レンジ下放れ、リスクはドル安・円高方向に
〇先週のドル円、レンジを下放れしドルが大幅安。週末には146.48つける
〇「日銀3月利上げに傾く」との各社報道が週間で4円超えるドル安進行の主因
〇2月米雇用統計、前月修正分が大きく悪化したことが嫌気されドル売り要因に
〇今週、2月消費者物価指数や小売売上高など、注目度の高い米経済指標が発表予定
〇2/1安値145.90からのフィボナッチ76.4%戻しもすでに割り込み、残るは100%戻し
〇ドル安円高方向、先週安値146.48の攻防にまずは注目。割り込むと145.90、145円前後がターゲット
〇ドル高円安方向、ドル安進行で揉み合った148円前後が逆に抵抗か。超えると149円台に戻す可能性も
〇今週のドル円予想レンジ:145.00-149.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが大幅安。これまで推移してきたレンジを下放れし、一時は2月2日以来の146円台も。
前週末2日、日本の新年度予算案が異例の土曜日審議を経て衆院通過となった。一方、格付け会社フィッチ・レーティングスは、米国の外貨建て長期債格付けを「AAプラス」に据え置いたことを明らかにしている。
そうした状況下、ドル/円は150.05-10円で寄り付いたのち、当初は強保ち合い。寄り付きを中心としたレンジ取引をたどるなか、週間高値の150.57円を示現した。しかし、以降は週末にかけて右肩上がりとなり、下方向のテクニカルサポートを次々割り込むなど一段安の展開に。週末には2月2日以来となる146円台、146.48円を付け、NYクローズもそのまま安値圏の147.05-10円で越週している。
なお、前週にはとどかなかった日経平均株価の4万円だが、週明け取引開始直後すぐに達成。ただ、週間を通して大台を維持することは出来ず、週末クローズは39688円だった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日銀金融政策」と「米金融政策」について。
前者は、先週一週間を通して市場の波乱要因となっていたのが、日本の金融政策修正期待。週明け4日に共同通信が「政府、物価の上昇傾向を受け『デフレ脱却』を表明する検討に入った」とした観測気球を上げるも、こちらは鈴木財務相がすぐに否定。しかし、時事通信が「18-19日に開催される日銀金融政策決定会合で、一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通し」と報じたことに続き、ブルームバーグも「一部の政府関係者、日銀による3-4月のマイナス金利解除を容認姿勢」などと報道。さらに、週末にはロイターがさらに突っ込んだ格好で「日銀は3月利上げに傾いている」と報じたことで、ドル/円は前述したような150円台から一時146円台まで週間を通し4円を超えるドル安・円高が進行する主因となっていたことは間違いない。なお、次回の日銀金融政策決定会合が、果たして前述した各種報道を裏付ける内容となるのか否か注目だ。
それに対して後者は、注目されていた半期に一度の議会証言でパウエルFRB議長は「年内いずれかの時点で利下げが適切になる可能性は高い」、「利下げに自信を持てる地点からさほど離れていない」−−などと発言。それほど極端な弱気に傾斜したコメントではなかったが、市場では敢えて言えばドル売り要因といった指摘も。そうしたなか、週末に発表された2月の米雇用統計では当月の非農業部門雇用者数は予想ほど悪くなかったが、同時に発表された前月修正分が大きく悪化し、こちらが嫌気されていたようだ。なお、それもあってか週末にはバイデン米大統領から、異例ともいえる「FRBが利下げするのは間違いない」との発言が聞かれ、物議を醸していたようだ。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は、過去2週間以上推移していたレンジをついに下放れ。また週間を通した値動きも4円を超え、こちらは年明けに次ぐ、今年2番目の大きな変動だったことを示している。テクニカルにも、移動平均の21日線をはじめとする重要サポートを割り込んでおり、短期的なリスクはドル安方向にバイアスがかかりそう。まずは先週安値である146.48円。そして200日線や一目均衡表の先行帯の雲の上限などが位置する146円前半の攻防に注目だ。
引き続き日米金融政策への関心が高い状況下、日本については前述したメディアの報道ラッシュもあり、いつしか「早期金融修正不可避」ムード一色になっている。短期的には円高の支援要因になると言わざるを得ない。一方、米国は逆に予想よりもタカ派で、先で取り上げなかった発言として、たとえばミネアポリス連銀総裁による「米利下げが今年は多くて2回。1回の可能性もある」−−も聞かれていた。いずれにしても、発表される米経済指標や要人発言次第に今週も一喜一憂する展開が予想され、荒っぽい変動にも一応要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円は形成してきたレンジを下放れしたこともあり、基本的なリスクはドル安方向。起点をどこからとるかによるが、仮に2月1日安値の145.90円とするならば、上げ幅のフィボナッチでは61.8%戻しに続き76.4%戻し(147.05-10円)もすでに割り込んできた状況で、残るは100%戻しのみ。したがって、まずは先週安値146.48円などの攻防に注目だが、下回ると全戻し146円割れも否定できないようだ。
そうしたなか今週は、2月の消費者物価指数や同小売売上高といった注目度の高い米経済指標が発表される予定だ、まずはそれらに要注意。また、日米を中心とした株価や暗号資産ビットコインなど、ほかの金融市場と絡めた動きを警戒する声も聞かれていた。
そんな今週のドル/円予想レンジは、145.00-149.00円。ドル高・円安については、先週のドル安進行局面で一時揉み合った148円前後が今度は逆に抵抗か。しっかり超えると149円台と、かなり大きく戻す可能性も。
対してドル安・円高方向は、先週安値146.48円の攻防にまずは注目。ただ割り込むと145.90円、そして145円前後がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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