目先は高値圏でのもみあいを継続
〇先週のドル円、強い米CPIきっかけに150円の大台乗せ、150円台前半を中心としたもみあい続く
〇国内材料では日経平均株価が史上最高値目前の水準まで上昇してきたことも円売り材料に
〇今週は水曜のFOMC議事録公表と、FRB関係者による発言が注目材料
〇5/1FOMCの利下げ織り込み度36%まで低下、6/12に0.25%利下げ開始がFF先物市場のコンセンサス
〇11月高値と12月安値の78.6%戻し149.40を上抜け、次のターゲットは11月高値151.91レベル
〇今週は先週のレンジ内の動きを継続し148.80レベルをサポート、150.80レベルをレジスタンスと見る
今週の週間見通し
先週のドル円は米国のCPIが強かったことをきっかけに150円の大台乗せとなりましたが、150円台半ばから上では円安ペースが速いことによる利食いも出て、150円台前半を中心としたもみあいが続きました。CPIだけでなくPPIも強かったこと、また国内材料では日経平均株価が史上最高値目前の水準まで上昇してきたことも円売り材料とされていました。
一連の経済指標が出て、今週は水曜のFOMC議事録公表とFRB関係者による発言が注目材料となり、前回のタカ派とハト派が混在したFOMCの議論の詳細について実際のトーンを知ることとなります。ただ、すでに3月利下げの可能性は無くなっているため、利下げが5月なのか、6月なのかの判断材料とはならないでしょう。そういった点では、FRB関係者の発言の方が影響力は強そうです。
ちなみに現時点で5月1日FOMCでの利下げ織り込み度は36%にまで低下していて、6月12日FOMCで0.25%の利下げ開始がFF(米政策金利)先物市場参加者のコンセンサスとなっています。
また2024年12月時点でのコンセンサスは4.25〜4.50%と現状から4回1%の利下げとなっていますが、4.5〜4.75%と3回利下げを見る向きもかなり増えていて、短期的には昨年12月のFOMC時に発表された金利見通し同様3回利下げがコンセンサスとなるタイミングもありそうです。
ただ、年末の話をするには時間が長すぎることもあり、当面の注目は3月20日のFOMCで発表される金利見通しが前回から変化が無いのかどうか、おそらくこれまでのFRB関係者の発言からは変化が無い可能性が高いと見られますが、2回、4回という見通しが示される時には金利市場を中心に大きな動きにつながると見られます。ここからの1か月の経済指標、特に3月に入ってからの前半の重要度が高い指標には注目度が高まるでしょう。
今週は他にはあまり目立った材料もありませんので、テクニカルな立ち位置を確認しておきます。テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
今週はCPIをきっかけに150円の大台に乗せたことで、11月高値と12月安値との78.6%(61.8%の平方根)戻し149.40をあっさりと上抜けることとなり、次のターゲットとしては11月高値(昨年高値)の151.91レベルしか残っていません。ただここまでの上昇スピードが速かったことで、短期的には高値圏でのもみあいになったと考えられます。
それでも下がったところでは買いたいと考える参加者も多く、1月高値の148.82レベルはいったんサポートとなりやすい水準です。149円割れではドル買いオーダーが残っていると言えそうですから、今週は148.80レベルをサポートに150.80レベルをレジスタンスと、先週のレンジ内での動きを継続するレンジを考えておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
2月19日(月)
**:** NY市場休場
2月20日(火)
09:30 豪中銀理事会議事録公表 ☆
19:00 ユーロ圏12月建設支出
24:00 米国1月景気先行指数
30:45 NZ10〜12月期PPI
2月21日(水)
08:50 本邦1月貿易収支(通関)
22:00 アトランタ連銀総裁講演 ☆
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値
28:00 FOMC議事録公表 ☆
30:45 NZ1月貿易収支
2月22日(木)
16:45 フランス2月企業景況感
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏CPI
21:30 ECB理事会議事録公表 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
23:45 米国2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
24:00 ジェファーソンFRB副議長講演 ☆
24:00 米国1月中古住宅販売 ☆
25:00 週間原油在庫統計
28:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
30:45 NZ10〜12月期小売売上高
2月23日(金)
**:** 東京市場休場
07:00 クックFRB理事 ☆、(ミネアポリス連銀総裁)講演
09:01 英国2月消費者信頼感
16:00 ドイツ10〜12月期GDP改定値
18:00 ドイツ2月企業景況感
18:20 シュナーベルECB理事講演 ☆
19:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月12日(月)
週明けのドル円は東京が祝日、中国が一週間春節で休みとなることもあって、全般に小動きのスタートとなりました。金曜に高値圏で上値の重たい動きを続けていたこともあってドル売りが先行しましたが、149円割れでは買いオーダーもあってNY市場前に底打ち。米金利上昇、株高の動きから149円台半ばへと上昇し、引けは東京朝方と同水準でした。
2月13日(火)
連休明けの東京市場では日経平均株価が38000円台に乗せ史上最高値更新を視野に入れる動きとともにドル円でも円安の流れが欧州市場序盤まで続きました。その後NY市場までは米国CPIを前に早朝水準へと押していましたが、総合CPIが3.1%(予想2.9%)、コアCPIも3.9%(同3.7%)と強い数字となったことから、米金利上昇、ドル高となりました。ドル円は149円台後半を一気に上抜け150円の大台乗せ、その後も買いが引かず150.88レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。
2月14日(水)
ドル円は前日CPI後のドル高で150円台後半を見たものの、その後は150円台半ばで利食い売りと押し目買いとがぶつかって一進一退の動きを続けていました。大台乗せを見たことで、やや利食い売りが優勢となっての引けとなりました。
2月15日(木)
ドル円は前日にCPI後につけた高値を試しきれなかったこともあり、早朝から利食い売りが先行、じり安の展開をたどりました。NY市場に入り発表された経済指標が弱かったことをきっかけに米金利が低下、ドル円も一時149.51レベルまで下げましたが、その後米金利が戻したこともあり、149円台後半でもみあいのまま引けました。
2月16日(金)
ドル円は前日に下げきれなかったこと、また日経平均株価が史上最高値に迫る動きとなったこともあり、東京市場では買いが先行し、その後は150円台前半でのもみあいが続きました。NY市場に入り発表されたPPIが予想よりも強かったことを受け、一時150.64レベルの高値をつけましたが、米国3連休前の週末ということもあり、引けにかけてはNY前のもみあいの水準に押して引けました。
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