150円台は見ず高値圏でのもみあい継続か
〇先週のドル円、週末149.57レベルの高値つけ、150円の大台を視野に入れ始める流れで週末クローズ
〇木曜の複数の日銀関係者による「マイナス金利解除後も緩和的な政策を継続」発言で円独歩安
〇3月か4月会合に向け植田総裁がタカ派的発言をする流れで、ハト派方向への修正に相当と見られる
〇コンセンサスは年前半にマイナス金利解除、年後半に0.1〜0.25%の利上げ
〇日米金利差は現状から1.45%程度縮小し、長期的にドル安・円高の流れに大きな変化は生じないか
〇テクニカルには149円台半ばは昨年高値とその後の安値78.6%戻しと戻しの限界点
〇149円台後半が短期的な高値圏になる可能性高く、年始からの円安の動きの最終局面
〇今週は147.75レベルをサポート、149.75レベルをレジスタンスとするレンジを見る
今週の週間見通し
先週のドル円は前週金曜の雇用統計でドル高となった動きを受け、週初はドルが底堅い動きをしていたものの148円台後半では利食いも出て木曜までは148円台前半を落ち着きどころとして次の材料を待っている流れでした。しかし木曜に複数の日銀関係者がマイナス金利解除後も緩和的な政策を継続するという発言を行ったことで、円独歩安の流れへと変化し、週末には149.57レベルの高値をつけ150円の大台を視野に入れ始める流れで週末クローズとなりました。
日銀の清水理事と内田副総裁の発言からマイナス金利を解除しても緩和が続くという方向性が示され、事前にタカ派な発言に警戒していたこともあって、ハト派な発言であったことから円安が進行しました。しかし、そこまでインパクトが強い発言とも思えません。というのも、どんどん利上げするという言葉が仮にFRBの引き締めのようなことは意味しないとも取れ、さすがに誰もそのような利上げになるとは思っていません。おそらく年前半にマイナス金利解除があり、年後半に0.1〜0.25%の利上げがある程度というのがコンセンサスです。
これまでも植田総裁がややタカ派な発言をした後に他の日銀関係者がハト派寄りに修正、その後結局は総裁の考える方向に動いてきたという経緯がある以上、今回もこれまで同様に清水理事と内田副総裁の発言はいったんハト派方向への修正に相当すると考えています。おそらく3月19日か4月26日の会合に向けて植田総裁がタカ派的発言をする流れではないかと見ています。うまくタカ、ハトへの変動を挟みながら最終的には4月会合でマイナス金利解除という方向性を作っていくと見られます。
FRBが5月利下げという見方はコンセンサス(2月9日時点の利下げ織り込み度84%)となっていますし、その後年末までに5回の利下げが見込まれています。昨年12月時点では7回の利下げが見込まれていたこともあったので、その頃から比べると縮小したものの、日銀も年後半には最低でも0.1%の利上げは実施するでしょうから、日米金利差縮小は現状から1.45%程度となり、長期的にドル安・円高という流れには大きな変化は生じないと考えています。
ただ、短期的には149円台半ばと150円の大台を視野に入れ始めてきたこと、また今週は米国CPIの発表もあり、予想よりも強い数字となる場合には一時的にドル買いの動きにつながる可能性はあります。しかし、テクニカルには149円台半ばは昨年高値とその後の安値の78.6%戻しと戻しの限界点となっていて、明確に上抜ける動きが無ければ149円台後半が短期的な高値圏になる可能性が高いと言えるでしょう。日柄的にも東京3連休後で中国春節と大きな動きが出にくいと見られ、年始からの円安の動きの最終局面であるという見方を残しておきたいと思います。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
日銀関係者のハト派発言をきっかけに1月高値を上抜けましたが、11月高値と12月安値との78.6%(61.8%の平方根)戻し149.40は上ヒゲで抜ける程度でなんとか留まっている印象です。値幅的にも149円台後半はありそうですが、そのまま上抜けするのではなく150円の大台前での利食いなども入り、短期的にはドル高の最終局面にあると見ています。ただ大きな押しも期待できそうもなく基本は高値圏でのもみあい継続というところでしょう。
今週は147.75レベルをサポートに149.75レベルをレジスタンスとするレンジを考えておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
2月12日(月)
**:** 東京、シンガポール市場休場
**:** 香港市場休場(〜13日)
**:** 中国市場休場(〜17日)
17:00 スペイン中銀総裁講演
18:45 レーンECB理事講演 ☆
26:00 リッチモンド連銀総裁講演 ☆
27:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
27:00 英中銀総裁講演 ☆
2月13日(火)
08:30 豪州2月消費者信頼感
09:30 豪州1月企業景況感
16:00 英国1月失業率
19:00 ドイツ2月ZEW景況感 ☆
19:00 ユーロ圏2月ZEW景況感 ☆
22:30 米国1月CPI ☆
2月14日(水)
08:50 本邦10〜12月期GDP速報値 ☆
16:00 英国1月CPI ☆
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP改定値 ☆
19:00 ユーロ圏12月鉱工業生産
23:30 (シカゴ連銀総裁講演)
24:30 週間原油在庫統計
30:00 バーFRB副議長講演 ☆
2月15日(木)
09:30 豪州1月雇用統計
16:00 英国10〜12月期GDP速報値 ☆
16:00 英国12月鉱工業生産、貿易収支
19:00 ユーロ圏12月貿易収支
22:30 米国2月NY連銀製造業景況指数 ☆
22:30 米国1月小売売上高、輸入物価
22:30 米国新規失業保険申請数
23:15 米国1月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国2月NAHB住宅指数 ☆
24:00 米国12月企業在庫
27:40 NZ中銀総裁講演
2月16日(金)
09:00 アトランタ連銀総裁講演 ☆
16:00 英国1月小売売上高
16:45 フランス1月CPI
17:45 シュナーベルECB理事講演 ☆
22:30 米国1月PPI ☆
22:30 米国1月住宅着工・建設許可
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
26:10 サンフランシスコ連銀総裁講演 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月5日(月)
週明けのドル円は早朝に金曜高値をやや更新し、その後も高値圏でのもみあいを続けました。欧州市場以降はユーロドルの下げに引っ張られ、NY市場では米金利が上昇する動きとともに一時148.89レベルまで高値を切り上げ、引けにかけてはやや押して引けました。
2月6日(火)
ドル円はNY市場前場まで高値圏でのもみあいを続けていましたが、前日高値は超えられず、短期筋の利食いが上値を抑えている流れとなっていました。NY昼前に米金利低下をきっかけに日中安値を割り込むと月曜安値も割り込み、ストップオーダーも巻き込みながら147.81レベルまで水準を下げ、安値圏での引けとなりました。
2月7日(水)
ドル円は前日の下げに対しての調整からNY市場までじり高の展開を辿りました。NY前場に米金利低下の動きとともに147.61レベルと日中安値を下回りましたが、金利がすぐに反転したことからドル円も買い戻され148円台に乗せて引けました。
2月8日(木)
ドル円は円安が進む一日となりました。東京前場に清水日銀理事がマイナス金利を解除しても緩和が続くこと、内田副総裁もマイナス金利を解除してもどんどん利上げするパスは考えにくいと、マイナス金利解除後の利上げに対してハト派な見通しを示したことが円安進行のきっかけとなりました。欧州市場に入り週間高値を更新、その後も円独歩安の流れが続きNY前場には149.48レベルと11月27日以来の149円台半ばを見て、やや押しての引けとなりました。
2月9日(金)
金曜のドル円は東京3連休、中国の春節を控えドル高値圏でのもみあいを続けました。欧州市場序盤に149.57レベルと若干高値を更新したものの、NY市場では12月CPIが下方修正されたことで149.01レベルの安値をつけましたが、引けにかけて戻し、東京朝方の149円台前半の水準で引けました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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