ドル円見通し 米CPI発表後のドル高続かず、148円台序盤に抵抗感(24/3/14)

ドル円、3月13日は米10年債利回りが続伸したことで午前安値147.22円まで下げたところから148.04円まで戻したが、148円台到達で売られ上値が重くなった。

ドル円見通し 米CPI発表後のドル高続かず、148円台序盤に抵抗感(24/3/14)

米CPI発表後のドル高続かず、148円台序盤に抵抗感

〇昨日ドル円、米10年債利回り続伸を受け148.04まで戻した後、148円台到達で売られ上値重い
〇米6月利下げ期待度は6割台維持、金融緩和期に入るとの見方変わらず、ドル高反応は限定的
〇日銀マイナス金利解除の動きをある程度織り込むも、3/18-19の会合までは円高バイアスかかりやすい
〇日銀、春闘結果見極めてマイナス金利解除を検討、4月会合へずれ込む可能性も
〇米10年債利回りは連騰、米国株は高値圏で足踏み
〇今夜は米2月PPI、失業保険申請件数等に注目
〇147.40以上を維持するうちは一段高余地ありとし、148.16超えからは148台中盤への上昇を想定
〇147.40割れからは下向きとし、147.22割れからは146.46を試す下落を想定

【概況】

ドル円は3月12日夜の米CPI発表後の米長期債利回り上昇とドル高局面で148.16円を付けたもののその後は伸びず、3月13日は米10年債利回りが続伸したことで午前安値147.22円まで下げたところから148.04円まで戻したが、148円台到達で売られ上値が重くなった。米長期債利回りの連騰と合わせて欧州の長期債利回りも上昇したことでユーロやポンドは3月12日夜の下落幅を解消する反騰となりドル高感を払しょくしている。
2月後半からは日銀によるマイナス金利解除へ向けた関係者の地ならし的発言や報道と3月8日夜の米2月雇用時計発表後のドル安により147円を割り込み、週明けの3月11日夕刻には146.46円まで安値を切り下げたが、その後は大幅下落一服感からやや持ち直している印象だ。日銀のマイナス金利解除へ向けた動きをある程度織り込んでいるものの、3月18-19日の日銀金融政策決定会合へ向けては円高バイアスがかかりやすい。

米CPI高止まりにより米国の6月利下げ期待度は若干低下したものの6割台を維持しており、時間の問題で利下げ・金融緩和期に入るとの見方は変わらないためドル高反応も限定的であり、暫くは方向感を探る局面と思われる。今夜は米2月PPI、失業保険申請件数等が注目される。

【日銀、春闘結果見極めてマイナス金利解除を検討】

日銀の植田総裁は3月13日の参院予算委員会で「2%の物価目標の実現が見通せれれば、マイナス金利とYCCの枠組み修正を検討する」等と答弁した。従来通りの内容だが、3月11日の答弁も含めてマイナス金利解除等の決断へ向けてやや前傾姿勢がトーンダウンしているのではないかと市場は受け止めて午後からのドル円上昇要因となった。
春闘の大手企業集中回答日だった3月13日に自動車、電機、鉄鋼等の金属労協による集計はベア平均1万4780円と前年の8131円を大幅に上回った。連合は3月15日に第1回回答集計を発表予定だが、定期昇給を含めた平均賃上げ率が5%を超える可能性も指摘されており、積極的な賃上げ姿勢が確認できれば3月18-19日の会合でマイナス金利解除が議論されることになると思われる。ただし、中小企業の賃上げ動向を見定める必要もあるため3月会合では決定されずに4月会合へずれ込むのではないかとの見方もあるようだ。

【米10年債利回りは連騰、米国株は高値圏で足踏み】

3月13日の米長期債利回りは12日夜の米CPI高止まりによる上昇から総じて連騰した。
長期金利指標の10年債利回りは3月12日に前日比0.05%上昇したが、13日も0.04%上昇の4.19%として3連騰し、2月22日の4.35%からの大幅低下で付けた3月8日の4.04%以降の高値とした。
30年債利回りは前日比0.03%上昇の4.34%となり3月12日の0.05%上昇から連騰した。
2年債利回りは前日比005%上昇の4.64%となり12日の0.05%上昇から連騰した。

MBA(米抵当銀行協会)が3月13日に発表した週間の住宅ローン申請指数が前週比7.1%増となったことで、住宅市場では利下げ開始がまだ先との印象を与えたことも長期債利回り上昇要因となったようだ。金利先物市場における6月利下げ開始への期待度は米CPI発表に6割台へ低下したが、まだ高い水準を維持しており、FRBが最重視している米PCE(個人消費支出)デフレーターが顕著に鈍化するようなら6月利下げ開始、遅くても7月利下げ開始と思われ、年内3回以上の利下げ想定も変わらず、あるいは年4回利下げの可能性もあるのではないかとの見方も継続している。
一方、NYダウは前日比37.83ドル高と上昇、3月11日から3連騰しており、米長期債利回り上昇に圧迫されつつもいずれ利下げされるとの楽観が優勢のようで2月23日の史上最高値39282.28ドルに対して13日には一時39201.94ドルを付けて迫っている。ナスダック総合指数は前日比87.87ドル安と下落したが、3月8日の史上最高値16449.70ドル以降も16000ポイント台を維持している。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は先週の大幅下落から3月11日夕安値146.46円で一巡して持ち直しているが、148円台到達で繰り返し売られており、60分足レベルでは3月12日夜高値148.16円と13日午前安値147.22円の高安レンジ内で三角持ち合いの様相となっている。3月13日午前安値147.22円割れを回避するうちは14日の日中から15日にかけての上昇余地ありとみるが、147.22円割れからは下落期入りとみて14日午後から18日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月12日夜高値から上げ渋りの持ち合いに入っているため遅行スパンは実線と交錯して方向感に欠けるが、先行スパンを上回る状況は維持している。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月12日夜に70ポイントを超え、13日夕刻に12日夜高値へ迫ったところでは70ポイントに届かず弱気逆行気配を見せている。50ポイントを割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとして60ポイント超えからは70ポイントを目指すとみるが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.22円を下値支持線、3月12日夜高値148.16円を上値抵抗線とする。
(2)147.40円以上を維持するうちは一段高余地ありとし、3月12日夜高値148.16円超えからは148円台中盤(148.35円から148.65円)への上昇を想定する。148.50円以上は反落注意とするが、147.50円以上を維持しての推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.40円割れからは下向きとし、147.22円割れからは3月11日夕安値146.46円を試す下落を想定する。146.50円前後は買われやすいとみるが、147.22円を下回っての推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。146.46円を割り込むところからは145円台前半を目指してゆく下落期入りと考える。

【当面の予定】

3/14(木)
21:30 (米) 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 0.9%、予想 1.1%)
21:30 (米) 2月 コアPPI・食品・エネルギー除く 前月比 (1月 0.5%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 コアPPI・食品・エネルギー除く 前年同月比 (1月 2.0%、予想 1.9%)
21:30 (米) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.8%、予想 0.8%)
21:30 (米) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 -0.6%、予想 0.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.7万件、予想 21.8万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 190.6万人、予想 190.0万人)
23:00 (米) 1月 企業在庫 前月比 (12月 0.4%、予想 0.2%)

3/15(金)
13:30 (日) 1月 第三次産業活動指数 前月比 (12月 0.7%、予想 0.1%)
21:30 (米) 3月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (2月 -2.4、予想 -7.0)
21:30 (米) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 0.8%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 輸出物価指数 前月比 (1月 0.8%、予想 0.1%)
22:15 (米) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.0%)
22:15 (米) 2月 設備稼働率 (1月 78.5%、予想 78.4%)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (2月 76.9、予想 77.0)


注:ポイント要約は編集部

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