ドル円見通し 日銀・金融庁・財務省の三者会談きっかけに反落するも151円台維持(24/3/28)

ドル円は2023年11月13日高値151.90円及び2022年10月21日高値151.94円を超えて33年8か月振りの高値とした。

ドル円見通し 日銀・金融庁・財務省の三者会談きっかけに反落するも151円台維持(24/3/28)

日銀・金融庁・財務省の三者会談きっかけに反落するも151円台維持

〇昨日ドル円、日銀田村審議委員発言で円安感助長され、昼前に約34年ぶり高値151.96つける
〇152円へ迫ったことで三者会合実施、その後の神田財務官けん制発言で151.02まで反落
〇しかし市場の円安継続感も根強く、151円台序盤を買われてしっかり
〇昨年5月以来の三者会合、あくまでも心理的な揺さぶりに過ぎないか
〇日銀総裁、為替政策は財務省の所管と理解していると発言
〇米長期債利回りは総じて低下、ダウは反発、S&Pは最高値更新
〇151.02割れからは150円台中盤への下落を想定
〇151.60超えからは3/27午前高値151.96試しとする

【概況】

ドル円は3月22日午前高値151.86円から22日夜安値151.00円へ下げた後をジリ高で推移していたが、27日昼前には日銀の田村審議委員が当面は金融緩和状態が続く等のと述べたことで円安感が助長されたため151.96円を付けて2023年11月13日高値151.90円及び2022年10月21日高値151.94円を超えて33年8か月振りの高値とした。152円手前での市場介入警戒感から上げ渋っていたところ、財務省と金融庁、日銀が三者会合を行い、会合後に神田財務官が「あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取っていく」と円安をけん制したことで27日夜安値151.02円まで反落した。しかし市場の円安継続感も根強いため151円台序盤を買われてしっかりしている。
ウォラーFRB理事が28日7時からの講演で「利下げを急ぐ必要はない」「数か月は物価指標を確認する必要がある」等と市場の利下げ期待をけん制したことはドル円の下支え要因だが、米長期債利回りが前日までの戻り一巡で低下したことが圧迫要因となっている。

【昨年5月以来の三者会合】

ドル円が152円へ迫ったことで財務省と金融庁、日銀は27日夕刻に三者会合=国際金融資本市場に関する緊急の情報交換会合を開き、会合後に神田財務官は最近の円安は「ファンダメンタルズに沿ったものとは到底言えず、投機的な動きがあることは明らか」、行き過ぎた変動には「あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取っていく」と述べて市場介入をちらつかせて円安を強くけん制した。三者会合には神田財務官、金融庁の栗田長官、日銀の清水理事らが出席した。三者会合前には鈴木財務相が現状の円安を投機的として「あらゆるオプションを排除せずに断固たる措置を取っていきたい」とけん制した。
三者会合は昨年5月30日以来であり、当局の市場介入準備を市場に意識させるものだが、昨年は11月13日に151.90円を付けて2022年10月21日高値151.94円に迫っており、三者会談はあくまでも心理的な揺さぶりに過ぎない。金融機関へのレートチェック等により実弾介入が近い印象を与えるか不意に実弾介入を行うか、米インフレ指標からドル全面安とならなければ、3月19日の日銀会合によるマイナス金利・YCC解除決定後に加速した円安の継続感は払しょくしきれないと思われる。

【日銀総裁、為替の管轄は財務省】

3月27日に日銀の田村審議委員は講演と会見で、金融政策の正常化をゆっくりと着実に進めてゆく、異例の大規模緩和を上手に手仕舞いしていくことが重要だと述べたが、今後の追加利上げは経済・物価情勢に応じて緩やかに進めていく、「当面は緩和的な金融緩和が継続すると考えている」と述べた。
日銀の植田総裁は27日の衆院財務金融委員会において、「金融政策は為替相場を直接コントロールの対象としていない」、「動きや水準について具体的にコメントすることは差し控える」とし、円安の影響については十分注視するとしたものの「為替政策は財務省の所管と理解している」と述べた。マイナス金利解除後については「0-0.1%という短期金利の水準は十分緩和的」、長期金利が急激に上昇する場合は機動的に買い入れオペの増額などを実施するとし、「住宅ローン金利を含む貸出金利が大幅に上昇するとはみていない」と述べた。

【米長期債利回りは総じて低下、ダウは反発、S&Pは最高値更新】

3月27日の米長期債利回りは総じて低下した。3月29日には2月の米PCE(個人消費支出)デフレーターの発表があるもののグッドフライデーで債券市場が休場となるためポジション調整が優先されるところだが、米金利先物市場における6月利下げ開始期待度がFOMC前の5割台から7割強まで再上昇していることで債券買い・利回り低下となったようだ。

長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%低下の4.19%となった。3月18日に付けた直近のピークである4.35%からFOMCを通過して3月22日には4.20%まで下げ、25日から26日にかけていったん戻したものの戻り一巡で失速している印象だ。
30年債利回りは前日比0.05%低下の4.35%、2年債利回りは前日比0.03%低下の4.57%だった。
一方でNYダウは3月22日から26日まで3営業日続落していたが27日は前日比477.75ドル高と反騰して3月21日の史上最高値に迫り、ナスダック総合指数も83.82ポイント高と3日ぶりに反発した。S&P500指数は前日比44.91ポイント高と4日ぶりに反発したが、3月21日の取引時間中最高値に迫り、終値としては3月21日終値を超えて史上最高値更新とした。株式市場の楽観的な先高期待は健在であり、株高によるリスク選好感がドル円を押し上げやすい環境としている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は3月22日午前高値の後を三角持ち合いで推移していたが、3月27日午前に22日高値を超えてから反落して三角持ち合い終点の26日夕安値を割り込んだため、3月27日午前高値を起点とした下落期に入っているとみて29日夕から4月2日夕にかけての間への下落を想定する。ただし、27日午前高値を超える場合は直前安値を起点とした新たな上昇期入りと改めて4月1日午前から3日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月27日夜の下落で先行スパンから転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、151円割れからは下げ足が速まる可能性がると注意する。ただし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は3月27日午前の上昇時に70ポイントを超えたものの27日夜への反落で30ポイント台へ低下し、その後は40ポイント台での推移にとどまっている。50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、35ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定し、55ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月27日夜安値151.02円を下値支持線、151.60円をを上値抵抗線とする。
(2)151.60円以下での推移中は一段安警戒とし、151.02円割れからは150.0円台中盤(150.65円から150.35円)への下落を想定する。150.50円以下は反発注意とするが、151円を割り込んでの推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)151.60円超えからは3月27日午前高値151.96円試しとする。152円手前では再び売られやすいとみるが、152円到達では市場介入による反落に注意するが、市場介入がなく円安が勢い付く場合は152円台中盤(152.35円から152.65円)へ上値目途を引き上げる。

【当面の予定】

3/28(木)
休場、ノルウェー、メキシコ、米国債券市場は短縮取引
16:00 (英) 10-12月期 GDP・改定値 前期比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 10-12月期 経常収支 (7‐9月 -172億ポンド、予想 -214億ドル)
16:00 (独) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -1.6%、予想 -0.8%)
17:55 (独) 3月 失業者数 前月比 (2月 1.10万人、予想 1.00万人)
17:55 (独) 3月 失業率 (2月 5.9%、予想 5.9%)

21:30 (米) 10-12月期 GDP・確定値 前期比年率 (改定値 3.2%、予想 3.2%)
21:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費・確定値 前期比年率 (改定値 3.0%、予想 3.0%)
21:30 (米) 10-12月期 コアPCE・確定値 前期比年率 (改定値 2.1%、予想 2.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 180.7万人、予想 181.6万人)
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 44.0、予想 46.0)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 76.5、予想 76.5)
23:00 (米) 2月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (1月 -4.9%、予想 1.5%)
23:00 (米) 2月 NAR住宅販売保留指数 前年同月比 (1月 -6.8%)

3/29(金)
休場、米国、ドイツ、スイス、フランス、英国、カナダ、メキシコ、南ア、ニュージーランド、
オーストラリア、香港、シンガポール
08:30 (日) 3月 東京CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (2月 2.5%、予想 2.4%)
08:30 (日) 2月 失業率 (1月 2.4%、予想 2.4%)
08:50 (日) 2月 小売業販売額 前年同月比 (1月 2.3%、予想 2.9%)
08:50 (日) 2月 鉱工業生産・速報値 前月比 (1月 -6.7%、予想 1.3%)
08:50 (日) 2月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (1月 -1.5%、予想 -2.7%)
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 -7.5%、予想 -5.5%)

21:30 (米) 2月 個人所得 前月比 (1月 1.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 PCE(個人消費支出)前月比 (1月 0.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 2月 PCEデフレーター 前年同月比 (1月 2.4%、予想 2.5%)
21:30 (米) 2月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く)前月比(1月0.4%、予想0.3%)
21:30 (米) 2月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く)前年同月比(1月2.8%、予想2.8%)
21:30 (米) 2月 卸売在庫 前月比(1月 -0.1%、予想 0.2%)
24:30 (米) パウエルFRB議長、討論会参加

注:ポイント要約は編集部

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