ドル円見通し 152円に届かない展開続く、今夜の米CPIから動意付くか注目(24/4/10)

ドル円は、10日夜の米CPI統計発表を控えて積極的には仕掛けづらく動意に欠けている。

ドル円見通し 152円に届かない展開続く、今夜の米CPIから動意付くか注目(24/4/10)

152円に届かない展開続く、今夜の米CPIから動意付くか注目

〇ドル円、4/9高値は前日同値151.93に留まる。4/9深夜151.55に下げ、戻り一巡から下落期入りの印象
〇植田総裁、4/9参院委で「金融政策は為替レートをコントロールする為のものでない」と客観的立場強調
〇今夜の米CPI次第で152円の壁突破に挑戦か、ドル安のきっかけとなり再び151円割れへ進むか
〇米CPI顕著な鈍化ならFOMC6月利下げ開始期待度高まり、米長期債利回り低下でドル円は下落反応に
〇上昇率が予想上回るとインフレ高止まりによる利下げ先送り感から米長期債利回り上昇でドル円も上昇
〇4/9、米長期債利回りは総じて低下。ダウは小幅安で上値の重い展開続く
〇151.93超えないうちは一段安余地あり、151.55割れからは151.25、151.00順次試して行く下落想定
〇151.80超えからは151.93試し、151.93超えからは152円突破への挑戦へ進むとみる

【概況】

ドル円は3月27日に151.96円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の最高値としたが、その後の高値は4月3日夜の151.95円、8日夜と9日夕の151.93円までにとどまり152円手前における市場介入への警戒感から上値の重い展開を続けている。4月9日夜は米長期債利回りが低下したのを見て深夜に151.55円まで下げてから151.80円手前へ持ち直したが、10日夜の米CPI統計発表を控えて積極的には仕掛けづらく動意に欠けている。
先週末の米雇用統計で失業率が改善して就業者数が予想を大幅に超える増加だったことをきっかけに4月5日午前安値150.80円から戻したため、3月21日安値150.26円から底上げした状態で151円以下へ突っ込むところは買い拾われて152円手前を試す流れは継続しており、今夜の米CPI内容次第では152円の壁突破に挑戦する可能性もあるが、逆に米CPIがドル安のきっかけとなる場合は再び151円割れへ進む可能性もあるところだ。
本日は午後に植田日銀総裁の信託大会挨拶、夜は米CPI、明日未明にはFOMC議事要旨公開がある。

【日銀総裁、円安へのけん制姿勢は薄い印象】

日銀の植田総裁は9日の参院財政金融委員会において、日銀の見通し通りに物価上昇が続けば金融緩和の度合いの縮小を考えていかないといけないと述べたが、現時点ではどういうタイミングでどのように短期金利を動かしていくかについて「予断は持っていない」と述べた。マイナス金利を解除した状況でも「実質金利は大幅にマイナスで推移する」とし、円安については「金融政策は為替レートをコントロールするために運営するものではない」と客観的立場を強調し、一般論としては「為替レートの動きが経済・物価情勢に無視できない影響を与える事態に至れば金融政策の対応をもちろん考える可能性が出てくる」と述べるにとどまった。

3月会合で日銀がマイナス金利解除を決定した際に暫くは緩和状態が続き連続的な利上げを急がない姿勢を示したことで会合後にドル円は急伸して152円に迫り、その後も152円手前を繰り返し試して円安基調の継続期待の強さを見せている。日銀が追加利上げへ含みを持たせて市場をけん制していればここまで円安が進むことはなかったとの批判的な見方もあったのだが、9日の国会答弁を見る限り、円安に関する警戒感はさほどなく、政府が円安に歯止めをかけるならその手段として市場介入をするという他力本願的な姿勢という印象だった。

【今夜、米CPI、明朝FOMC議事要旨】

4月10日夜に米3月CPI(消費者物価指数)、11日未明にFOMC議事録の公開がある。
3月CPI上昇率に対する市場の事前予想は前月比0.3%で2月の0.4%から鈍化し、コア指数の前月比も2月の0.4%から0.3%へ鈍化すると見込まれている。前年同月比は全体で2月の3.2%から3.4%へ上昇と見込まれているがコア指数では2月の3.8%から3.7%へ鈍化すると見込まれている。
顕著な鈍化となればFOMCの6月利下げ開始期待度が高まり米長期債利回り低下によりドル円は下落反応となり、上昇率が予想を上回る場合にはインフレ高止まりによる利下げ開始先送り感から米長期債利回りが上昇してドル円も上昇すると思われる。

2022年11月10日の米CPIで同年10月の上昇率が予想を大きく下回ったことが「逆CPIショック」と呼ばれるドル安を招き、同年10月21日に151.94円を付けてから高止まりしていたドル円が急落に転じたことも念頭に入れておきたい。
CPI発表後はFOMC議事要旨の内容へ焦点が移る。3月FOMCでは参加者19人中10人が年3回利下げ想定で9人が2回以下の利下げ想定だった。パウエルFRB議長は昨年12月と同様にメンバー想定の中央値が年3回利下げだったことを妥当としており、その後の発言も5月会合での利下げには否定的だったものの6月会合での利下げを否定する姿勢には至らずにいる。今回の議事要旨でより具体的な利下げ開始時期が推察されるのか、前夜のCPIとともに市場の方向性を決める大きな要因となる可能性があると注目したい。

【米長期債利回りは低下、ダウは小幅安】

4月9日の米長期債利回りは総じて低下した。10日夜の米CPIと11日未明のFOMC議事要旨公開を控えて前日までの上昇に一服感が見られ、この日の3年債入札も好調だったことや原油価格が下落したことを反映したようだ。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%低下の4.36%となった。8日に一時4.47%をつけて2月27日に付けた3.78%以降の最高値を更新してから反落した流れを継続した。30年債利回りは前日比0.05%低下の4.50%となり、8日に一時4.60%をつけて昨年12月27日につけた3.94%以降の最高値を更新してから反落、政策金利動向に敏感な2年債利回りも前日比0.04%低下の4.75%となり、8日に一時4.795%を付けて1月12日に付けた4.12%以降の最高値としたところから反落している。

米財務省は9日に3年債580億ドルの入札を行ったが比較的好調だった。4月10日には10年債、11日には30年債の入札が控えているため、いずれも入札好調なら利回り低下を招くきっかけとなりやすい。
一方で4月9日のNYダウは前日比9.13ドル安と小幅な下落だったが8日の11.24ドル安から続落した。3月21日に39889.05ドルの史上最高値を付けたところから下落に転じ、4月1日から4日まで4営業日続落となり、4月5日に前日比307.06ドル高と反発したものの4日の前日比530.16ドル安を解消できず、9日も一時は4月4日安値に迫るなど上値の重い展開が続いている。ナスダック総合指数は米長期債利回り低下を好感して52.68ポイント高と上昇して4月5日から3連騰となったが、4月4日に前日比228.38ポイント安の日足陰線で下落した後は陰線レンジ内に留まっている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は4月5日午前安値150.80円を起点に反騰したが、高値は4月8日夜と9日夕の151.93円の同値にとどまり9日深夜安値151.55円まで下げたため戻り一巡から下落期に入っている印象だ。
今夜の米CPI反応次第と思われるが、151.93円を超えないうちは10日夜から12日午前にかけての間への下落余地ありとし、151.93円を超える場合は新たな上昇期入りとみて12日の日中から16日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月9日夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンに潜り込んでいる。先行スパンから上抜けないか一時的に上抜けても再び潜り込む場合は4月9日夜安値割れから一段安へ進む可能性があるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返して遅行スパンも好転する場合は上昇再開とみて高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月8日夜と9日夕に151.93円の同値を付けたところで指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて9日夜の下落時には30ポイント台へ低下した。その後は50ポイント台回復を試しているところのため、55ポイントを超えないうちは次の40ポイント割れから30ポイント以下への低下を想定するが、55ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台後半への上昇を想定する。米CPI次第では指数も上下に大きく振れる可能性があると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、151.55円を下値支持線、151.93円を上値抵抗線とする。
(2)151.93円を超えないうちは一段安余地ありとし、151.55円割れからは151.25円、151.00円を順次試して行く下落を想定する。151.55円以下での推移なら11日も安値試しへ進みやすいとみるが、米CPI発表後に急落する場合は151円割れへ進む可能性もあると注意する。
(3)151.80円超えからは151.93円試しとし、151.93円超えからは152円突破への挑戦へ進むとみる。米CPIとFOMC議事要旨公開を通過して152円を突破する場合には152円台中盤(152.35円から152.65円)への上昇を想定する。151.93円を超えた後も151.80円以上での推移なら11日も高値試しへ向かいやすいとみる。152円突破に際して日銀の実弾介入がなければさらに騰勢を増す可能性もあるとみる。

【当面の予定】

4/10(水)
日米首脳会談、韓国総選挙
休場 トルコ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、韓国
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.50%、予想 5.50%)
15:15 (日) 植田日銀総裁、信託大会挨拶
21:30 (米) 3月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (2月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 3.2%、予想 3.4%)
21:30 (米) 3月 コアCPI(食品・エネルギー除く) 前月比 (2月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 コアCPI 前年同月比 (2月 3.8%、予想 3.7%)
21:45 (米) ボーマンFRB理事、ECBフォーラム参加
22:45 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 5.00%、予想 5.00%)

23:00 (米) 2月 卸売売上高 前月比 (1月 -1.7%、予想 0.4%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫
25:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、パネル討論会
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:00 (米) 3月 月次財政収支 (2月 -2963億ドル)
27:00 (米) FOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨


4/11(木)
休場 マレーシア、インドネシア、インド、トルコ
08:50 (日) 3月 マネーストックM2 前年同月比 (2月 2.5%)
10:30 (中) 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 0.7%、予想 0.4%)
10:30 (中) 3月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (2月 -2.7%、予想 -2.8%)
21:15 (欧) ECB(欧州中銀行) 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.50%)

21:30 (米) 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (2月 1.6%、予想 2.3%)
21:30 (米) 3月 コアPPI・食品・エネルギー除く 前月比 (2月  0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 コアPPI 前年同月比 (2月 2.0%、予想 2.3%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.1万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 179.1万人、予想 180.0万人)
21:45 (欧) ラガルドECB総裁、記者会見
21:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
25:00 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省30年債入札
26:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合参加



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