ドル円、ハト派な米FOMCを経て大幅下落。ドットチャートは来年3回の利下げを示唆
〇ドル円、高値146.01からFOMC結果公表後に一時142.64まで急落
〇予想比弱めの米11月PPI、予想比ハト派のFOMCの結果及びパウエル議長の会見内容が背景
〇FOMC声明文にインフレ率緩和の文言加わり、ドットチャートは来年0.75%の利下げを示唆
〇パウエル議長、今回利下げのタイミングを協議したと発言、全般ハト派色目立つ
〇ユーロドル、FOMC後の米長期金利急低下に1.08台後半に急伸
〇ドル円、テクニカルの地合い弱くファンダメンタルズも日米金利差縮小への思惑がドル円の重石
〇引き続き、短期的なドル円下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:141.00ー144.00
海外時間のレビュー
13日(水)のドル円相場は大幅下落。欧州時間朝方にかけて、高値146.01まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米11月生産者物価指数(結果+0.9%、予想+1.0%)および、同コア指数(結果+2.0%、予想+2.2%)が市場予想を下回ったことや、(2)米FOMCにて3会合連続となる政策金利の据え置きが決定されたこと、(3)声明文にて「Inflation has eased over the past year(インフレ率はこの1年で緩和した)」との文言が追加されたこと、(4)声明文と同時に公表されたドットチャートで来年3回(75bp)の利下げの可能性が示されたこと(2024年末時点の予想中央値は25bp×3回の利下げを示唆する4.6%)、(5)パウエルFRB議長による「本日の会合で利下げのタイミングを協議した」とのハト派的な発言、(6)上記1、2、3、4、5を背景とした米長期金利の急低下(米2年債利回りは4.73%から4.43%へ急低下。米10年債利回りも4.21%から4.00%へ急低下)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値142.64まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/14午前6時05分現在)では、142.99前後で推移しております。
13日(水)のユーロドル相場は急上昇。(1)ユーロ圏10月鉱工業生産(結果▲6.6%、予想▲4.6%)の冴えない結果が重石となる中、米国時間朝方にかけて、安値1.0773まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)米11月生産者物価指数の市場予想を下回る結果や、(3)ハト派的な米FOMCの結果、(4)米長期金利の急低下が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0896まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/14午前6時05分現在)では、1.0879前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は今週のメインイベントとして注目されていた米FOMCを経て急落する結果となりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロス」「弱気のバンドウォーク」が成立したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(142.45付近に位置する200日移動平均線を下抜けできれば、もう一段下げ足を速める恐れあり)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる早期利下げ観測の高まり(ドットチャートで来年3回の利下げが示されるなど予想以上にハト派的な内容)や、(2)日銀によるマイナス金利の早期解除観測(植田日銀総裁・氷見野日銀副総裁は先週、マイナス金利の早期解除の可能性を滲ませる発言を実施)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレード解消の思惑など、ドル円相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米11月小売売上高や、米11月輸出入物価指数、米新規失業保険申請件数が冴えない結果を示す場合には、米金利低下→米ドル売りの経路で、ドル円に強い下押し圧力が加わる恐れもあるため(12/7に記録した安値141.60を下抜ける可能性もあるため)、当方では引き続き、短期的なドル円下落をメインシナリオとして予想いたします(市場の焦点が米FOMCから来週の日銀金融政策決定会合にシフトするため、ドル円相場はここから先、思惑主導で下落し易くなる可能性あり)。
本日の予想レンジ:141.00ー144.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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