ドル円一時141円割れ、予想外のハト派スタンスのパウエル議長会見等に全面安 (12/14午前)

14日午前の東京市場でドル円はもみ合い後に一段安。

ドル円一時141円割れ、予想外のハト派スタンスのパウエル議長会見等に全面安 (12/14午前)

ドル円一時141円割れ、予想外のハト派スタンスのパウエル議長会見等に全面安

14日午前の東京市場でドル円はもみ合い後に一段安。朝方(当レポートでは6:00時点)142.97レベルで取引の始まったドル円は、8時前に142.06まで急速に値を下げ、その後は一旦142.90水準まで戻したものの、時間外の米10年債利回りがNY終盤の4.00%から3.96%台に下落すると、ドル円も昼過ぎにかけ下げが加速。一時140.97まで下げた後、東京時間12:50現在は141.30付近で取引されています。

日経平均株価は、FOMC後の米株急騰を受け、序盤は買いが先行しましたが、急激に進んだ円高を嫌気して自動車、機械等の輸出関連銘柄が下落。一部買戻しも入ったものの前日終値レベルは回復できず、125円安で午前の取引を終了しています。

昨晩海外市場では、発表された11月の米生産者物価指数が前年比でヘッドライン、コア部分ともに前月・事前予想を下回り、ドル円は145.60-70レベルから145円台前半に反落。FOMCまで大きな動きとはなりませんでしたが、後の会見でパウエル議長はPPIに言及し「今朝になって一部のFOMC参加者は見通しを修正したと思う」と述べており、今回のFOMCのハト派的内容に相応の影響を与えた模様です。

注目されたFOMCでは政策金利の変更等はありませんでしたが、声明文では冒頭部分が前回の「経済活動は第3四半期に強いペースで拡大した」から「経済の成長は第3四半期の強いペースで拡大から減速した」に下方修正、またインフレに関しても「インフレ率は依然と高止まりしている」から「インフレ率は高止まりしているがこの1年でした緩和した」に文言が修正されており、他の細かい文言追加も含め全般的にハト派な内容に書き換えられた印象です。
その後のパウエル議長の記者会見でも、やや遠回しながら、今回「制限的スタンスの縮小を開始するのが適切となる時期について議論した」と利下げ開始時期の検討があったことを示唆した他、「我々は金利をあまりにも高くあまりにも長く維持しすぎることのリスクを認識している」とこれまでになく、金融引き締め終了に踏み込んだ発言が目立ちました。

同時に発表された「経済物価見通し」では来年のGDP見通しを1.4%に引き下げ、物価見通しもPCEの今年末の見込みが9月の3.3%から2.8%に低下したことを起点に来年・再来年の見通しを0.1%づつ下方修正しています。そして政策金利に関してはほぼ市場の予想通り2024年末見通しが中央値で9月の5.1%から4.6%に引き下げられています。

政策や金利見通しはほぼ市場の事前予想通りでしたが、声明文の大幅な文言修正やパウエル議長の予想外のハト派スタンスの強調を市場はサプライズととらえ、4時台から144円近辺に急落。パウエル議長会見開始とともに一段安となり、143円割れを示現して142.90で取引を終えています(東京時間7:00)。この間、米10年債利回りは日中高値の4.20%から0.2%下げて4.00%に低下、NYダウは景気に配慮したFRBの姿勢を好感し、史上最高値を更新しています。

テクニカルにはドル円は、未明の急落で本日142.45レベルの200日移動平均線付近まで下落、数度にわたり下抜けて現在も200日線の下で推移しています。12/7の日銀植田総裁発言後の急落時も200日線を大きく下回りながらも長い下ヒゲを残して買い戻されていることから、本日終値時点で200日線を下回った状態か否かは大きな注目点です。

今回明らかにFRBのスタンスには変化が見られました。またそれを意識的にアナウンスした節もあります。金融政策の変更という「地殻変動」は為替相場にとっては無視できないものと考えられ、最近の強い日銀短観の結果を踏まえた、来週の日銀政策決定会合も睨んでの今後の相場動向は波乱含みです。 

ドル円一時141円割れ、予想外のハト派スタンスのパウエル議長会見等に全面安

ドル円15分足

ドル円一時141円割れ、予想外のハト派スタンスのパウエル議長会見等に全面安 2枚目の画像

ドル円日足

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