ドル円見通し 154.80円台に到達し昨年末以降の高値更新、市場介入を警戒しつつ円安継続感優勢(24/4/23)

4月23日未明に154.84円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新し、昨年1月16日安値127.22円以降の高値及び2011年10月31日安値75.57円以降の最高値を更新した。

ドル円見通し 154.80円台に到達し昨年末以降の高値更新、市場介入を警戒しつつ円安継続感優勢(24/4/23)

154.80円台に到達し昨年末以降の高値更新、市場介入を警戒しつつ円安継続感優勢

〇ドル円、4/23未明154.84を付け、昨年12/28安値140.24以降の高値を更新
〇今週発表の経済指標や日銀金融政策決定会合等を控えており、155円突破への挑戦姿勢はまだ慎重か
〇先週は財務相や日銀総裁が円安けん制姿勢を見せたものの、効果薄い
〇米長期債利回りはまちまちの動き、NYダウは3連騰、ナスダックとS&P500指数は7日ぶりの反発
〇154.30以上で推移中は一段高余地ありだが、154.30割れからは154.00、153.80を試す下落を想定する
〇155円突破から続伸する場合は、市場介入を警戒しつつ155円台中盤への続伸を想定する

【概況】

ドル円は4月23日未明に154.84円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新し、昨年1月16日安値127.22円以降の高値及び2011年10月31日安値75.57円以降の最高値を更新した。
4月19日午前にイスラエルがイランへの報復空爆を行ったとの報道から一時リスク回避型の円高となり153.58円まで急落したが、イラン側の被害は軽微でイランによる再報復がなかったことで両国の全面戦争化はひとまず回避されたとしてリスクオン優勢の流れを回復した。
週明けも中東情勢の緊張エスカレート報道はなく、政府・日銀による市場介入への警戒感を持ちつつも米国の利下げ先送りによる円安は継続するとみてジリ高の推移を続けて4月17日未明高値154.78円を超えた。ただし、今週の米1-3月期GDP速報や3月PCEデフレーター、日銀金融政策決定会合等を控えているため155円突破への挑戦姿勢はまだ慎重なようだ。

【先週の財務相や日銀総裁の円安けん制は効果薄い】

先週のG20財務相・中銀総裁会議において、日韓、日米、日米韓の財務相会談が行われて鈴木財務相が円安への危惧を説明して市場介入への地ならし的な発言を行い、日銀の植田総裁も「(円安による)無視できない大きさの影響が発生すれば金融政策の変更もありうる」と述べて円安けん制姿勢を見せたものの、市場の反応は鈍かった。

これまでの円安は前回の日銀金融政策決定会合でマイナス金利等が解除されて17年ぶりの利上げとなったものの当面は緩和状態が続くとされたことと米国の早期利下げ期待が後退して米長期債利回りが上昇したことによるものだった。4月10日の米3月CPI上昇率が予想を超えたことで152円の壁を超えて急伸し、2022年10月21日高値151.94円と2023年11月13日高値151.90円によるダブル天井ラインを突破したことで勢いを増したといえる。4月16日にパウエルFRB議長がインフレ統計が予想を上回っていることで利下げ実施まで待つ期間は以前の想定よりも長くなるとの見方を示したことが利下げ開始は9月以降ないしは年末までずれ込む可能性を示唆したものと受け止められたこともドル円の上昇基調継続感を増している。

【米長期債利回りはまちまち、ダウは3連騰、ナスダック等は7日ぶり反発】

4月22日の米長期債利回りはまちまちの動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%低下の4.61%で終了、一時4.67%まで上昇してから反落した。4月16日に4.696%をつけて昨年12月以降の最高値とした後は高値更新へ進めずにいるものの高止まりして上昇基調は続いている印象だ。
30年債利回りは前日比0.01%上昇の4.72%で終了。2年債利回りは0.01%低下の4.98%とし4月16日に付けた1月以降の最高である5.01%に迫っている。

一方でNYダウは一時400ドルを超える上昇となり、前日比253.58ドル高で終了して4月18日からは3連騰とした。イスラエルとイランの全面戦争回避感からリスク選好感が回復していることと37000ドル台中盤まで下げたことに対する売られ過ぎ感から買い戻し優勢となったようだ。ナスダック総合指数は4月12日から19日まで6営業日続落してきたが、22日は前日比169.30ポイント高と上昇して7日ぶりの反発となり、S&P500指数も43.37ポイント高で7日ぶり反発とした。
米長期債利回りの高止まりと米国株反発はドル円にとっては円安ドル高要因となるが3月後半からの株安基調から脱却したというのは時期尚早と思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は4月12日夜安値152.58円を起点として4月17日未明高値154.78円へ上昇したところから下落期に入っていたが、4月19日昼の急落で153.58円を付けたところを目先の底として反騰期入りした。4月17日未明高値を基準とすれば当面の高値形成期は23日未明から24日未明にかけての間と想定されるが、23日未明へ高値を切り上げてからも確りしているのでまだ上昇余地ありとみる。ただし、154.30円割れからはいったん下げに入るとみて24日午前から26日昼にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月19日昼安値からの反騰により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とする。

60分足の相対力指数は4月19日昼安値への急落時に20ポイント台を付けてから持ち直しているものの70ポイントには届いていない。50ポイント以上を維持する内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、154.30円を下値支持線、155.00円を上値抵抗線とする。
(2)154.30円以上での推移中は一段高余地ありとするが、155円を突破するきっかけをつかめないうちは155円手前から失速しやすいと注意し、154.30円割れからは154.00円、153.80円を順次試す下落を想定する。153.80円以下は反騰注意とするが、154.30円を下回っての推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)155円突破から続伸する場合は市場介入を警戒しつつ155円台中盤への続伸を想定する。155.50円以上は反落警戒とするが、市場介入が見送られれば156円を目指して行くとみる。ただし、市場介入の際は2022年9月介入時のように直前高値から5円を超える規模の反落となる可能性もあると注意する。

【当面の予定】

4/23(火)
中国全人代常務委員会(4月26日まで)
休場 トルコ、スリランカ、イスラエル
14:00 (日) 日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標
16:30 (独) 4月 製造業PMI・速報値 (3月 41.9、予想 42.8)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI・速報値 (3月 50.1、予想 50.5)
17:00 (欧) 4月 製造業PMI・速報値 (3月 46.1、予想 46.6)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI・速報値 (3月 51.5、予想 51.8)
17:30 (英) 4月 製造業PMI・速報値 (3月 50.3、予想 50.4)
17:30 (英) 4月 サービス業PMI・速報値 (3月 53.1、予想 53.0)
20:15 (英) ピル英中銀理事、講演
21:30 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演

22:45 (米) 4月 製造業PMI・速報値 (3月 51.9、予想 52.0)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI・速報値 (3月 51.7、予想 52.0)
23:00 (米) 4月 リッチモンド連銀製造業景況指数 (3月 -11、予想 -8)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数・年率換算 (2月 66.2万件、予想 67.0万件)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 前月比 (2月 -0.3%、予想 1.2%)
23:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債入札

4/24(水)
休場 イスラエル
07:45 (NZ) 3月 貿易収支 (2月 -2.18億NZドル)
08:50 (日) 3月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (2月 2.1%、予想 2.1%)
10:30 (豪) 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 3.4%、予想 3.4%)
10:30 (豪) 1-3月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (10-12月 0.6%、予想 0.8%)
10:30 (豪) 1-3月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (10-12月 4.1%、予想 3.5%)
17:00 (独) 4月 IFO企業景況感指数 (3月 87.8、予想 88.8)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 1.4%、予想 2.9%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 0.5%、予想 0.3%)



注:ポイント要約は編集部

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