ドル円、日銀金融政策決定会合を経て急上昇。政策修正期待はまたしても肩透かし(12/20朝)

19日(火)のドル円相場は急上昇。

ドル円、日銀金融政策決定会合を経て急上昇。政策修正期待はまたしても肩透かし(12/20朝)

ドル円、日銀金融政策決定会合を経て急上昇。政策修正期待はまたしても肩透かし

〇ドル円、日銀会合のハト派な結果を受け欧州時間に144.96まで急伸
〇その後は米金利低下等に143.90前後に戻す
〇ユーロドルECB関係者のタカ派発言続き、一時1.0987まで上昇、堅調推移
〇ドル円、テクニカルには引き続き上昇余地に乏しいか
〇ファンダメンタルズもドル円相場の下落を連想させる材料揃う
〇年末・年始に向けてのドル売り・円買いをメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:143.00ー144.50

海外時間のレビュー

19日(火)のドル円相場は急上昇。アジア時間朝方にかけて、安値142.25まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)注目された日銀金融政策決定会合で大規模金融緩和政策の現状維持が決定されたこと(マイナス金利政策の解除を見送った他、イールドカーブ・コントロールやETF買い入れ措置も現状維持)や、(2)植田日銀総裁による「賃金と物価の好循環が実現するかなお見極めていく必要がある」「チャレンジング発言は一段と気を引き締めてという意味で用いた」「FRBが利下げに踏み切る前に日銀が利上げするというような考え方は不適切」「1月会合での政策修正の可能性はそこまでに入ってくる情報次第だがそんなに多くはない」とのハト派的な発言、

(3)上記1、2を背景とした円ロングの巻き戻し(市場に燻っていた政策修正期待が肩透かし→円金利急低下→ドル円相場の大規模ショートカバー誘発)が支援材料となり、欧州勢参入後に、高値144.96まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(4)急ピッチな上昇に対する反動売り(戻り売り)や、(5)リッチモンド連銀バーキン総裁による「予想通りインフレ率が低下すればFRBは適切に利下げの対応をする」とのハト派的な発言、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力(米FRBによる早期利下げ観測)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/20午前6時00分現在)では、143.90前後まで値を崩す動きとなっております。

19日(火)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0915まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ユーロ円相場の急上昇(日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見のハト派的な結果→ユーロ円急上昇→ユーロドル連れ高)や、(2)米FRBによる早期利下げ観測(対ドルでのユーロ買い圧力)、(3)欧州株の堅調推移、(4)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「早すぎる利下げはインフレが再発する危険性がある」とのタカ派的な発言、(5)リトアニア中銀シムカス総裁による「マーケットの利下げ見通しは過度に楽観的」とのタカ派的な発言、(6)ラトビア中銀カザークス総裁による「金利はしばらく現在の水準にとどまる必要がある」「インフレに対する勝利宣言は時期尚早」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間昼頃にかけて、高値1.0987まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/20午前6時00分現在)では、1.0978前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は12/14に記録した約4カ月半ぶり安値140.97をボトムに反発に転じると、昨日は一時144.96まで急伸しました。日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見が予想以上にハト派的な内容となったことで、市場で燻っていた早期政策修正期待の肩透かしが発生した形となっております。とはいえ、上方より複数のレジスタンスポイントが急ピッチに垂れ下がってきていることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロス」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます。事実、昨日もやや長めの上髭を残す形で反落に転じました。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる早期利下げ観測の高まり(来年3/20開催の米FOMCでの25bp利下げが67.5%織り込まれている状況)や、(2)日銀による金融緩和の修正観測(昨日開催された日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見はハト派的な結果となったが、来年1/22・23会合や、来年3/18・3/19会合での緩和修正観測は残存)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレードの解消懸念など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています(昨日のドル円急伸が絶好の売り場を与えた可能性大)。以上を踏まえ、当方では引き続き、年末・年始に向けてのドル売り・円買いをメインシナリオとして予想いたします。

尚、本日は、米MBA住宅ローン申請指数や、米7ー9月期経常収支、米11月中古住宅販売件数、米12月消費者信頼感指数、米20年債入札などが予定されております。

本日の予想レンジ:143.00ー144.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日銀金融政策決定会合を経て急上昇。政策修正期待はまたしても肩透かし

ドル円日足

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