ドル円見通し 1月5日夜高値に迫る、円の独歩安感も拡大(24/01/11)

9日午前安値143.41円まで下げたのだが、その後は日本経済指標の低調さも重なって円売りが再燃している。

ドル円見通し 1月5日夜高値に迫る、円の独歩安感も拡大(24/01/11)

1月5日夜高値に迫る、円の独歩安感も拡大

〇ドル円、米指標悪化を当面の材料に1/9午前143.41まで下落後、日本経済指標低調を受け円売り再燃
〇東京CPI、全世帯消費支出等の指標悪化、日銀がマイナス金利の解除を急げない要因とされる
〇日銀の金融緩和継続感による円売りでクロス円は全面高
〇NY連銀前総裁ダドリー氏、5月の利下げ開始を予想
〇米長期債利回りはまちまち、米国株高は継続で円安に寄与
〇145円台を維持するうちは上昇余地ありとし、1/5夜高値超えからは146円台中盤への上昇を想定
〇145円割れからは144円台中盤(144.65から144.35)への下落を想定

【概況】

ドル円は米国の利下げ開始期待を背景に12月29日未明安値140.24円まで下げたが、米国の利下げ時期が先送りされる可能性や1月1日発生の能登半島大地震の影響で日銀による金融緩和政策継続感が強まったとして円売り優勢となり、1月5日夜の米雇用統計が予想を上回る堅調さだったことで145.96円まで高値を伸ばした。ISMサービス業景況指数悪化を当面のドル売り円買い材料消化として9日午前安値143.41円まで下げたのだが、その後は日本経済指標の低調さも重なって円売りが再燃している。
1月9日発表の12月東京CPI(生鮮食品除く)前年比が11月の2.3%から2.1%へ鈍化し、11月の全世帯消費支出が10月のマイナス2.5%からマイナス2.9%へと悪化したこと、10日の勤労統計における11月現金給与前年比が10月の1.5%増から0.2%増に鈍化したことは日銀がマイナス金利の解除を急げない要因とされている。

1月10日早朝からはユーロドルがジリ高で推移し、ポンドドルも夕刻から反発するなどドルはユーロやポンドに対して下落したが、その一方でクロス円は全面高であり、ユーロ円は160円に迫って12月7日安値153.13円以降の高値を更新、豪ドル円も12月7日以降の高値を更新、ポンド円も12月14日以降の高値を更新している。欧州等のインフレ高止まり感と米国の利下げ時期の先送り感が交錯しているものの、日銀の金融緩和継続感による円売りが勝っていることを反映している印象だ。

【米国利下げ開始は5月?】

米金利先物市場においては3月FOMCでの利下げ確率が6割台であり、昨年末に9割まで上昇していたところから大幅に低下したもののまだ可能性ありとみられている。しかし米FRB高官や地区連銀総裁らによる最近の発言は3月利下げは時期尚早として市場を諫めるものが多い。
NY連銀のウィリアムズ総裁は1月10日の講演で2022年3月からの金融引き締め効果で「インフレ率2%達成は可能」としたが「まだ道半ば」であり、政策転換はその確証を持てた時とした。同総裁はPCE(個人消費支出)デフレーターは今年2.0〜2.25%に減速するとの予想を示しつつ、「我々の仕事は終わっていない」とも述べている。
NY連銀の前総裁であるダドリー氏は10日付けシンガポール紙掲載のインタビューでFRBは金融緩和に踏み切る準備はできているものの、利下げは市場予想よりも時間をかけて行われるとし、「サービス部門のインフレ継続や労働市場の逼迫によりFRBは利下げ規模や時期を決めかねている」、自身は5月の利下げ開始を予想していると述べた。

【米長期債利回りはまちまち、米国株高は継続】

1月10日の米長期債利回りはまちまちだった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の4.03%。1月10日に米10年債の入札があったものの堅調な結果だったことやNY連銀総裁が3月利下げに否定的見通しを示したことで一時上昇したものの11日夜の米CPI発表を控えて小動きにとどまった。
30年債利回りは前日比0.02%上昇の4.21%、2年債利回りは前日比0.01%低下の4.36%だった、
一方、米国株式市場は堅調さを維持している。1月10日のNYダウは前日比170.57ドル高と上昇、1月2日に付けた史上最高値37790.08ドル超えには至らずにいるが高値で37740.77ドルを付けて迫っている。ナスダック総合指数は前日比111.94ポイント高で1月5日から4連騰とした。12月28日に付けた2022年10月底以降の高値である15150.07には届いていないものの14998.20を付けて迫ってきている。利下げ開始が先送りされても年3回利下げ期待は変わらず、金融緩和時代を先取りして買われている印象だ。日経平均も大幅上昇しているが、日米株高も円安に寄与している。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は1月9日午前安値143.41円からの反騰を継続して11日未明には145.82円を付けて1月5日夜高値145.96円に迫っている。今夜の米CPI発表を控えて146円超えへ進むのは時期尚早の印象もあり、目先はダブルトップ形成にとどまって下げやすいところかもしれない。145円台を維持するうちは11日の日中から12日深夜にかけての間へ一段高する可能性があるとみるが、145円割れからは下落期入りとし、米CPI発表後も軟調推移なら12日午前から16日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月9日午前安値からの反発により遅行スパンが好転し、10日昼には先行スパンを上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。26本基準線割れからは下向きとし、遅行スパン悪化からは下落期入りとして安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月11日未明に80ポイントに迫ってから70ポイントを割り込んでいる。60ポイント台を維持するうちは一段高余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への低下へ進んで行くとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.00円を下値支持線、1月5日夜高値145.96円を上値抵抗線とする。
(2)145円台を維持するうちは上昇余地ありとし、1月5日夜高値超えからは146円台中盤(146.35円から146.65円)への上昇を想定する、146.50円以上は反落注意とするが、145.50円を上回るか、直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは12日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)145円割れからは144円台中盤(144.65円から144.35円)への下落を想定する。144.50円以下は反騰注意とするが、米CPI発表から下げ足が速まる場合は144円台序盤(144.20円から144.00円)へ下値目途を引き下げ、12日の日中から13日にかけての間へ続落しやすくなるのではないかと考える。

【当面の予定】

1/11(木)
14:00 (日) 11月 景気先行指数CI・速報値 (10月 108.9、予想 107.9)
14:00 (日) 11月 景気一致指数CI・速報値 (10月 115.9、予想 114.5)
14:00 (日) 日銀地域経済報告「さくらリポート」
18:00 (欧) ECB(欧州中銀)経済報告
22:30 (米) 12月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (11月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (11月 3.1%、予想 3.2%)
22:30 (米) 12月 コアCPI 前月比 (11月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 12月 コアCPI 前年同月比 (11月 4.0%、予想 3.8%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.2万件、予想 21.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 185.5万人、予想 187.1万人)
28:00 (米) 12月 財政収支 (11月 -3140億ドル、予想 -653億ドル)

1/12(金)
未 定 (中) 12月 貿易収支・米ドル建て (11月 683.9億ドル、予想 762.0億ドル)
08:50 (日) 11月 経常収支・季調前 (10月 2兆5828億円、予想 2兆3851億円)
08:50 (日) 11月 経常収支・季調済 (10月 2兆6217億円、予想 2兆1770億円)
08:50 (日) 11月 貿易収支・国際収支ベース (10月 -4728億円、予想 -5330億円)
10:30 (中) 12月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (11月 -0.5%、予想 -0.4%)
10:30 (中) 12月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (11月 -3.0%、予想 -2.6%)
14:00 (日) 12月 景気ウオッチャー現状判断DI (11月 49.5、予想 49.8)
14:00 (日) 12月 景気ウオッチャー先行判断DI (11月 49.4、予想 49.5)

16:00 (英) 11月 月次GDP 前月比 (10月 -0.3%、予想 0.2%)
16:00 (英) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.8%、予想 0.3%)
16:00 (英) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 0.4%、予想 0.8%)
16:00 (英) 11月 貿易収支・物品 (10月 -170.32億ポンド、予想 -157.00億ポンド)
16:00 (英) 11月 貿易収支 (10月 -44.80億ポンド、予想 -30.00億ポンド)
22:30 (米) 12月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (11月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (11月 0.9%、予想 1.3%)
22:30 (米) 12月 コアPPI 前月比 (11月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 コアPPI 前年同月比 (11月 2.0%、予想 1.9%)
24:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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