ユーロドルは底堅い動きを続けやすい
〇先週のユーロドル、強い米国の経済指標に一時的にドル買い・ユーロ売りの動き
〇ECB総裁らのタカ派発言を受けた早期利下げ思惑後退で、米独金利差が縮小、ユーロ買い戻される
〇2/22 主要国PMI速報値、ECB理事会の議事要旨公表、2/23 ECB理事・ドイツ連銀総裁の講演に注目
〇ECB関係者発言、先週同様にタカ派なコメントの場合ユーロドルの底堅い展開続きやすいか
〇テクニカルには1.08水準のレジスタンスラインを上抜ける可能性、抜けても誤差の範囲程度か
〇1.0730レベルをサポートに1.0830レベルをレジスタンスとみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週もドル円の動きに比べて半分程度の値幅に収まったユーロドルでしたが、強い米国の経済指標に一時的にドル買い・ユーロ売りの動きとなっても買い戻しも根強く、週初とほぼ同じレベルでの週末クローズとなりました。これはユーロ円でも円売り・ユーロ買いが出たことでユーロドルでのユーロの動きを相殺した面が強かったこと、また最大の要因としてはECBの総裁、副総裁ともタカ派な発言をしたことで先週までのECB早期利下げ思惑がいったん後退したという面がより大きかったと見られます。
ちなみに、デギンドス副総裁の発言以降ドイツ国債の10年債利回りは2.292%から2.422%へ(最低と最高の比較)と0.13%上昇し、その間の米10年債利回り4.187%から4.275%(同)の0.088%よりも大きいものとなりました。ECB高官の発言をきっかけとした米独金利差が縮小したことでユーロドルの買いにつながったと見てよいでしょう。
今週は22日の主要国のPMI速報値とECB理事会の議事要旨公表、そして23日にシュナーベルECB理事とドイツ連銀総裁の講演があり、これらが注目材料となりますが、先週のラガルド総裁、デギンドス副総裁のタカ派発言の後ということで、今週のECB関係者の発言がより重要度が高いと思われます。ただ、両者ともにタカ派のイメージがあるため、出てくるとすれば先週同様にタカ派なコメントが出やすく、そうなるとユーロドルの底堅い展開が続きやすいと言えそうです。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
水曜に安値1.0696レベルと11月14日以来の1.07台割れを見たことから、その後の反動を大きくしたようなチャートですが、長期的には年初からのユーロ安のトレンドを続けていて、現状は短期的な買い戻しの動きと言えます。
レジスタンスラインがちょうど12月高値と先週安値との23.6%戻しと重なる1.08水準にあり、これまでも1.08水準を抜け切れずにいたことを考えると、今回も抜けられないのか、あるいは上抜けて上昇に弾みがつくのか悩ましいところですが、週初の水準とレジスタンスとの距離がかなり近いこともあり、今回はレジスタンスを上抜ける可能性のほうが高いのではないかと考えています。
ただ、これまで同様にユーロドルはあまり大きな動きも期待できませんので、1.0730レベルをサポートに1.0830レベルをレジスタンスと、抜けてもまだ誤差の範囲ととれるぎりぎりの動きを考えておくこととします。
今週のコラム
今週は本文内で取り上げた米独の金利差とユーロドルの動向を1時間足で見ておきましょう。
以下のチャートは米独金利差とユーロドルの相関を示した1時間足チャートですが、直近のところで米独金利差縮小(金利差の青のラインはユーロドルと動きを揃えるため、ドイツ金利から米金利を引いたものとなっています)がユーロ買いにつながったことが見て取れます。
先週は週足で同じチャートを見ましたが、長期チャートだけでなく1時間足といったザラ場のチャートでも米独金利差とユーロドルの相関がそれなりに高いことがわかります。サブチャートに示したのは相関係数ですが、まったく同じ1.0に近い状態の時期も結構多いことがわかります。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
2月19日(月)
(特になし)
2月20日(火)
19:00 ユーロ圏12月建設支出
2月21日(水)
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値
28:00 FOMC議事要旨公表 ☆
2月22日(木)
16:45 フランス2月企業景況感
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏CPI
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
2月23日(金)
09:01 英国2月消費者信頼感
16:00 ドイツ10〜12月期GDP改定値
18:00 ドイツ2月企業景況感
18:20 シュナーベルECB理事講演 ☆
19:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月12日(月)
週明けのユーロドルは東京時間に上値をトライし1.08台乗せとなったものの、欧州時間に入ると根強いECBの早期利下げ思惑から反落、NY市場ではドル買いの動きもあって1.07台半ばに押した後、東京朝方の水準で引けました。
2月13日(火)
東京連休明けのユーロドルは、NY市場まではドル円とドルの動きと似たような足取りをたどり、下げた後に買い戻しという動きでした。NY市場では米国CPI発表をきっかけとしたドル買いの動きからユーロドルも急落、1.0700レベルの安値をつけ、そのまま安値圏での引けとなりました。
2月14日(水)
ユーロドルは前日のCPI後は上値が重たい動きを続け、水曜も上値が重く欧州市場序盤に前日安値をわずかに下抜け一時1.0695レベルの安値をつけました。しかし、デギンドスECB副総裁がタカ派な発言をしたことで買い戻しが入り、1.0734レベルの高値をつけ高値圏で引けました。
2月15日(木)
ユーロドルは前日の流れを受けユーロ買いの動きが続いていました。ラガルドECB総裁も早急な利下げの判断は避けたい、とタカ派な発言をしたことからユーロ買いが強まり1.0785レベルまで上昇。しかし1.07台後半では売りオーダーも出て、引けはやや上値が重い地合いとなりました。
2月16日(金)
ユーロドルはNY市場まで1.07台後半の狭いレンジでのもみあいが続きました。PPI発表直後はドル買いの動きから1.0732レベルまで売りが強まりましたが、その後引けにかけては逆に買い戻しが目立ち1.0787レベルと日中高値を更新後に若干押して引けました。
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