先週は今年最小変動、レンジ放れにまず注目
〇先週のドル円、34年ぶり高値151.97を示現するも上値重く、152円にはとどかず
〇週間を通し底堅く151円台で1円未満の変動、151.35-40で越週
〇今週も基本的に151円台を中心とした値動きか
〇152円をしっかり超えられるかにまず注視、当局の円買い実弾介入実施にも注意
〇テクニカルには、152円レベルが強固な抵抗、しっかり抜けない場合一転してドル売り強まる可能性も
〇今週は米3月ISM製造業景況指数、雇用統計等の重要済指標、米通貨当局者講演に注目
〇ドル円予想レンジ:150.00-153.00
〇ドル高・円安方向、先週高値を含めた152円レベルの攻防に引き続き注目
〇ドル安・円高方向、先週一度も下回ってこなかった151円レベルが最初のサポートか
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は全般小動き。ザラ場ベースでは151.97円まで上昇し、34年ぶりの高値を示現したものの値幅は限定的だった。
前週末は、モスクワにて死者数100人超えのテロが発生し物議を醸す。一方、南シナ海を舞台に中国とフィリピンによる激突なども観測され、一部ではアジアの地政学リスクが改めて取り沙汰されていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は151.35-40円で寄り付いたのち、週間を通して底堅い値動き。一度も151円を割り込むことはなかった。しかし一方で上値も重く、2022年と23年高値(ともに151.95円レベル)は辛うじて上抜けたものの、152円にはとどかず。つまり、週間の値動きは1円未満にとどまるなか、週末NYは週明けオープンに近い151.35-40円で推移し越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「円安けん制発言」と「モスクワテロ」について。
前者は、それほど特筆される内容ではなかったと思われるが、3月27日に日銀の田村委員から「当面緩和的な金融環境が継続する」との発言が聞かれ、ドル高・円安が進展。前述したようにドル/円は151.97円まで一時上昇した。そのため、以降は関係者からの円安けん制発言が相次ぐ格好で、林官房長官が「為替市場の動向に高い緊張感を持って注視している」と発言したほか、岸田首相は「為替相場の過度な変動は望ましくない」、鈴木財務相からも「為替は水準が問題ではない、防衛ラインはない」とのコメントが発せられ、ドル/円の上値を強く抑制していた。日本の政府サイドがかなり危機感を抱いている様子だが、日経新聞は同29日、通貨当局が約24年ぶりのドル売り・円買い介入を実施した2022年と比較したうえで、「22年は『スタンバイ』発言の直後に介入実施」−−と指摘し、警戒感を煽っていたが果たしてどうなるか。
それに対して後者は、3月22日にモスクワ近郊のコンサートホールで140人以上が死亡した銃撃事件が発生。米国はテロについて2週間ほど前に情報を察知し、ロシア側にも伝達したとされるが、ロシアサイドが「フェイクニュース」などと認識し重要視しなかったことで、被害が大きくなった公算が大きいという。また、過激派組織「イスラム国」(IS)から犯行声明が出されたものの、ロシアはなかなかそれを認めずに、強固な「ウクライナの仕業」などとした報道は依然として少なくない。実際、1週間近くが経過した同28日になってもロシア連邦捜査委員会から「実行犯がウクライナの民族主義者と関連している証拠を入手した」との発表もなされていた。一度振り上げた拳は容易に下せないようだ。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は、底堅いが上値は重いという状況にスッポリとはまり込んだようで、前述したように実際先週の値動きはすべて151円台。週間を通して1円未満の変動にとどまっている。ちなみに、これは今年の週間最小変動幅だ。いずれにしても、今週も基本的に先週同様151円台を中心とした値動きが予想されるものの、リスクとすればドル高方向で152円をしっかりと超えていけるか否かがまずは注視されている。また、その際にはこれまで警告されている当局の円買い実弾介入が実施されるか否かにも注意しておきたい。
日米金融政策が引き続き市場のメインイシューとなるなか、日本については3月19日の「政策金利変更」直後から日銀が一貫して追加利上げに慎重姿勢をうかがわせているようだが、市場は何故か勝手に期待を膨らませそして裏切られるということを繰り返している。今週も同様の展開には一応要注意。一方、米国も早期利下げに否定的な見解を示すことが少なくないものの、日本ほど強固なスタンスではないようだ。よって、発表される米経済指標などによっては思惑が交錯し、乱高下する可能性もある。
テクニカルに見た場合、以前から指摘しているように先週のドル/円は1円以下のレンジ取引で、短期的には方向性を喪失している。なお、長い目で見た場合のリスクについてはドル高方向に高いと考えているものの、やや気掛かりなのは時間的な要因。ここ数年の動きを見ると、ドル高方向への動きは短ければ3ヵ月程度で終了することも少なくないが、今回は昨年末の安値140.26円を起点にすでに3ヵ月が経過した。152円レベルが強固な抵抗で、しっかり抜けていかなければ、一転してドル売りが強まっても不思議はない。
そうしたなか今週は、3月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標が発表される見通しだ。また、米地区連銀総裁など通貨当局者の講演なども連日実施される見込みで、こちらも内容によっては相場の波乱要因になりそうだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、150.00-153.00円。ドル高・円安については、先週高値をふくめた152円レベルの攻防に引き続き注目。しっかり超えるとテクニカル的には青天井だが、それでも勢いのあるドル高進行は予想しにくい。
対してドル安・円高方向は、先週一度も下回ってこなかった151円レベルが最初のサポートか。下回っても円買い介入でもなければ、150円割れは果たしてどうか。いずれにしても底堅そうなイメージだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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