ドル円見通し 11月13日高値以降の最安値を更新、円高継続感強まる(23/12/29)

12月29日0時台安値で140.24円へ一段安して11月13日高値151.90円以降の最安値とした。

ドル円見通し 11月13日高値以降の最安値を更新、円高継続感強まる(23/12/29)

ドル円見通し 11月13日高値以降の最安値を更新、円高継続感強まる

〇ドル円、12/28は19時台に140.62へ下げ、12/29 0時台に140.24へ一段安、11/13高値以降の最安値
〇その後売られ過ぎ警戒感で買い戻され、12/29 3時台に141.58まで戻すも持ち合いを下放れにとどまる
〇米失業保険申請件数は2週連続悪化、ドル円が140円台序盤へ一段安するきっかけとなる
〇米長期債利回りは総じて大幅低下後の小反発、NYダウは連日の最高値更新
〇141円以上での推移中は上昇余地ありとし、141.75超えからは141円台序盤への上昇を想定する
〇140.75割れからは下向きとして12/29未明安値140.24試しとする

【概況】

ドル円は日銀金融政策決定会合後の上昇で付けた12月19日高値144.95円から22日午前安値141.87円まで下げた後は142円台中心の持ち合いで動意に欠ける展開となり、日銀会合「主な意見」公開後の円安反応も142.84円にとどまり上値の重さが意識され、27日深夜からのユーロ等の上昇でドル安が進行したことで28日早朝に22日午前安値を割り込んで持ち合いを下放れしてから下げ足を速め、28日19時台には140.62円を付けて12月14日早朝の米FOMC後に付けた安値140.99円を割り込んだ。
12月29日0時台安値で140.24円へ一段安して11月13日高値151.90円以降の最安値としたところからは米長期債利回りの上昇とユーロ等の下落によるドル安の緩みもあって売られ過ぎ警戒感で買い戻されて29日3時台には141.58円まで戻したが、持ち合いを下放れた状況にとどまっている。

【米失業保険申請件数は2週連続悪化】

12月28日夜に発表された米労働省による新規失業保険申請件数は12月23日までの週間で前週比1万2000件増の21万80000件となり2週連続で悪化し、失業保険受給者総数は12月16日までの週間で187万5000人となり前週から1万4000人増加した。発表後は米FRBの利下げに寄与する内容としてドル安となり、ドル円が140円台序盤へ一段安するきっかけとなったが、4週間平均では21万2000件で前週比250件減となり、歴史的な低水準にとどまった状況にある。年明けの1月5日には12月の米雇用統計の発表があるが、非農業部門雇用者数は11月の19.9万人増に対して17.0万人増と予想されており、まだ労働市場が緩み始めておらず利下げが必須という状況でもないとの見方もある。

全米不動産業者協会(NAR)による11月の米住宅販売保留指数は前月比0.0%で10月の1.2%減から改善したが市場予想の1.0%増には至らず、前年同月比は5.1%減で10月の6.3%減から若干改善したもののマイナス圏での推移が続いている。
11月の米中古住宅販売成約指数は71.6だったが2001年以降で最低となった。これまでの金融引き締めと利上げによる影響だが、今後は利下げに入るとの見方が優勢であり、住宅ローン金利は秋の8%近辺から7%弱へ低下しており、今後の需要拡大に寄与するのではないかとみられている。

【米長期債利回りは下げ一服、ダウは連日の最高値更新】

12月28日の米長期債利回りは前日までの大幅低下が一服して総じて反発した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.85%となった。27日は前日比0.11%低下の3.79%となり10月23日に付けたこれまでのピークである5.02%以降の最低を更新したが、年末で29日は短縮取引に入るため、ポジション整理的な動き中心でやや戻したというところか。
30年債利回りは前日比0.04%上昇の4.00%となり、27日に0.09%低下の3.96%で10月23日に付けたこの間のピークである5.18%以降の最低を更新したところからやや戻した。
2年債利回りは前日比0.03%上昇の4.28%となり、27日に前日比0.11%低下の4.25%で10月19日に付けたこの間のピークである5.26%以降の最低を更新したところから下げ渋った。
総じて大幅低下後の小反発だが、来年3月の利下げ期待確率が9割前後まで高まり、12月14日のFOMCが来年3回の利下げとしたことに対して4回利下げもあり得るとの見方も出ており、小反発を入れながら低下傾向は続くと思われる。

日銀は来年春闘を見定めないうちはマイナス金利解除へ動けないと思われるものの、徐々に出口へ向けて進んでいる状況のために円売りは限定的となりやすく、日米金利差が拡大のピークを付けて縮小期に入っていることによる円高傾向はさらに続きやすいと思われる。
12月28日のNYダウは前日比53.58ドル高と小幅上昇だったが連日の史上最高値更新で楽観的な先高期待が続いている。ナスダック総合指数は米長期債利回り上昇を意識して4.04ポイント安と小幅低下したが、高値で15150.07ポイントを付けて年初来高値を更新している。モノのインフレが落ち着いても金融緩和への期待感で金融資産インフレは進みやすくなると思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月29日未明安値で140.24円を付けて11月13日高値151.90円以降の最安値としたが、その後に1円を超える反発を入れているので、12月22日午前安値から4日半となる29日未明安値で目先の底を付けて戻りを試しているところと思われる。12月27日午前高値を基準として29日の日中から1月4日にかけての間までは戻りを試す可能性もあるとみるが、戻りは短命の可能性もあると注意し、141円割れからは下向きとし、29日未明安値割れからは新たな下落期入りとして1月3日夜から6日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月29日未明安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置に来ているが先行スパンからの転落は解消していない。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが、先行スパンを上抜けないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。上昇が勢い付くには先行スパンを上抜く必要があるが重い抵抗になりやすいのではないかと考える。

60分足の相対力指数は12月28日夜の20ポイント割れから29早朝には50ポイント台へ戻しているので、目先は戻りをさらに試しやすいところとみるが、60ポイント台は反落注意とし、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、140.75円を下値支持線、141.75円を上値抵抗線とする。
(2)141円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、141.75円超えからは141円台序盤への上昇を想定する。142円以上は反落警戒としてその後に141円を割り込むところからは下落期入りとするが、141円台を維持しての推移なら年明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)140.75円割れからは下向きとして29日未明安値140.24円試しとし、底割れからは139.50円、139.00円を順次試して行く下落を想定し、年明けも続落しやすいと考える。

【当面の予定】

12/29(金)
休場 ブラジル、韓国
東証大納会、米債券市場は短縮取引
16:00 (英) 12月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (11月 0.2%、予想 0.0%)
23:45 (米) 12月 シカゴ購買部協会景況指数 (11月 55.8、予想 51.0)

12月31日
10:30 (中) 12月 国家統計局製造業PMI (11月 49.4、予想 49.5)
10:30 (中) 12月 国家統計局サービス業PMI (11月 50.2)

1/2(火)
休場、日本、スイス、NZ
10:45 (中) 12月 財新製造業PMI (11月 50.7、予想 50.3)
17:55 (独) 12月 製造業PMI・改定値 (速報 43.1)
18:00 (欧) 12月 製造業PMI・改定値 (速報 44.2)
18:30 (英) 12月 製造業PMI・改定値 (速報 46.4)
23:45 (米) 12月 製造業PMI・改定値 (速報 48.2)

1/3(水)
休場 日本
17:55 (独) 12月 失業者数 前月比 (11月 2.20万人、予想 2.00万人)
17:55 (独) 12月 失業率 (11月 5.9%、予想 5.9%)
24:00 (米) 12月 ISM製造業景況指数 (11月 46.7、予想 47.2)
24:00 (米) 11月 建設支出 前月比 (10月 0.6%)
24:00 (米) 11月 雇用動態調査(JOLTS)求人件数 (10月 873.3万件、予想 885.0万件)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

1/4(木)
10:45 (中) 12月 財新サービス業PMI (11月 51.5、予想 51.6)
17:55 (独) 12月 サービス業PMI・改定値 (速報 48.4)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI・改定値 (速報 48.1)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI・改定値 (速報 52.7)
22:00 (独) 12月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (11月 -0.4%、予想 0.2%)
22:00 (独) 12月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (11月 3.2%、予想 3.8%)
22:15 (米) 12月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (11月 10.3万人、予想 11.3万人)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 187.5万人)
23:45 (米) 12月 サービス業PMI・改定値 (11月 51.3)

1/5(金)
08:50 (日) 12月 マネタリーベース 前年同月比 (11月 8.9%)
14:00 (日) 12月 消費者態度指数・一般世帯 (11月 36.1、予想 36.5)
19:00 (欧) 12月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (11月 2.4%、予想 3.0%)
19:00 (欧) 12月 コアHICP・速報値 前年同月比 (11月 3.6%、予想 3.4%)
22:30 (米) 12月 非農業部門就業者数 前月比 (11月 19.9万人、予想 17.0万人)
22:30 (米) 12月 失業率 (11月 3.7%、予想 3.8%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前月比 (11月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前年同月比 (11月 4.0%、予想 3.9%)
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 -3.6%、予想 2.0%)
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 (11月 52.7、予想 52.5)


注:ポイント要約は編集部

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