる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は4月19日昼の急落から反騰入りしたが、徐々に高値を切り上げつつも155円には届かない状況が続いている。154.50円を上回るうちは上昇余地ありとするが、154.50円割れからはいったんポジション調整的な下げに入るとみて24日の日中から26日午前にかけての間への下落を想定する。ただし、下落期入りしてからこれまでの高値を更新する反騰となる場合は新たな上昇期に入り155円突破へ挑戦してゆくのではないかと考える。
60分足の一目均衡表では、4月22日以降をわずかにジリ高の推移としているので遅行スパンは実線と交錯し、先行スパン上限に張り付いているので方向感に欠ける。154.50円割れからはいったん下げに入る可能性があるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、その後にこの間の高値を更新するところからは高値追を続けるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4月23日朝から23日夜にかけてのジリ高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる。23日夜に一時40ポイント割れへ低下してから戻したため次に60ポイントを超えるところからは70ポイント台への上昇を想定するが、次に45ポイントを割り込むところからは下落期入りとして30ポイント前後へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、154.50円を下値支持線、155.00円を上値抵抗線とする。
(2)154.50円以上での推移中は一段高余地ありとするが、155円を突破するきっかけをつかめないうちは155円手前から失速しやすいと注意し、154.50円割れからは154円台序盤(154.25円から154.00円)への下落を想定する。154円前後へ下げるところは押し目買いされやすいとみるが、154.50円以下での推移が続く場合は25日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)155円突破から続伸する場合は市場介入を警戒しつつ155円台中盤への続伸を想定する。155.50円以上は反落警戒とするが、市場介入が見送られれば156円を目指して行くとみる。ただし、市場介入の際は2022年9月介入時のように直前高値から5円を超える規模の反落となる可能性もあると注意する。
【当面の予定】
4/24(水)
休場 イスラエル
10:30 (豪) 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 3.4%、予想 3.4%)
10:30 (豪) 1-3月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (10-12月 0.6%、予想 0.8%)
10:30 (豪) 1-3月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (10-12月 4.1%、予想 3.5%)
17:00 (独) 4月 IFO企業景況感指数 (3月 87.8、予想 88.8)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 1.4%、予想 2.5%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 0.5%、予想 0.3%)
23:30 (欧) シュナーベルECB専任理事、発言
23:30 (米) EIA週間原油在庫
24:30 (米) 2年物変動利付債(FRN)入札
26:00 (米) 5年債入札
4/25(木)
休場 オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、アイスランド
日銀・金融政策決定会合初日
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・改定値 (速報 111.8)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・改定値 (速報 110.9)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -27.4、予想 -26.0)
21:30 (米) 1-3月期 GDP・速報値 前期比年率 (10-12月 3.4%、予想 2.5%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費・速報値 前期比年率 (10-12月 3.3%、予想 2.6%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE・速報値 前期比年率 (10-12月 2.0%、予想 3.4%)
21:30 (米) 3月 卸売在庫 前月比 (2月 0.5%、予想 0.3%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.2万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.2万人)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前月比 (2月 1.6%、予想 1.0%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前年同月比 (2月 -2.2%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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