ドル円見通し 市場介入警戒感増して155円トライはいったん仕切り直しの様相(24/4/18)

ドル円は18日未明に154.15円へ下落して18日朝にかけても154円台前半での推移を続けている。

ドル円見通し 市場介入警戒感増して155円トライはいったん仕切り直しの様相(24/4/18)

市場介入警戒感増して155円トライはいったん仕切り直しの様相

〇ドル円、4/17未明に154.78をつけ昨年12/28安値140.24以降の高値更新
〇その後、国内財界からの円安けん制発言や日米韓財務相会談後の声明受け、4/18未明154.15へ下落
〇本日朝にかけても154円台前半での推移、155円に迫り市場介入への警戒感が勝り始めたか
〇155円へのトライをいったん仕切り直し154円台序盤へ下げた印象
〇本日早朝、神田財務官スタンバイ姿勢示す、再び155円に迫る場合は実弾介入もあり得るか
〇米長期債利回りは連騰後の修正安、ダウ再び下落で株安感強まる
〇154.50以下での推移中は一段安警戒とし、154円割れからは153円台中盤への下落を想定
〇154.50超えから続伸し始める場合は上昇再開の可能性ありとみて4/17未明高値154.78試しとする

【概況】

ドル円は4月17日未明に154.78円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新するとともに2011年10月31日安値75.57円以降の最高値としたが、17日の日中は国内財界からの円安けん制で上値が重くなり、G20財務相・中銀総裁会合の行われたワシントンでの日米韓財務相会談において最近の円安やウォン安に対して「外国為替市場の動向に関し引き続き緊密に協議する」と声明が発表され、鈴木財務相が「行き過ぎた動きには適切に対応する立場を説明した」と述べたこと等をきっかけに18日未明に154.15円へ下落して18日朝にかけても154円台前半での推移を続けている。

米国の6月利下げ開始期待が大幅に後退して9月以降へ先延ばしされるとの見方から米長期債利回りが上昇して日米金利差が拡大したことがこれまでドル円が上昇してきた背景であり、3月27日に151.96円まで上昇した後は152円手前が上値抵抗となっていたところ4月10日の米3月CPI上昇率が予想を上回ったことをきっかけに152円の壁を超えたことで上昇が勢い付き、市場介入の姿勢を試すように153円台、154円台と進んできたが、155円に迫る中でいよいよ市場介入も近いとの警戒感が勝り始めたことで155円へのトライをいったん仕切り直しとして154円台序盤へ下げた印象だ。

【財界の円安けん制、日米韓財務相会合で市場介入の根回し】

4月17日に日本商工会議所の小林会頭は「今の円安は非常に困る。適切な措置をお願いしたい」、「他国との協調介入も含めて考えてもらいたい」と市場介入による円安抑制を求める姿勢を示した。小林会頭は「原油価格も上がっており原料価格にダブルで効いてくる」として円安とインフレへの懸念を強く示した印象だ。経済同友会の新浪代表幹事も4月16日に最近の円安について「為替介入で現在のトレンドが変わるかは疑問だ」としたものの「是正が必要なレベルになってきている」と述べている。
財界からの円安けん制が続く中で政府の円安けん制姿勢も徐々に強まっているが、鈴木財務相はG20財務相・中銀総裁会合の際にイエレン米財務長官と会談したとし、日米が急速な円安が進行する為替市場の動向について緊密に意思疎通を図っていくことを確認したとし、「行き過ぎた動きには適切に対応する立場を説明した」、「イエレン長官にはよく聞いていただいた」と述べた。韓国企画財政相も日韓財務相会談で日韓はともに最近の自国通貨安に深刻な懸念を表明したとし、鈴木財務相は外国為替市場の過剰な変動を安定させる措置を講じる用意があると述べたとも語った。

4月18日早朝には神田財務官が「必要であれば適切な行動取る」、「手の内をさらすことになるため具体的な措置には言及しない」、「あらゆる手段を排除せずということに尽きる」と述べて市場介入へのスタンバイ姿勢を示している。
ドル円の152円突破に際しては介入できず、153円、154円と水準を切り上げてきたため、市場は155円を介入ターゲット水準と認識している印象だ。155円手前からいったん下げている局面では介入せず様子見と思われるが、再び155円に迫る場合は実弾介入もあり得ると注意したい。ただし、ドル円は2022年9月22日の市場介入で急落した後に同年10月21日高値へと一段高しており、一度の介入では円安基調そのものは収まらないのではないかと思われる。

【米長期債利回りは連騰後の修正安、ダウ再び下落で株安感強まる】

4月17日の米長期債利回りは前日までの上昇一服で総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%低下の4.59%となった。4月15日の0.08%上昇、16日の0.06%上昇と連騰して16日は一時4.698%をつけて昨年12月以降の最高を更新したが、17日は連騰に対する修正で下げたようだ。
30年債利回りは0.07%低下の4.70%となり、4月16日に4.81%をつけて昨年12月27日に付けた3.94%以降の最高としたところから反落したが、調整を入れつつ上昇基調を継続している印象だ。2年債利回りは0.05%低下の4.94%となったが、4月11日に5.01%をつけてから高値更新へ進めずにいるものの高止まりの様相を続けている。

一方でNYダウは前日比45.66ドル安と下落した。4月8日から15日まで6営業日続落して16日に63.86ドル高と小反発したが、17日は安値で37611.56ドルを付けて3月21日の史上最高値39889.05ドル以降の安値を更新した。ナスダック総合指数は181.88ポイント安となり4月12日から4営業日続落で3月21日につけた史上最高値以降の安値を更新しており、米国株式市場が第1四半期の上昇一巡で第2四半期は下落に転じているという印象を強めた。米国株安が日本株安へ波及すればドル円に対しては円高圧力となりやすい。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は4月12日夜安値を起点として一段高してきたが、4月17日未明高値で目先のピークを付けて下落期に入っている印象だ。目先の安値形成期は18日未明から19日深夜にかけての間と想定されるのでまだ下落余地ありとするが、154.50円超えから続伸する場合は新たな上昇期入りの可能性ありとして4月17日未明高値154.78円試しとし、高値更新の場合は20日未明から24日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月18日未明の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンに潜り込んでいるため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。ただし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月15日夜に80ポイント台へ到達してから60ポイント台を中心とした揉み合いの様相で推移していたが、17日午後に50ポイントを割り込み18日未明には30ポイント台へ低下した。50ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えから続伸に入る場合は70ポイントへ迫る上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、154.00円を下値支持線、154.50円を上値抵抗線とする。
(2)154.50円以下での推移中は一段安警戒とし、154円割れからは153円台中盤(153.65円から153.35円)への下落を想定する。153.50円以下は反騰注意とするが、154円以下での推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)154.50円超えから続伸し始める場合は上昇再開の可能性ありとみて17日未明高値154.78円試しとし、高値更新からは155円前後試しとする。155円到達時に市場介入なければ155円台中盤へ上値目途を引き上げるが、市場介入で急落する場合は2022年の介入時と同様に直前高値から5円前後規模の下落となる可能性もあると注意する。

【当面の予定】

4/18(木)
休場 ベトナム
10:30 (豪) 3月 新規雇用者数 (2月 11.65万人、予想 1.00万人)
10:30 (豪) 3月 失業率 (2月 3.7%、予想 3.9%)
10:00 (世) SWIFT(国際銀行間通信協会)3月決済シェア
10:30 (日) 野口日銀審議委員、佐賀で講演、14:00 記者会見
13:30 (日) 2月 第三次産業活動指数 前月比 (1月 0.3%、予想 0.5%)
17:00 (欧) 2月 経常収支・季調済 (1月 394億ユーロ )
18:00 (欧) 2月 建設支出 前月比 (1月 0.5%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前年同月比 (1月 0.8%)

21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 3.2、予想 2.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.7万人、予想 181.0万人)
22:15 (米) ボウマンFRB理事・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
23:00 (米) 3月 景気先行指数 前月比 (2月 0.1%、予想 -0.1%)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数・年率換算 (2月 438万件、予想 420万件)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数 前月比 (2月 9.5%、予想 -4.1%)

4/19(金)
06:45 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、質疑応答
08:30 (日) 3月 全国CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 2.8%、予想 2.8%)
08:30 (日) 3月 全国CPI・生鮮食料品除く [前年同月比 (2月 2.8%、予想 2.7%)
08:30 (日) 3月 全国CPI・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (2月 3.2%、予想 3.0%)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.0%、予想 0.3%)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 -0.4%、予想 1.0%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 0.2%、予想 0.4%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (2月 -0.5%、予想 1.0%)
15:00 (独) 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 -0.4%、予想 0.0%)
23:15 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
23:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
未 定 (日) 植田日銀総裁、講演(米ワシントン)


注:ポイント要約は編集部

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