ドル円 リスクはドル高、ただ円安けん制にも注意
〇本日のドル円、積極的な動意に欠け、149円前半の30ポイントにも満たないレンジ取引
〇昨日欧米時間に149円台を示現しその後もドルは強含みで推移、本日東京時間も149円台をキープ
〇円安けん制発言が聞かれるなど当局の為替介入を警戒するレベルだが、リスクはドル高方向か
〇予想レンジは148.80-149.80、ドル高・円安方向は149円半ばが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、149円レベルをめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場は横這い推移。149円前半の30ポイントにも満たないレンジ取引で、方向性は乏しかった。
ドル/円は149.30-35円で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。前日、終値ベースでバブル崩壊後最高値を更新した日経平均株価が小幅ながら続伸したものの、為替市場の反応はいまひとつだった。なお、昨年11月末以来の149円台ということで、鈴木財務相からは「為替はファンダメンタルズ反映し安定推移が重要」との円安けん制発言が聞かれていたようだ。16時現在、ドル/円は149.30円レベルで推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、前日に内田副総裁からは「仮にマイナス金利を解除しても、どんどん利上げするパスは考えにくい」との発言が聞かれ物議を醸したが、本日は出席した衆院予算委で植田日銀総裁が「マイナス金利解除後も緩和的環境は当面続く」、「物価目標見通せれば、大規模緩和の継続是非を検討する」と述べていた。前日の副総裁と基本的に同様の考えであることが示された格好だ。しかし、そうしたなかIMFは対日経済審査を終えたあとの声明で、「日銀は政策展望期間にわたって政策金利の段階的引き上げを」などと指摘。慎重なスタンスの日銀に利上げを促していたようだ。
対して後者は、中国人民銀が四半期報告を発表し「柔軟な政策で物価安定・内需拡大」する方針を示すなか、中国は本日から「春節」入りし、株式取引などが停止されている。取引再開は再来週19日から。春節休場入りもあり、取り敢えず中国株の下落も一息ついたことは間違いないものの、問題は取引が再開された19日以降。単なる問題の先延ばしに過ぎないと捉えられれば、再開以降語の中国株式市場は再び波乱含みの展開をたどる可能性もある。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日欧米時間に昨年11月末以来の149円台を示現。その後もドルは強含みで推移し、本日東京時間も149円台はキープされている。先でも取り上げたように、本日東京で鈴木財務相から円安けん制発言が聞かれるなど、当局の為替介入を警戒するレベルに入っているが、リスクそのものはドル高方向か。ちなみに、以前もレポートしたが高値151.92円を起点とした下げ幅のフィボナッチでは76.4%戻しをついに上抜けており、100%戻しも否定できない。
昨日の内田日銀副総裁に続き、本日は植田日銀総裁から弱気ともいえる発言、「緩和的な金融環境は当面続く」との趣旨が聞かれるなど金利の観点から言えば引き続き円は積極的に買いにくい。それに対して、米国は次の一手が「利下げ方向」であることは間違いないものの、早期の利下げは予想しにくく、「早くても5月」といった見方が取り敢えずは有力だ。一方、需給的にも新NISAの招く「円安圧力」が再び一部で脚光を浴びており、基本的な円安という流れそのものは続くとの公算が大きい。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は過去3週間ほど超えられなかった「149円の壁」を超えただけでなく、回復後は逆に一度も割り込むことはなく、ドルはむしろ底堅さを醸している。次のターゲットは、心理抵抗でもある150円レベル。
対して、ドルが大きく崩れる展開は目先調整程度しか予想しにくいのだが、147円台で推移する移動平均の21日線などを下回るとドル高も一旦仕切り直しとなりそうだ。
本日はこれといった米経済指標の発表などがないうえ、要人の発言機会もドイツ連銀総裁の講演が予定されているぐらい。新規材料難の感もあり、大きな値動きは期待しにくいだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは148.80-149.80円。ドル高・円安方向は昨日そして本日も超えられなかった149円半ばが最初の抵抗。抜ければ名実ともに150円がターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、昨日欧米時間に超えたのち一度も割り込んでいない149円レベルをめぐる攻防にまずは注目。ただ下回っても底堅く、基本的には148円台で下げ止まりそう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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