トルコリラ円見通し ドル高リラ安とドル円の大幅下落続き連日の史上最安値更新(24/3/11)

トルコリラ円の3月8日は概ね4.65円から4.58円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.61円で前日終値の4.65円から0.04円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安とドル円の大幅下落続き連日の史上最安値更新(24/3/11)

ドル高リラ安とドル円の大幅下落続き連日の史上最安値更新

〇トルコ円、対ドルでのリラ安と円高の両面から売られ連日史上最安値更新、3/11午前序盤4.58つける
〇日米長期金利差を意識した円高圧力、昨年3月や7月の円高時に匹敵する勢い
〇トルコ円、史上最安値更新により4〜6か月周期下落期入り
〇対ドル、3/8は概ね31.97から31.50の取引レンジ、1ドル32リラが目前に
〇トルコ中銀、金融機関の貸出規制による引き締めに着手するも早急なインフレ抑制効果は期待薄い
〇4.63を下回るうちは一段安警戒、4.57割れからは4.55前後への下落を想定
〇4.63から4.65手前にかけては売り有利、その後4.60を割り込むところから下げ再開及び一段安を想定

【概況】

トルコリラ円の3月8日は概ね4.65円から4.58円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.61円で前日終値の4.65円から0.04円の円高リラ安だった。
日足は2月23日からは11営業日連続で陰線、終値ベースでは2月29日から7営業日連続で下落、週間では3月1日終値4.78円から0.17円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラで連日の史上最安値更新となる中、ドル円が日銀のマイナス金利やYCC解除へ向けた地ならし報道が続く中で大幅下落しているため、トルコリラ円は対ドルでのリラ安と円高の両面から売られて4.70円を割り込み史上最安値を連日更新している。
3月11日午前序盤も4.58円を付けて最安値更新を試している。

【円高圧力続く、昨年3月や7月の円高時に匹敵する勢い】

ドル円は3月8日に一部メディアが「日銀は3月会合でマイナス金利解除とYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)を撤廃してYCC後の新たな枠組みを検討する見込み」と報道したことをきっかけに147円を割り込み、8日夜の米2月雇用統計発表後に米長期債利回りが低下してドル安が進行した場面で146.48円を付けて2月13日高値150.88円以降の安値を更新した。

2月に入ってから日銀は植田総裁、内田副総裁、高田審議委員、中川審議委員によるマイナス金利解除への言及が相次いでおり、3月18/19日の会合か4月25/26日の会合でマイナス金利解除が決定される可能性が高まっている。米国の6月利下げ開始期待度も高まっているため、日米金融政策姿勢及び日米長期金利差を意識して売られているが、すでに2月13日高値から4円を超える規模の下落となり、昨年11月13日高値151.90円と今年2月13日高値150.88円をダブルトップとして下落期に入っている印象だ。昨年3月や7月の下落時には直前高値から8円前後規模の下落に見舞われているため、現状もそれらと同規模ないしはそれ以上の規模となる下落期に入っている可能性も懸念される。
トルコリラ円にとっては3月18/19日の日銀金融政策決定会合に向けての円高による圧力がしばらくかかり続けやすい状況だ。

【ドル/トルコリラは6日連続で取引時間中の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの3月8日は概ね31.97リラから31.50リラの取引レンジ、9日早朝の終値は31.84リラで終値ベースの史上最安値だった3月7日終値と変わらなかったが、6日連続で取引時間中の史上最安値を更新した。
週間では3月1日終値31.31リラから0.53リラのドル高リラ安となり、昨年12月15日の週から13週連続のドル高リラ安で週末値ベースの史上最安値を更新、1月26日の週から7週連続で取引時間中の史上最安値を更新した。月間では2022年9月から19か月連続で史上最安値を更新し、2023年9月から7ヵ月連続のドル高リラ安であり、対ドルでのリラは歴史的な暴落商状にある。
3月11日午前序盤には31.99リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新しており1ドル32リラが目前に迫っている。

【トルコリラ円、史上最安値更新により4〜6か月周期下落期入り】

トルコリラ円は2021年12月への暴落と一時的反騰以降、概ね4か月から6か月周期で主要な高値と安値を付けており、主要な高値は2021年12月23日高値から4か月後の2022年4月28日高値、6か月後の同年10月21日高値、5か月後の2023年3月8日高値、6か月弱の2023年8月24日高値で付けてきたが、そこから6か月目となる2月13日高値で直近のピークを付けて下落期に入っている。
主要な安値は2022年3月11日安値から5か月後の同年8月2日安値、5か月後の2023年1月16日安値、6か月後の2023年7月18日安値5.08円、2024年1月3日安値4.74円(ベンダーによっては2023年12月29日安値4.70円等)と続いてきたが、底割れしたことにより次の安値形成期となる2024年6月初旬前後(5月初旬から7月初旬にかけての間)へ安値更新を続けやすい状況に入っていると思われる。

トルコ中銀は今年前半にインフレ率が70%台でピークアウトして年末にかけて低下するとしているが、すでに利上げサイクルの終了を宣言して金融機関による貸し出し規制による引き締めに着手しているものの、早急なインフレ抑制効果は期待が薄い。6月にかけてはドル/トルコリラ及びトルコリラ円の史上最安値更新が繰り返されやすい状況が続くのではないかと懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月4日午前に一段安してからいったん戻して再び軟調な推移に入ったため、3月5日午前時点では3月4日午前安値をサイクルボトムとして4.75円割れから新たな弱気サイクル入りとし、3月6日午前への下落で4.75円を割り込んだために3月4日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定した。

3月8日へ続落してからも下げ渋り程度のため4.65円を超えないうちは一段安余地ありとみる。3月11日に顕著な反騰がみられない場合は7日夜を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れから新たな弱気サイクル入りしている可能性を検討するが、その場合は12日夜から14日夜にかけての間へボトム形成期が延びるとみる。
4.65円を超えるところからはいったん戻しに入るとみるが、サイクルトップ形成期は11日の日中から12日までとして戻りは短命に終わる可能性に注意し、その後に4.60円を割り込むところから新たな弱気サイクル入りとする。

60分足の一目均衡表では一時的な高値時を除いて先行スパンを下回る状況が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先としてきたが、両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、連続的な上昇で先行スパンを上抜くところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月7日夜から8日夜への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられるので40ポイント超えからは50ポイント台への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性もあるので次に30ポイントを割り込んで続落し始める場合は一段安へ進むとみて10ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.57円を下値支持線、4.63円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.63円を下回るうちは一段安警戒とし、4.57円割れからは4.55円前後への下落を想定する。4.55円以下は反発注意とするが、下げ足が速まる場合は4.53円試しへ下値目途を引き下げる。4.63円を下回っての推移か直前安値から0.04円を超える反騰がみられないうちは12日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.63円から4.65円手前にかけては売り有利とし、その後に4.60円を割り込むところから下げ再開及び一段安を想定する。

【当面の主な予定】

3月11日
 16:00 1月 失業率 (12月 8.8%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 1.7%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 11.4%)
3月12日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -20.91億ドル)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 2.4%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)
3月14日
 20:30 週次 外貨準備高 3月8日時点 グロス (3月1日時点 805.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月8日時点 ネット (3月1日時点 205.0億ドル)
3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 -1507.2億リラ)
3月20日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 79.3)
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 6兆9650億リラ)
3月21日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 45.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月15日時点 


注:ポイント要約は編集部

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