来週の為替相場見通し:『ドル円は上下するも方向感見出せず。来週は議会証言と雇用統計に注目』(3/2朝)

ドル円は心理的節目150.00を挟んで乱高下しましたが、週を通して方向感を見出すには至りませんでした。

来週の為替相場見通し:『ドル円は上下するも方向感見出せず。来週は議会証言と雇用統計に注目』(3/2朝)

『ドル円は上下するも方向感見出せず。来週は議会証言と雇用統計に注目』

〇今週のドル円、週初本邦1月CPIの上ブレに150.08まで下落
〇その後150.85まで戻すも日銀高田審議委員のタカ派発言や1月米PCEコアの鈍化に149.21まで下落
〇週末にかけで買い戻されるも、米2月ISM製造業指数の不冴え等に150.10付近で越週
〇ユーロドル、1.08台前半中心の方向感に欠ける動き
〇ドル円、150円を挟んで乱高下、方向感は見出せないものの、テクニカルの地合いは強い
〇ファンダメンタルズは日米金利差縮小からドル売り円買い材料増える
〇来週は、本邦2月東京都区部CPI、パウエルFRB議長の議会証言、米2月雇用統計に注目
〇来週の予想レンジ(USDJPY):148.50ー151.50、(EURUSD):1.0700−1.0950

今週のレビュー(2/26−3/1)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初150.54で寄り付いた後、(1)本邦1月消費者物価指数(結果+2.2%、予想+1.9%)の市場予想を上回る結果や、(2)本邦1月消費者物価指数・除生鮮食品(結果+2.0%、予想+1.9%)の市場予想を上回る結果、(3)本邦1月消費者物価指数・除生鮮食品およびエネルギー(結果+3.5%、予想+3.3%)の市場予想を上回る結果、(4)上記1、2、3を背景とした日銀によるマイナス金利の早期解除観測、(5)米1月耐久財受注速報値(結果▲6.1%、予想▲5.0%)の市場予想を下回る結果が重石となり、翌2/27にかけて、一時150.08まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)米12月S&Pケースシラー住宅価格指数(結果+6.13%、予想+6.00%)の市場予想を上回る結果や、(7)米2月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲5、予想▲9)の市場予想を上回る結果、(8)日経平均株価の堅調推移(史上最高値を連日で更新→リスク選好の円売り圧力)、(9)清水日銀理事による「2%の物価安定目標の達成見通しについて現時点ではまだ十分な確度は持っていない」との慎重な発言、(10)米10ー12月期コアPCE改定値(結果+2.1%、予想+2.0%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値150.85まで上昇しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(11)2/13に記録した年初来高値150.88を背にした戻り売り圧力や、(12)高田日銀審議委員による「2%物価目標の実現がようやく見通せる状況になってきた」とのタカ派的な発言、(13)上記12を背景とした日銀によるマイナス金利の早期解除観測、(14)円金利上昇に伴う円買い圧力、(15)米新規失業保険申請件数(結果21.5万件、予想21.0万件)の冴えない結果、(16)米1月PCEデフレータ(結果+2.4%、予想+2.4%、前回+2.6%)および、米1月PCEコアデフレータ(結果+2.8%、予想+2.8%、前回+2.9%)の前月比鈍化、(17)米2月シカゴ購買部協会景気指数(結果44.0、予想48.0)の市場予想を下回る結果、

(18)米1月中古住宅販売成約指数(結果▲6.8%、予想▲4.4%)の市場予想を下回る結果、(19)米2月カンザスシティ連銀製造業活動指数(結果▲4、予想▲2)の市場予想を下回る結果が重石となり、週後半にかけて、週間安値149.21まで急落しました。その後は、(20)月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフローを支えに、一時150.72まで持ち直す場面も見られましたが、(21)米2月ISM製造業景況指数(結果47.8、予想49.5)の不冴な結果がドル売りを誘うと、(22)米長期金利の急低下も相俟って反落し、本稿執筆時点(日本時間3/2午前5時00分現在)では、150.10前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0826で寄り付いた後、(1)ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁による「利下げに関しては6月まで待ち、それ以降は各会合で25bp程度の小幅な利下げが望ましい」との早期利下げに慎重な発言や、(2)ラガルドECB総裁による「ECBはインフレに関してまだ目標に達していない」とのタカ派的な発言、(3)ドイツ3月GFK消費者信頼感(結果▲29.0、予想▲29.0、前回▲29.7)の前月比改善、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力、(5)欧州株の堅調推移(ドイツ株の史上最高値更新)、(6)ドイツ債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、翌2/27にかけて、週間高値1.0866まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(7)ドイツ1月小売売上高(結果▲0.4%、予想+0.5%)の市場予想を下回る結果や、(8)ドイツ2月失業率(結果5.9%、予想5.8%)の予想比悪化、(9)ドイツ2月HICP速報値(結果+2.7%、予想+2.7%、前回+3.1%)の前月比鈍化、(10)月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフロー、(11)ドイツ債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、週後半にかけて、週間安値1.0795まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(12)米2月ISM製造業景況指数の市場予想を下回る結果や、(13)米長期金利の急低下が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/2午前5時00分現在)では、1.0842前後まで持ち直す動きとなっております。

来週の見通し(3/4−3/8)

<ドル円相場>
ドル円は心理的節目150.00を挟んで乱高下しましたが、週を通して方向感を見出すには至りませんでした。但し、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)の上側に位置していること(ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいること)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(RSI等のオシレータ系インジケータにも過熱感は見られず)。

一方、ファンダメンタルズ的に見ると、今週は(1)日銀による早期正常化期待の再燃(本邦CPIの上振れ+高田日銀審議委員によるタカ派的な発言を受けて、日銀による早期正常化期待が再燃)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測の再燃(米PCEデフレータの鈍化や米ISM製造業景況指数の悪化を受けて、6/12FOMCでの利下げ確率が55.9%程度まで上昇→米長期金利急低下)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小(日米10年債利回り格差は1週間前の355bpから足元347bpまで縮小)など、ドル売り・円買いを意識させる材料が増えつつあります。

但し、上記1については、植田日銀総裁や内田日銀副総裁より、マイナス金利解除後も金融緩和を続ける方針が示されているため、円金利の上昇余地は大きくないと考えられます。また、上記2についても、今週は、ボストン連銀コリンズ総裁より「年後半に緩和政策を開始することが適切になる可能性が高い」との発言が見られた他、アトランタ連銀ボスティック総裁からも「今夏にも最初の利下げが行われると予想」との発言が飛び出し、更にはニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁からも「今年後半の利下げを検討可能」との発言(利下げ開始は上半期ではなく下半期に行われる可能性が高いことを強調)が出てきているため、現実的には6/12FOMCでの利下げは行われず、7/31や9/18FOMCでの利下げ着手が濃厚ではないかと予測されます。

こうした中、来週は、上記1を見極める目的で、3/5に発表される本邦2月東京都区部CPI(全国CPIの先行指標)に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、日銀によるマイナス金利の早期解除観測が再び後退し、ドル円を押し上げる一因になると考えられます。また、米国側では、パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言(3/6と3/7)や、米2月雇用統計(3/8)に注目が集まります。パウエルFRB議長が早期利下げに慎重なスタンスを示す場合や、米雇用統計が直近2ヵ月と同様に力強さを示す場合には、米FRBによる利下げ開始時期の後ろ倒し観測→米金利急上昇→米ドル反発の経路でドル円に強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):148.50ー151.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は、1.08台前半を中心としたレンジ相場が続いています。チャート的にも、日足ローソク足が複数のテクニカルポイントを挟んで往来するなど、方向感を見出しづらいトレンドレスな状態が確認されます(テクニカル的な示唆も見られず)。但し、向こう1週間程度で一目均衡表の分厚い雲が上方から垂れ下がってくる点には留意が必要でしょう(週後半にかけて次第に上値が重くなる可能性あり)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の先行き不透明感や、(2)ECBによる利下げ開始時期の前倒し観測(ECB当局者は市場で燻る早期利下げ期待を牽制する発言が相次いでいるものの、依然として4月や6月ECB理事会での利下げ開始が市場コンセンサス)、(3)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(最初の利下げが7/31や9/18など、下半期にずれ込むとの思惑)、(4)上記2、3を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買い)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記2を見極める目的で、3/7に開催されるECB理事会に注目が集まります。金融政策自体は現状維持が見込まれているものの、声明文やラガルドECB総裁記者会見で利下げ開始時期に関するヒントが得られる場合や、経済見通しが下方修正される場合には、4月利下げ観測が再浮上する可能性もあるため、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの再開(レンジ相場終了→下落トレンド再開)をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0700−1.0950

『ドル円は上下するも方向感見出せず。来週は議会証言と雇用統計に注目』

ドル円日足
注:ポイント要約は編集部

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