ドル円 NFP35万超えでドル買いとなるも一段高は困難(週報2月第1週)

FOMCでは追加利上げの可能性の文言を削除するいっぽうで、インフレが持続的に2%に向かうまで利下げは適切でないと追加しました。

ドル円 NFP35万超えでドル買いとなるも一段高は困難(週報2月第1週)

NFP35万超えでドル買いとなるも一段高は困難

〇ドル円、FOMC後3月利下げ無しとみてドル買いの動き。翌日弱い経済指標に一時145円台に入り込む
〇2/2 NFP(非農業部門雇用者数)が予想の倍の強さ見せ、148円台半ばまで上昇して引ける
〇本日東京朝方に放映されたパウエルFRB議長のTV出演、3月の利下げはほぼ無いという方向性示す
〇5月利下げ織り込み度、強い雇用統計に1週間前の88%から67%へと低下
〇当面は日米金利差に目が向きやすい、長期的な日米金利差縮小の方向はレールに乗っていると見てよい
〇週明け早朝に年初来高値更新する動きだが、149.40明確に上抜けなければ上昇に転じたとは見ない
〇今週はドルの底堅さも残るものの、146.90レベルをサポートに148.90レベルをレジスタンスの週と見る

今週の週間見通し

先週は一連の主要中銀の金融政策ウィーク後半となりましたが、FOMCでは追加利上げの可能性の文言を削除するいっぽうで、インフレが持続的に2%に向かうまで利下げは適切でないと追加しました。前者はハト派的、後者はタカ派的と捉えられましたが、市場参加者の見方は3月の利下げは無いことは確実とし、ドル買いの動きとなりました。しかし、荒れたのはその後で、翌日には弱い経済指標に反応し一時145円台に入り込んだところ、雇用統計ではNFP(非農業部門雇用者数)が予想の倍という強さを見せたことで148円台半ばまで上昇して引けることとなりました。

FOMCについては、すでに3月の利下げ織り込み度はかなり低下していましたが、インフレと利下げとの関係を声明に追加してきたことで、3月利下げはほぼ無いという見方になったわけですが、本日東京朝方に放映されたパウエルFRB議長のTV出演(1日の収録)でも3月の利下げはほぼ無いという方向性を示しました。

さらに金曜の米国雇用統計が強かったことで、5月の利下げ織り込み度も1週間前の88%から67%へと低下してきましたが、それでも5月利下げを想定する市場参加者は多いこと、また5月までとなるとまだ2か月あり、それまでには経済指標にも変化が見られる可能性も高いため、現時点で緩和時期が大きく後退するというところまでは行き過ぎたタカ派見通しと言わざるを得ません。

また雇用統計も毎年1月(2月発表分)に集計方法の見直しが行われるため、今回の予想との大きな乖離は何らかの集計方法の変更による部分も大きいと見られます。こちらも来月以降の数字を見て行く必要があるでしょう。

一連の金融政策が出そろったことで、当面は改めて日米金利差に目が向きやすい流れにあると考えられますが、日米10年債利回り差は1月末に3.192%まで縮小していたところ、雇用統計を経て現状は3.358%へと拡大しています。しかし、現在の利回り差の水準は12月から1月の金利差のほぼ中央値であり、拡大方向のトレンドが出ているわけではありません。長期的な日米金利差縮小の方向はレールに乗っていると見てよいでしょうから、先週のイベントのみで150円の大台を見るということには繋がらないと思います。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

雇用統計後のドル買いが残っていたようで週明け早朝には年初来高値を更新する動きとなりましたが、ほぼ1月高値と同水準でいったん押しが入っています。テクニカルには引き続き11月高値と12月安値との78.6%(61.8%の平方根)戻し149.40を明確に上抜けなければ、上昇に転じたという見方はしない予定で、同水準を明確に上抜け150円の大台をトライする流れになってきた時のみトレンド転換を考えます。

今週はドルの底堅さも残るとは思いますが、149円台ではドル売りも多く出てくると見られ、146.90レベルをサポートに148.90レベルをレジスタンスと、現行水準からはやや下に余裕あるレンジを考えておきます。

NFP35万超えでドル買いとなるも一段高は困難

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

2月5日(月)
09:00 パウエルFRB議長TV出演 ☆
09:30 豪州12月貿易収支
10:45 中国1月MarkItサービス業PMI ☆
16:00 ドイツ12月貿易収支
17:50 フランス1月サービス業PMI
17:55 ドイツ1月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏1月サービス業PMI
18:30 英国1月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏12月PPI ☆
23:45 米国1月サービス業PMI
24:00 米国1月ISM非製造業指数 ☆
28:00 アトランタ連銀総裁講演 ☆

2月6日(火)
09:01 英国1月小売売上高
12:30 豪中銀政策金利発表 ☆、四半期金融政策報告
13:30 豪中銀総裁会見
16:00 ドイツ12月製造業新規受注
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高
26:00 クリーブランド連銀総裁講演 ☆
30:45 NZ10〜12月期失業率

2月7日(水)
09:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
16:45 フランス12月貿易収支
17:40 英中銀副総裁講演 ☆
22:30 米国12月貿易収支
24:30 週間原油在庫統計

2月8日(木)
08:50 本邦12月貿易収支
09:01 英国1月住宅価格
10:30 中国1月CPI ☆・PPI
22:30 米国新規失業保険申請数
24:00 米国12月卸売売上高
24:30 レーンECB理事講演 ☆
**:** 共和党ネバダ州党員集会

2月9日(金)
**:** 中国市場休場(〜17日)
07:30 豪中銀総裁議会証言 ☆
16:00 ドイツ1月CPI

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月29日(月)
週明けの東京市場では米金利低下の動きに沿ってほぼ終日ドル売りの動きとなりました。欧州市場で148円割れの際に押し目買いも入りましたが、戻しはNY市場朝方の148.09レベルまでで、引けにかけてはユーロ円の売りも出て147.25レベルまで下押し後、やや戻して引けました。

1月30日(火)
FOMCを前にNY市場までは147円台前半での小動きが続きました。NY市場に入り発表されたJOLTS求人件数が予想よりも多かったことをきっかけに米金利上昇、ドル買いの動きとなりましたが、高値147.93レベルで折り返し、147円台半ばと東京朝方の水準に押して引けました。

1月31日(水)
FOMCを前にNY市場までは小動きだったものの、タカ派よりの内容になるのではとの見方もあり、欧州市場序盤には147.90レベルの高値をつけていました。NY朝方まで高値圏での取引となっていましたが、米国経済指標が軒並み弱かったことから米金利低下とともにFOMC前には146.01レベルの安値をつけました。しかし、FOMCでは文言の変化もあり、3月利下げは無いということを確実に示したことで、ドル円は147.45レベルまで反騰後に147円を割り込んで引けました。

2月1日(木)
FOMC後の東京市場は若干上値が重たい程度で小動き、NY市場までその流れが続きましたが、147円台に乗せると売りオーダーが出ている様子でした。NY市場では前日に続き予想よりも弱い経済指標が続いたことで一時145.89レベルの安値をつけましたが、引けにかけては146円台半ばに戻して引けました。

2月2日(金)
米国雇用統計を控えて東京市場では動意薄、欧州市場では若干底堅い程度の動きとなっていました。米国雇用統計はNFPが+35.3万人と予想の倍、失業率も3.7%と非常に強い結果となりました。これを受け米金利上昇、ドル高の動きとなり、ドル円は148.59レベルまで上伸し、若干押して引けました。

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