ドル円週間見通し 市場介入を警戒しつつ151円台を維持、円安継続期待が下支え(週報4月第一週)

今週は週末の米3月雇用統計へ向けて景況感が悪化する場合にはドル安へ向かい、利下げはまだまだ先になるとの見方が強まるようだとドル高へ向かいやすくなると思われる。

ドル円週間見通し 市場介入を警戒しつつ151円台を維持、円安継続期待が下支え(週報4月第一週)

市場介入を警戒しつつ151円台を維持、円安継続期待が下支え

〇先週のドル円、151円台での推移に終始、28日以降は151円台前半中心の動き
〇週末発表の米2月個人消費支出(PCE)物価指数はほぼ予想通り
〇PCE統計発表後の講演でパウエルFRB議長は予想通りとの見方
〇市場は利下げ開始が6月会合からとなるのか7月以降のずれ込むのかを見定めたい状況
〇ドル円は3/27高値で151.96を付け上値抵抗線を突破、一段高へ入り始めているところと思われる
〇151円台を維持するうちは151.60超えから3/27高値151.96及び152円試しとする
〇152円を超えて円安が勢い付く場合155円から160円を目指して行く上昇期入りと考える
〇151円割れから続落の場合は150.50、150.26を試す下落を想定、150.50以下は買われやすいか
〇150.26を割り込んで続落する場合円安継続期待がリセット、149円から148円を試す下落期入りの可能性

【概況】

ドル円は3月19日に日銀がマイナス金利やYCCを解除したものの市場予想通りで当面する円買いイベントを通過したとして発表前の149円台序盤から3月20日夜に151.79円へ上昇し、3月21日未明の米FOMCが年内3回利下げ想定を維持したことによるドル安反応で21日午前に150.26円まで反落したが、FOMC後のドル安一巡からドル高のぶり返しとなったために22日午前には151.86円を付けて3月20日夜高値を超えた。
円安けん制発言が続いたこともあり3月22日夜には151.00円まで下げたが、市場介入を警戒しつつも円安継続感が勝り3月27日昼には151.96円へ高値を更新し、昨年12月28日安値140.24円以降の最高値とした。
日銀・金融庁・財務省による三者会合が開催されて神田財務官が市場介入をちらつかせたことで27日夜に151.02円まで下げたものの151円台を維持し、28日からは151円台前半を中心とした小動きを続けている。29日は米国で株式債券商品市場が休場となる中、米2月PCE(個人消費支出)統計の発表やパウエルFRB議長発言等があったもののサプライズ感はなくドル円は小動きを続けた。

【米2月PCEデフレーターは予想通り】

3月29日に米商務省が発表した2月個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は全体の前年同月比が2.5%となり1月の2.4%を若干上回ったものの市場予想と一致した。コア指数の上昇率は前月比0.3%で市場予想と一致して1月の0.5%から鈍化し、前年同月比は2.8%で市場予想と一致して1月の2.9%から鈍化した。
モノの価格は低下しているもののサービス、賃金の上昇が全体を押し上げている印象だった。2月の個人消費は前月比0.8%増で1月の0.2%増及び市場予想の0.5%を上回り景気と消費の堅調さを示した。

PCE統計発表後の講演でパウエルFRB議長は、PCEが5か月振りに全体の伸びが加速したことについては「予想通り」とし、インフレ鈍化の道のりはスムーズではないとしたものの、目標の2%へ鈍化してゆく見通しは変わらないとした。利下げ開始についてはインフレが継続的に鈍化することに一段の確信が持てるまでは引き下げ開始を待つことができるとし、インフレが予測通りに減速しない場合は「より長期にわたり金利を現行の水準で据え置くことも可能」と述べたが、性急すぎる利下げによるインフレ再燃リスクと、利下げが遅すぎて経済に不必要な打撃をもたらすリスクの両面があるとし、「利下げ開始の決断は非常に重要だ」とした。パウエルFRB議長発言は3月21日未明のFOMC後会見時とさほど変わらないものであり、市場は引き続き利下げ開始が6月会合からとなるのか7月以降のずれ込むのかを見定めたい状況にある。

【152円の壁突破に挑戦】

【152円の壁突破に挑戦】

今週は週末の米3月雇用統計へ向けてISMの景況指数やJOLTS求人件数等の発表も相次ぐため、景況感が悪化して労働市場の過熱が減速する場合には利下げ催促的な動きでドル安へ向かい、利下げはまだまだ先になるとの見方が強まるようだとドル高へ向かいやすくなると思われる。ドル円としては日銀が17年振りに利上げしたことを通過し、市場介入への警戒感が強まる中でも151円台を維持して一段高を伺う位置取りにあるため、今週の米経済指標を通過しながらドル高が進行するなら152円の壁を超える可能性もあると注目される。

昨年11月13日高値151.90円では2022年10月21日高値151.94円に届かずに下落したが、12月28日安値140.24円では昨年の1月16日安値127.22円と3月24日安値129.63円を結ぶ上昇トレンドの下値支持線を割り込まなかった。今年2月13日高値150.88円への上昇では昨年11月13日高値に届かなったが、3月27日高値で151.96円を付けてそれらの高値を超えたため、現状は昨年1月16日底を起点とした上昇トレンドを維持した上で、昨年11月13日と今年2月13日の両高値を結ぶ上値抵抗線を突破したことで一段高へ入り始めているところと思われる。

152円台へ届かないうちは2022年10月21日高値とのダブル天井に終わる可能性があるため、150円割れから続落してゆく場合はその可能性を警戒すべきだろうが、151円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは一段高期待による買いが強固であることを示し、152円突破へ進む場合はよほど強烈な市場介入がなければ円安を停められなくなることも考えられる。
2022年10月21日からの下落期入りも、当初は大規模市場介入で上値が押さえつけられていたものの大崩れには至らず、決め手になったのは米CPIが大幅に鈍化したことによる逆CPIショックであった。米国のインフレ率がサプライズ的な鈍化となりドル安が勢い付かないことには円の先安感が優勢のままとなり、中途半端な市場介入では一時的に2円から4円規模の下落が発生しても早々に切り返される=ドル円のバーゲンハントに終わることも考えられる。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)当初、151.00円を下値支持線、151.60円を上値抵抗線とする。
(2)151円台を維持するかわずかに割り込んでも回復するうちは151.60円超えから3月27日高値151.96円及び152円試しとするが、週末の米雇用統計前段階では152円突破へ進まずに持ち合い範囲に留まるとみる。ただし、152円を超えて円安が勢い付く場合、中期的な流れとしては155円から160円を目指して行く上昇期入りと考える。
(3)151円割れから続落の場合は150.50円、次いで3月21日安値150.26円を試す下落を想定するが、150.50円以下は買い拾われやすい水準とみる。ただし、150.26円を割り込んで続落する場合は円安継続期待がいったんリセットされて149円から148円にかけての水準を試す下落期に入る可能性があると考える。

【当面の予定】

4/1(月)
休場 NZ、豪、ノルウェー、香港、独、スイス、仏、英、南ア
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業製造業業況判断 (10-12月 12、予想 10)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業製造業先行き (10-12月 8、予想 10)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (10-12月 30、予想 33)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業非製造業先行き (10-12月 24、予想 31)
08:50 (日) 1-3月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (10-12月 13.5%、予想 9.5%)
10:45 (中) 3月 財新製造業PMI (2月 50.9)
22:45 (米) 3月 製造業PMI・改定値 (速報 52.5)
23:00 (米) 3月 ISM製造業景況指数 (2月 47.8、予想 48.4)
23:00 (米) 2月 建設支出 前月比 (1月 -0.2%、予想 0.6%)

4/2(火)
07:10 (豪) ケント豪中銀総裁補、講演
08:50 (日) 3月 マネタリーベース 前年同月比 (2月 2.4%)
09:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
16:55 (独) 3月 製造業PMI・改定値 (速報 41.6)
17:00 (欧) 3月 製造業PMI・改定値 (速報 45.7)
17:30 (英) 3月 製造業PMI・改定値 (速報 49.9)
21:00 (独) 3月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (2月 0.4%)
21:00 (独) 3月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (2月 2.5%)
23:00 (米) 2月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (1月 886.3万件)
23:00 (米) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -3.6%、予想 0.9%)
25:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会
25:05 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
26:30 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会

4/3(水)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 52.5)
18:00 (欧) 3月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (2月 2.6%、予想 2.6%)
18:00 (欧) 3月 コアHICP・速報値 前年同月比 (2月 3.1%、予想 3.0%)
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 6.4%)
21:15 (米) 3月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (2月 14.0万人、予想 15.5万人)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 51.7)
23:00 (米) 3月 ISM非製造業景況指数 (2月 52.6、予想 52.8)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、イベント挨拶
25:10 (米) パウエルFRB議長、講演

4/4(木)
休場 中国、香港
06:45 (NZ) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 -8.8%)
09:30 (豪) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 -1.0%)
14:00 (日) 日銀支店長会議、地域経済報告(さくらリポート)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 49.8)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 51.1)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 53.4)
18:00 (欧) 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 -0.9%)
18:00 (欧) 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 -8.6%)
20:30 (欧) 欧州中銀理事会議事要旨
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -674億ドル、予想 -660億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.9万人)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、討論会
25:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
25:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
27:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

4/5(金)
休場 中国
08:20 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、イベント挨拶
08:30 (日) 2月 全世帯消費支出 前年同月比 (1月 -6.3%、予想 -3.0%)
09:30 (豪) 2月 貿易収支 (1月 110.27億豪ドル)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・速報値 (1月 109.5)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・速報値 (1月 112.1)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -11.3%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 -6.0%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.1%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -1.0%)
21:30 (米) 3月 非農業部門就業者数 前月比 (2月 27.5万人、予想 21.6万人)
21:30 (米) 3月 失業率 (2月 3.9%、予想 3.8%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前月比 (2月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前年同月比 (2月 4.3%)
22:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
28:00 (米) 2月 消費者信用残 前月比 (1月 195.0億ドル)

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る