ドル円見通し 12/8未明からの反騰一巡、米CPI発表後に145円を一時割り込む(23/12/13)

ドル円は12月8日未明安値を起点としたリバウンドを継続してきたが、12日未明高値146.58円で戻り一巡となり12日夜には一時145円を割り込んでいる。

ドル円見通し 12/8未明からの反騰一巡、米CPI発表後に145円を一時割り込む(23/12/13)

12/8未明からの反騰一巡、米CPI発表後に145円を一時割り込む

〇ドル円、米CPIが市場予想と一致、FOMCの利上げ見送りを裏付けるとして発表直後144.73まで下げる
〇コア指数高止まりで利下げ開始時期先延ばしの可能性ありとし、早々に買い戻されるも146円には届かず
〇米長期債利回りはまちまち。ダウ、ナスダックともに4営業日続伸で年初来高値更新
〇12/14早朝にFOMC政策金利発表と議長会見、内容次第では上下に大きく振れる可能性もあると注意
〇146円以下での推移中は下向きとし、12/12夜安値144.73割れからは144.00前後への下落を想定
〇146円超えからは上向きとし、12/12未明高値146.58超えからは147円台前半への上昇を想定

【概況】

ドル円は植田日銀総裁の国会答弁等をきっかけに日銀のマイナス金利解除等が連想されて12月7日午前の147円台前半から8日未明安値141.67円まで大幅下落したが、下げ幅が6円近くとなり売られ過ぎ警戒感から買い戻され、8日夜の米雇用統計が強めだったことで145円台に到達、週明けの11日は金融緩和政策からの出口へ急いでいるわけではないとの日銀関係者の認識が報じられたことをきっかけに12日未明には146.58円まで高値を切り上げた。

12月8日未明安値からの戻りも5円近くとなり、買い戻し一巡感と米CPIやFOMCを控えて12日の日中は戻り売り優勢となり、12日夜の米11月CPIがほぼ予想通りだったもののFOMCの利上げ見送りを裏付けるものとして発表直後には144.73円まで下げたが、コア指数の高止まり感で米国の利下げ開始時期が先延ばしされる可能性もあるとして早々に買い戻された。しかしFOMCの内容を見定めたいとして買い戻しも慎重な動きとなり146円には届かなかった。
今夜は米11月PPI(生産者物価指数)、14日早朝にはFOMCの政策金利発表、議長会見があり、内容次第では上下に大きく振れる可能性もあると注意したい。

【米CPI、予想通りだが大幅な鈍化に至らず利下げ先延ばしの可能性も】

12月12日夜に米労働省が発表した11月のCPI(消費者物価指数)は全体の前月比が0.1%上昇で10月の0.0%から加速して市場予想の0.0%を上回り、前年同月比は3.1%上昇となり市場予想と一致して10月の3.2%から鈍化した。コアCPIの前月比は0.3%上昇で市場予想と一致したが10月の0.2%から伸びが加速し、前年同月比は4.0%で10月と変わらず市場予想と一致した。
全体の前年同月比が2か月連続で鈍化したことはインフレ鎮静化と来年の利下げ期待に寄与するが、全体とコアの前月比が10月から伸びたこと、コアの前年同月比が高止まり感を見せたことにより、利下げ開始時期が後ずれするとの見方も強めた印象だ。先週末の米雇用統計発表前段階では来年3月の利下げが有力との見方だったが、雇用統計後は5月からの利下げという見方が優勢となっている。今回のCPI内容は受け止め方も分かれるところだが、5月の利下げ確率も下がるのではないかとのややネガティブな指摘も見られる。いずれにせよ、FOMC声明内容と参加者による金利予想をしっかり見定めたいところだ。

【米長期債利回りはまちまち、ダウは4連騰で年初来最高値更新】

12月12日の米長期債利回りはまちまちの動きだった。 
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%低下の4.20%となったが、米CPI発表後に4.15%へ低下してから4.25%へ反発して再びマイナス圏まで失速する乱調な動きだった。CPI全体の前年比が2か月連続で鈍化したものの前月比が上昇、コア指数が高止まりだったことで市場も気迷いの反応となったようだ。
30年債利回りは前日比0.02%低下の4.31%で終了したが、4.27%へ低下してから4.35%へ戻し再び低下する展開で、この日実施された30年債210億ドルの入札が堅調だったとして入札結果発表後に低下した。
2年債利回りは前日比0.03%上昇の4.74%となり、一時4.68%まで低下してから反発しており、利下げ時期が先延ばしされる可能性がやや優勢との反応を見せた。

一方でNYダウは173.01ドル高と上昇、4営業日続伸で前日に続き年初来高値を更新し、ナスダック総合指数も100.91ポイント高と4連騰して年初来高値を更新した。利下げ開始時期については多少の先延ばしもあるだろうが金融引き締め期の終了によりリセッションを回避するとの楽観が優勢で買われている印象だ。
12月12日は上海総合株価指数も連騰で上昇しており、米中の株高がリスクオン優勢の市場心理に貢献していることはドル円も上昇しやすい環境だが、今夜の米PPIと明日早朝のFOMCの結果を見るまでは動きづらいところか。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月8日未明安値を起点としたリバウンドを継続してきたが、12日未明高値146.58円で戻り一巡となり12日夜には一時145円を割り込んでいる。FOMCからの反応次第で新たな上昇期に入るか、12日未明高値からの戻り売り基調が続くのか決まるのだろうと思われる。146円以下での推移中は下向きとし、FOMCから続落の場合は14日の日中から15日未明にかけての間への下落を想定するが、12日未明高値超えからは新たな上昇期入りとして14日深夜から19日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では12月12日夜にかけての下落で遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んでいる。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意するが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月11日夕刻から12日未明への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられ、12日夜への下落で30ポイント台へ低下した。その後も50ポイント超えを売られているのでまだ下落余地ありとし、30ポイント割れからは10ポイント台への低下もあり得ると注意するが、60ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月12日夜安値144.73円を下値支持線、146円を上値抵抗線とする。
(2)146円以下での推移中は下向きとし、12日夜安値144.73円割れからは144.00円前後への下落を想定する。144円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、FOMC等から急落商状の場合は143円前後へ下値目途を引き下げ、14日の日中への続落を想定する。
(3)146円超えからは上向きとし、12日未明高値146.58円超えからは147円台前半への上昇を想定する。147円台到達では売られやすいとみるが、FOMC等をきっかけに急伸する場合は148円前後へ上値目途を引き上げる。

【当面の予定】

12/13(水)
OPEC月報
16:00 (英) 10月 月次GDP 前月比 (9月 0.2%、予想 0.0%)
16:00 (英) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.0%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 1.5%、予想 1.1%)
16:00 (英) 10月 貿易収支・物品 (9月 -142.88億ポンド、予想 -143.00億ポンド)
16:00 (英) 10月 貿易収支 (9月 -15.74億ポンド)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.1%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -6.9%、予想 -4.5%)

22:30 (米) 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 -0.5%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 1.3%、予想 1.0%)
22:30 (米) 11月 コアPPI 前月比 (10月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 コアPPI 前年同月比 (10月 2.4%、予想 2.2%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
28:00 (米) 米FOMC 政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
28:30 (米) パウエルFRB議長、記者会見



12/14(木)
政策金利発表 台湾、ブラジル、フィリピン、スイス、ノルウェー、メキシコ
06:45 (NZ) 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 0.9%、予想 0.2%)
06:45 (NZ) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 1.8%、予想 0.4%)

08:50 (日) 10月 機械受注 前月比 (9月 1.4%、予想 -0.5%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前年同月比 (9月 -2.2%、予想 -5.1%)
09:30 (豪) 11月 新規雇用者数 (10月 5.50万人、予想 0.08万人)
09:30 (豪) 11月 失業率 (10月 3.7%、予想 3.8%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 1.0%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 0.9%)
13:30 (日) 10月 設備稼働率 前月比 (9月 0.4%)

21:00 (英) BOE(英中銀) 政策金利 (現行 5.25%、予想 5.25%)
22:15 (欧) ECB(欧州中銀) 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.50%)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -0.1%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 0.1%、予想 0.0%)
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 -0.8%、予想 -0.8%)
22:30 (米) 11月 輸出物価指数 前月比 (10月 -1.1%、予想 -1.0%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.0万件、予想 22.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.1万人)
22:45 (欧) ラガルドECB総裁、記者会見
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.4%、予想 0.0%)



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