ドル円、約34年ぶり高値圏で一進一退。週後半の重要イベントを控えて身動き取れず
〇ドル円、中東情勢を巡る緊張感の緩和等を背景に米国時間に高値154.88まで上昇
〇その後は日銀が円安加速の影響を議論するとの日経報道等に一時154.56まで反落するも持ち直す
〇ユーロドル、欧州圏PMIの好調、米PMI不冴えと米金利低下に1.07台を回復
〇ドル円、155円手前で膠着状態、円買い材料には反応薄で地合いの強さ確認
〇本日、経済イベント少なく膠着継続か、節目の155.00を突破する場合には一気に上方向に走る恐れも
〇本日の予想レンジ:154.25ー155.75
海外時間のレビュー
23日(火)のドル円相場は高値圏で一進一退。(1)中東情勢(イラン・イスラエル衝突)を巡る地政学的リスクの後退や、(2)日米金利差に着目したドル買い・円売りが支援材料となる中、米国時間朝方にかけて、高値154.88(1990年6月以来、約34年ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)心理的節目155.00を背にした戻り売り圧力(政府・日銀による介入警戒感+短期筋の利食い売り+オプション勢のリバースノックアウトに絡む防戦売り)や、(4)米4月総合PMI速報値(結果50.9、予想52.0)の市場予想を下回る結果、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力、(6)日本経済新聞による「日銀は4/25ー4/26日に開催する金融政策決定会合で円安加速の影響を議論する」とのヘッドラインが重石となり、米国時間午後にかけて、安値154.56まで軟化しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間4/24午前6時40分現在)では、154.82前後で推移しております。尚、昨日は鈴木財務相による「過度の変動にはあらゆるオプションを排除せずに対応」「(為替介入について)環境が整ったと捉えられてもいい」との為替介入の可能性を示唆する発言や、植田日銀総裁による「(インフレ見通しが予想通りとなれば)金融緩和の度合いを調整し短期金利を引き上げていく」との追加利上げの可能性を示唆する発言が見られましたが、円買いでの反応は限られました。
23日(火)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)デギンドス欧州中央銀行ECB副総裁による「インフレとの戦いは終わりつつある」「6月ECB理事会での利下げはほぼ確実」とのハト派的な発言や、(2)欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買いが重石となる中、アジア時間午後にかけて、安値1.0638まで軟化しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)ドイツ4月非製造業PMI速報値(結果53.3、予想50.5)の力強い結果や、(4)ユーロ圏4月総合PMI速報値(結果51.4、予想50.7)の市場予想を上回る結果、(5)米4月総合PMI速報値(結果50.9、予想52.0)の市場予想を下回る結果、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力、(7)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「インフレが目標に戻る兆しを確認できるまでは利下げはできない」とのタカ派的な発言、(8)欧州株の堅調推移が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0711まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/24午前6時40分現在)では、1.0702前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は心理的節目155.00の手前で一進一退の動きが続いています。昨日はドル売り材料(米4月総合PMI速報値の冴えない結果+米長期金利の市場予想を下回る結果)と、円買い材料(鈴木財務相による為替介入の可能性を示唆する発言+植田日銀総裁による追加利上げの可能性を示唆する発言+日本経済新聞による「日銀は4/25ー4/26日に開催する金融政策決定会合で円安加速の影響を議論する」とのヘッドライン)が組み合わさったにも係わらず、ドル売り・円買いでの反応は殆ど見られませんでした(地合いの強さを再確認)。
本日は日米共に経済イベントに乏しく、また明日以降に重要イベント(米1ー3月期GDP速報値、東京区部4月消費者物価指数、日銀金融政策決定会合、米3月PCEデフレーター)を控えていることもあり、昨日同様、心理的節目155.00近辺での膠着商状が続くと予想いたします。但し、万が一心理的節目155.00を突破する場合には、オプション勢による大規模ストップBUY(これまでトリガー操作の一貫として続けてきた防戦売りの解消)が発生するため、ドル円相場が一気に上方向に走る恐れがある点には留意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:154.25ー155.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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