ドル上値は依然重い、発表される米指標注目
〇本日ドル円、寄り付いた150.55-60を日中高値に緩やかな右肩下がり、150円割れをうかがう局面も
〇リスクは依然ドル高方向だが、短期的には調整的な動きにも要注意
〇米経済指標の好調や要人の強気発言を受け、市場は利下げ先送りへ傾斜し過ぎか
〇今夜発表の米小売売上高、新規失業保険申請件数等が期待に反して弱い場合、ドル反動安の可能性も
〇テクニカルには、150円レベルをしっかり下回った場合、予想以上の深押し入るか
〇欧米時間の予想レンジは149.50-150.80
〇ドル高・円安方向は、2日続けて抜けられなかった150.80-90が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、引き続き150円レベルをめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが小安い。米金利の低下などもあり、調整的なドル売りに押されている。
ドル/円は寄り付いた150.55-60円を日中高値に緩やかな右肩下がり。大きく崩れることはなかったが、夕方には150.05-10円と150円割れをうかがう局面も観測されていた。16時現在、150.10-15円で推移し、欧米市場を迎えている。
そうしたなか、豪ドルが弱含み。発表された豪雇用統計の下振れなどが嫌気され、売りがかさんでいたようだ。対円では97円後半から97.30円台へと一気に値を崩す局面も。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「ウクライナ支援」について。
前者は、複数の米通貨当局者から金融政策に関する発言が聞かれたものの、これまでの「強気」発言を踏襲するものが多く新味に欠けたためか、為替市場への影響は限られた。たとえば、バーFRB副議長は「利下げプロセスを開始する前に良い指標の継続を確認する必要がある」、イエレン米財務長官「消費者物価指数の上昇率は予想より少し高い」など。ただ、シカゴ連銀総裁は「やや高めのインフレデータが数ヵ月続いても、米金融当局の2%目標に回帰する道筋となお整合する」と述べていたようだ。
対して後者は、前日に米上院で、遅れていたウクライナなどへ対する950億ドルの支援法案が承認されたことと関連し、米国防長官から「短期的、長期的なウクライナ支援から手を引くつもりはない」との発言が聞かれたものの、米議会下院のジョンソン議長は「(前述した)緊急予算案を直ちに採決を行う考えはない」と改めて表明するなどスタンスの違いが目に付いた。依然として米国の対応は一枚岩となっていないようだ。なお、そうした状況下、NATO事務総長による「ロシアがウクライナでの戦争で勝利すれば、中国が勢力を増す」との発言が伝えられている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日そして本日東京時間も150円台での推移でドルは底堅い。また、ドル高方向へのリスクが高いという基調そのものにも変化はないもよう。しかし、徐々に荷もたれ感が強まっており、実際前述したように昨日欧米タイムは米要人の強気発言にも市場の反応が鈍かった。よって、短期的には調整的な動きも気に掛かるところだ。150円レベルをしっかり下回ると、ターゲットは149円前半。相当の深押しが入る可能性もある。
今月に入ってから発表された雇用統計や消費者物価といった米経済指標がこぞって良好。また米要人の強気発言も相次いでおり、早期利下げ期待が完全に遠のいたようだ。とは言え、マーケットがあまりに強気サイド、「米利下げ先送り」へと傾斜し過ぎているようにみえることは若干気掛かりだ。本日は重要な米指標が数多く発表されるなか、期待を裏切る弱い数字が発表されるようだと、これまでの反動ともいえる調整の動きが一気に加速する懸念もある。ドルの反動安にも一応要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場はドル高基調そのものに変化ないものの、当局の介入警戒感などもあり足もとは小休止か。昨年高値151.92円は、近くて遠い存在という気もしている。
むしろ、心理的な意味も含め150円レベルをしっかり下回った場合の動きに要注意。予想以上の深押しが入るとともに、上値トライは完全に仕切り直しとなりかねない。
本日は米経済指標として、1月の小売売上高や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。数字如何で波乱もありそうで、とくに低めの数字が出るようだとさらに調整の動きが進みかねない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは149.50-150.80円。ドル高・円安方向は2日続けて抜けられなかった150.80-90円が最初の抵抗。抜ければ151.92円が薄っすら視界内に。
対するドル安・円高方向は、引き続き150円レベルをめぐる攻防にまずは注目だ。基本的に下回っても底堅そうだが、意外にストップロスは多そうで油断禁物かもしれない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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