ドル高リスクは継続か、150円トライも!?
〇先週のドル円、2/8に昨年11月末以来の149円台示現。基本的なリスクはドル高方向
〇日米通貨当局者の金融政策についての見解相次ぎ、改めて「早期の日米金利差縮小はない」こと確認
〇今週、1月消費者物価指数や同小売売上高等の重要な米経済指標が発表予定
〇高値151.92起点のフィボナッチ76.4%を超え150円超え意識されるも、円安けん制発言にも注意
〇ドル高・円安が進むにしても基本的には歩みの鈍い展開を予想
〇今週のドル円予想レンジ、147.50-151.00。ドル高円安方向は心理的にも150円の攻防に注目。
〇ドル安円高方向、2/8欧米時間に上回って以来一度も割り込んでいない149円が最初のサポート
〇割り込むと148円半ばや147円後半に位置する21日線などがターゲットに
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが小高い。昨年11月末以来の149円台を示現し、週末もそのままドル高値圏で大引けている。
前週末は、中国証監会が「株式など金融市場の異常な変動を阻止する」と表明したとして話題に。一方、米国では大統領選の民主党予備選でバイデン氏が勝利を収めたうえで、「トランプ氏を再び敗者に」と呼び掛けたことが物議を醸していたもようだ。
そうした状況下、ドル/円は148.30円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。ただドルの上値は重く、むしろリスクはわずかながらドル安方向に感じる展開だった。一連の動きのなかで週間安値147.62円を示現している。しかし、週末にかけて逆にレンジを上抜けると年初来高値を更新し149円台へ。日本当局の介入警戒などもあり150円にはとどかなかったが、それでも結局週末NYは149円台のドル高値圏で越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「中国情勢」について。
前者のうち米国については、2日に発表された雇用統計が好数字を記録するなか、その週末にはパウエルFRB議長から「利下げは3月に開始されない可能性がある」、ボウマンFRB理事「まだ利下げを検討すべき時期ではない」−−などと通貨当局者からの強気発言が相次いでいた。また、その後もクリーブランド連銀総裁から「利下げを急ぐ必要はない」、ミネアポリス連銀総裁も「インフレは最終地点にまだ達していない」、ボストン連銀総裁は「利下げを検討にはさらなる証拠が必要」とコメントするなど、週間を通して全体的に米利下げに消極的な内容が目に付きドルの支援要因となっていた。一方、日本は内田日銀副総裁から「仮にマイナス金利を解除しても、どんどん利上げするパスは考えにくい」とのコメントが発せられたことに続き、植田総裁も「マイナス金利解除後も緩和的環境は当面続く」と述べたことで、早期の修正観測が後退し円売りを後押ししていたようだ。
それに対して後者は、前述したように中国証監会が「株式など金融市場の異常な変動を阻止する」と表明したものの、具体的な対策が聞かれなかったこともあり市場の反応はいまひとつ。しかし、そののち先の中国証監会が「空売り規制強化の一環として、株券転貸を抑制する」と発表。また、ロイターは「一部のヘッジファンドによる株式売却を制限していることがわかった」と伝えていた。それらを受け、取り敢えず目先の底値を付けた感もあるが、市場では根本的な要因の解決には至っていないとの見方も多く、いつまで株高が続くのかといった疑問を抱く向きも少なくない。幸か不幸か、先週末から中国は「春節」休暇に入っており、同国株式市場も18日まで休場となる。とは言え、そのあいだに抜本的な対策などが示されなければ、取引再開後に株価は再び下値を探る可能性も否定できない。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は、昨年11月末以来の149円台を示現し、そのままドルは高値引け。過去に何度もレポートしている高値151.92円を起点とした下げ幅のフィボナッチの76.4%を超えたことを持ち出すまでもなく、150円超えが現実的なものとして意識されていることは間違いない。しかし先週末の東京時間、ドル/円の149円台では鈴木財務相から円安けん制発言が聞かれるなど、やはり注意すべき価格帯に入りつつあることは確か。仮にドル高・円安が進むにしても基本的には「牛歩」、歩みの鈍い展開が予想されている。
前述したように先週、日米の通貨当局者から、それぞれの金融政策についての見解が発せられている。すでに1月末に発表された米FOMCなどでわかっていたものだったが、改めて「早期の日米金利差縮小はない」ことが確認されたわけで、今週も基本的なリスクはドル高方向にバイアスがかかると言わざるを得ない。発表される1月の米消費者物価を注視している向きも多く、その内容如何ではやや荒っぽい値動きもありそうだが、流れが一変するようなことは予想しにくいだろう。
テクニカルに見た場合、ドル/円は移動平均の21日線に下値を支えられるように右肩上がりをたどるなか、週末にはついに149円台へ。そして150円も現実的な上値メドとして意識されている。市場では、今週150円台を回復できるかを注視している向きも少なくないが、それとともに問題は「定着できるか否か」だろう。ドル弱気派のなかからは、到達しても達成感から反落に転じるリスクを取り沙汰する声も聞かれているが果たしてどうなるか。しっかり抜ければ薄っすらとだが、151.92円などが視界内に。
そうしたなか今週は、1月の消費者物価指数や同小売売上高といった重要な米経済指標が発表される。「米早期利下げ」期待は後退しているものの、それに疑問を抱かせるような弱めの指標が出るようだと相場は波乱含みであるのかもしれない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、147.50-151.00円。ドル高・円安については、心理的な意味も含め150円の攻防にまずは注目。ザラ場ベースの動きもさることながら、NYクローズなどでしっかりと定着できるのかにも注目だ。
対してドル安・円高方向は、8日の欧米時間に上回って以来、一度も割り込んでいない149円が最初のサポート。割り込むと148円半ば、そして少し遠いが147円後半に位置する21日線などがターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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